TCFD・TNFD対照表

気候・自然関連リスク管理とTCFD・TNFDへの対応

ブリヂストングループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)外部リンク に賛同しており、さらに、2022年3月よりTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)外部リンク フォーラムに参加しています。
気候変動及び自然資本損失への対応に世界的な関心が高まり、パリ協定に代表される脱炭素社会への動き、並びに、昆明・モントリオール生物多様性枠組として採択されたネイチャーポジティブな世界の達成に向けた動きが加速する中で、当社グループは気候・自然資本への依存関係と影響、気候変動及び自然資本損失によるリスクと機会を統合的に評価・管理し、事業戦略への反映を進めています。
これらのリスク及び機会への認識を踏まえ、カーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブに向けた取り組みをビジネスと連動させながら強化していくことで、持続的な企業価値の向上、サステナビリティ価値創造の基盤を構築していきます。

※自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性・自然資本の損失を止め、反転させることを意味しており、事業活動による生物多様性・自然資本への負荷を低減し、自然の恵みを維持し回復させ、自然資本を持続可能に利用する社会経済活動への変革が意図されています。

TCFD・TNFD推奨開示内容への対応状況

ブリヂストングループは「TNFDアーリーアダプター」として、2023年10月よりTNFD提言に沿った情報開示を開始しています。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)最終提言及びTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)最終提言V1.0が推奨する開示内容に沿った当社の対応状況および掲載場所は以下の通りです。また下記の内容は第105期有価証券報告書 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】PDFにも掲載しています。

ガバナンス

推奨される開示内容 ブリヂストングループの対応状況 掲載箇所
TCFD TNFD
依存関係・影響・リスク・機会に対する取締役会の監督体制
  • 取締役会はカーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーへの貢献促進、自然共生に向けた活動を含むサステナビリティへの取り組みの状況について定期的に報告を受け、進捗状況のレビューを実施
CDP気候変動 2023年度回答 C1.1a, C1.1bPDF
依存関係・影響・リスク・機会の評価と管理における経営者の役割
  • 最上位の経営執行会議体であるGlobal Executive Committee(Global EXCO)でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーへの貢献促進、自然共生に向けた中長期の戦略・目標、実行計画の承認、計画の進捗を管理
CDP気候変動 2023年度回答 C1.2PDF
事業活動への統合 ― ブリヂストングループ全体でのサステナビリティの統合
先住民族・地域社会・影響を受けるステークホルダー・その他ステークホルダーに向けた人権方針とエンゲージメント活動、取締役会・経営者の監督

(TNFD推奨開示内容)

  • 「グローバル人権方針」及び「グローバルサステナブル調達ポリシー」を策定し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際基準が掲げる人権の尊重に対して強いコミットメントを表明。お取引先様に必ず実施いただきたい事項として、国連「先住民族の権利に関する宣言」に従った合法的な手段での土地取得・利用、土地取得時や森林開発評価・実行方針策定時のFPIC原則の遵守を定め、当社グループ内・お取引先様・サプライチェーン全体への浸透活動を推進
  • サプライチェーンが「グローバルサステナブル調達ポリシー」に準拠しているかどうかを確認するデューディリジェンスプロセスを検討・開発するため公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンと協働。WWFと連携して開発したSAQ(Self-Assessment Questionnaire)を使って、天然ゴムの小規模農家を含むお取引先様のESG現地監査を行い、FPIC原則の遵守含め、リスク評価を実施
  • 天然ゴムのサプライチェーンを対象としたグリーバンスメカニズムを構築し、標準作業手順書と苦情(グリーバンス)への対応状況を公開。先住民族・地域社会に関連するリスクも本メカニズムを活用し確認
  • 人権の尊重を含むサステナビリティへの取り組みの実行計画や進捗状況は最上位の経営執行会議体であるGlobal EXCOで承認・管理され、取締役会がレビューを実施
人権・労働慣行
調達
グリーバンスメカニズム(英語のみ)
スクロール

戦略

推奨される開示内容 ブリヂストングループの対応状況 掲載箇所
TCFD TNFD
短期・中期・長期の依存関係・影響・リスクと機会

気候・自然資本への依存関係と影響、気候変動及び自然資本損失によるリスクと機会を統合的に評価・管理。以下の依存関係・影響・リスク・機会を特定

気候・自然資本との依存関係

  • 原材料調達段階における水やバイオマスを供給するサービス、生態系が持つ気候・良好な土壌等を維持調整するサービスへの依存
  • タイヤ製造段階における水を供給するサービスへの依存

気候・自然資本への影響

  • 原材料調達段階における土地利用による影響
  • タイヤ製造段階における水資源の使用、廃棄物の排出による影響
  • バリューチェーン全体での温室効果ガスの排出、水資源の使用、大気・水質・土壌への排出、廃棄物の排出による影響

気候変動・自然資本損失による物理的リスク・機会

  • 台風の大型化、洪水や渇水の発生頻度の増加による事業活動中断のリスク
  • 降雨パターンの変化に伴う天然ゴムの収穫不良による原材料調達に関するリスク
  • 降雪量の減少により冬タイヤの需要が減少するリスク
  • 熱帯地域に偏在するパラゴムノキ由来の天然ゴムの収穫不良に伴う、乾燥地帯で育つグアユール由来の天然ゴムの事業化機会

