テクノロジーの破壊的イノベーションやサイバー攻撃、地政学的対立マクロ経済リスク、サステナビリティとESG、また、資源枯渇、自然災害、人道危機、感染症の世界的流行といった壊滅的な事象など、企業を取り巻く環境変化は複雑化し、不確実性を増しています。変化が常態化する世界において、当社のようなグローバル企業には、事業活動に伴う不確実性とそれに付随するリスクや新たな事業機会への対応力を維持し、強化していくことが求められています。こうした課題認識を踏まえ、ブリヂストングループの「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」では、レジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへの変革の道筋を明示しています。
実現に向けて、当社グループでは重要度の高い全社的なリスクを特定、評価、軽減・低減、コントロールする能力を強化するための、グローバルおよび各地域のリスク管理プログラムの強化に取り組んでいます。グローバルリスクを管理し、「最高の品質で社会に貢献」というブリヂストンの使命を確実に遂行するための継続的な取り組みの一環として、先進技術の活用、継続的なリスク評価、プロアクティブなリスクセンシング、そしてリスクを最小化するための戦略策定などを通じたグローバルエンタープライズリスクマネジメントプログラムを強化し続けています。
グローバルエンタープライズリスクマネジメントの取り組み
当社グループのエンタープライズリスクマネジメント(ERM)プログラムは、グローバルおよび地域のリスク管理プログラムと世界中の組織が直面する様々なリスクとの整合性を図ることを目的とした推進体制・プロセスに基づいて運営されています。
ブリヂストングループは、2022年初頭に「グローバル経営リスクコミッティ(GMRC)」を設置しました。GMRCは、グループグローバル・ゼネラルカウンセル(法務部門最高責任者)及びグローバルERMリーダーが議長を務め、各地域のCEOと経営層、リスクリーダー、組織内の関連する専門知識を持つメンバーで構成されています。定例会議や臨時会議も含め、年に数回会合を開き、最も重大な全社的なリスク及びグローバルERMプログラムを直接監督する役割を担っています。GMRCは、様々なグローバルリスクを短期、中期、長期の視点から評価し、リスク管理の取り組みを主導する組織内の機能横断的なグループや関連するリーダーに対して監督や助言を行います。加えて、GMRCは、関連業界の好事例を調査し、グローバルERM部門が組織全体のリスク管理トレーニングを促進するための助言や支援も行います。また、GMRCのメンバーはGlobal CEOや取締役会メンバーに定期的に報告の機会を持ち、最新情報を提供するとともに、経営層が関与することで、グローバルリスク管理がブリヂストングループの戦略策定や意思決定に確実に組み込まれるようにしています。
ブリヂストングループはGMRCに加えて、グローバルERM部門を設置しています。グローバルERM部門は、グローバル及び各地域のリスクリーダー、そしてERM専門知識を持つメンバーで構成されています。主要なリスク管理に関するテクノロジーやシステムへの投資と利用、事業継続および危機管理活動の継続的な強化など、グローバルおよび地域レベルでのERMの計画と実装に関する直接の責任を負っています。グローバルERM部門は、グローバルでのリスク関連活動と、各戦略的事業ユニット(SBU)および地域におけるリスク関連活動との整合性を図ります。グローバルERM部門による定期的なリスク特定プロセスやリスク管理状況の報告、プロアクティブなリスクセンシングやシナリオ分析に基づく戦略立案などの取り組みは、企業としてのレジリエンスを構築・維持し、ERMを組織全体の戦略策定や意思決定に組み込むのに役立ちます。グローバルERM部門は、グローバルERMリーダーの監督の下、GMRCの下部組織に位置し、グローバルサステナビリティコミッティ(GSC)を含めた様々なグローバルコミッティと緊密に連携し、サステナビリティなどの重要な要素が確実にERMプロセスに組み込