脱炭素社会や自然と共生する社会への移行リスク・機会

  • 気候変動や自然資本損失のために制度・規制などの導入が進む際、社会や顧客の急速なニーズ変化に対して研究開発費を十分な事業成長に結びつけることができない場合における事業活動の制約やコストの上昇など、業績や財務状態に悪影響を及ぼすリスク(炭素税やCO2排出削減義務・排出量取引制度、タイヤの低燃費性能に関する制度・規制、使用済タイヤのリサイクルに関する制度・規制、取水に関する制度・規制、持続可能な天然ゴムに関する制度・規制など)
  • モビリティニーズの変化に伴う競争要因変化に伴う機会(EV向けタイヤの需要増加、お客様のCO2排出量削減に貢献するタイヤ及びソリューションの需要増加等)
  • 使用済タイヤのリサイクルに関する規制地域拡大に伴うリサイクル事業の事業化機会

※ 国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)他の「ENCORE」の産業グループ別評価で重要性が「非常に高い」または「高い」と評価された、タイヤ事業のバリューチェーンにおける主な依存関係及び影響

CDP気候変動 2023年度回答 C2.1, C2.3, C2.3a, C2.4, C2.4a, C3.1, C3.3, C3.4PDF
自然と共生する
ビジネスモデル・バリューチェーン・戦略・財務計画に及ぼす影響
様々なシナリオを考慮した組織戦略のレジリエンス
  • 複数の気候関連シナリオ・自然関連シナリオに基づいてリスク・機会を評価し、特定された重要度の高いリスク・機会について、既に対応を始めており、今後も定期的な評価を行っていく
CDP気候変動 2023年度回答 C3.2, C3.2a, C3.2bPDF

直接事業・上流・下流において次に該当する地域

  • 生態系の完全性が高いまたは低下している地域
  • 生物多様性の重要性が高い地域
  • 水ストレスのある地域
  • 大きな依存関係や影響を持つ可能性がある地域

(TNFD推奨開示内容)

  • 荒廃地緑化によるCO2吸収・固定化の拡大
  • 水資源の量や質の低下リスクのある水ストレス地域に立地する生産拠点を定期的に評価。2023年末時点でインド、インドネシア、中国などの7拠点が、「非常に水リスクが高い」流域に立地。これら全拠点で、地域の水事情を踏まえたウォータースチュワードシッププランを策定し、実行中
影響の最小化
貢献の最大化
再生可能資源の拡充・多様化
スクロール

リスクと影響の管理

推奨される開示内容 ブリヂストングループの対応状況 掲載箇所
TCFD TNFD
直接事業、バリューチェーンの上流及び下流における依存関係・影響・リスク・機会の特定・評価・優先順位付けプロセス
  • グループ会社の事業規模や特性を考慮に入れながら、グループ共通のリスク・機会に包括的かつ適切に特定及び対処するよう努めており、気候及び自然資本に関しては、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)他の「ENCORE」及び一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ (JBIB) の「企業と生物多様性の関係性マップ®」を活用して評価したバリューチェーン全体における依存関係・影響を考慮の上、リスク・機会を特定
  • 中長期事業戦略の実行に直接関連するビジネス戦略リスク・機会については、Global EXCO直下に年次リスク管理プロセスを設けることで管理強化を図る方法を検討。また、日常諸業務に係るオペレーショナル・リスクに関しては、チーフリスクオフィサー(CRO)が統括責任者として対応し、リスクへの対応計画を策定
  • 毎年各地域及びグループ全体で直面する可能性のあるリスクを特定し、そのリスクに対してグループ全体だけではなく、事業・SBU・部門単位での責任者を明確にし、自律的かつ継続的にリスク管理を実施
グローバルエンタープライズリスクマネジメント
BCP(事業継続計画)・リスクマネジメント
CDP気候変動 2023年度回答 C2.2, C2.2aPDF
管理プロセス
組織全体のリスク管理への統合・伝達状況
スクロール

指標と目標

推奨される開示内容 ブリヂストングループの対応状況 掲載箇所
TCFD TNFD
リスクと機会の評価・管理に用いる指標
  • 気候関連リスク・機会・影響を評価・管理する指標の一つとしてとしてCO2排出量(Scope1、2、 3、及び商品・サービスのライフサイクル・バリューチェーン全体を通じたCO2排出量の削減貢献量)を設定し、定期的にモニタリング
  • 投資の判断においてもリスク・機会が評価できるよう、社内カーボンプライシングによるCO2排出コスト(US$100/tCO2)と削減効果を加味した投資判断を実施
  • 自然関連リスク・機会・影響を評価・管理する指標として、水ストレス地域における取水量、環境負荷(有害/非有害廃棄物排出量・埋立量、VOC排出量、SOx/NOx排出量)、生息地の保全・管理面積などを設定し、定期的にモニタリング
CDP気候変動 2023年度回答 C6.1, C6.3, C6.5, C11.3aPDF
ESGデータ
自然と共生する
依存関係と影響の評価・管理に用いる指標
依存関係・影響・リスク・機会の管理に用いる目標と実績
  • カーボンニュートラル化及びサーキュラーエコノミーへの貢献促進、自然共生に向けた中長期環境目標(2050年以降、2030年)を設定し、毎年実績を評価・開示
  • 2030年に向けた目標として「私たちが排出するCO2の総量(Scope1、2)を50%削減する(2011年比)」「ソリューションの提供により、商品・サービスのライフサイクル、バリューチェーン全体(Scope3)を通じて、私たちの生産活動により排出するCO2排出量(Scope1、2)の5倍以上のCO2削減に貢献していく(2020年比)」「再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に向上する」「水ストレス地域における生産拠点において、水リスク低減に向けたウォータースチュワードシッププランを推進する」を設定
  • 2030年に向けた目標に対する主な実績は以下の通り
  1. リトレッド用台タイヤを含むタイヤの総原材料重量に占める比率
CDP気候変動 2023年度回答 C4.1, C4.1a. C4.2b, C4.2cPDF
CO2を減らす
資源を大切に使う
自然と共生する
ESGデータ
スクロール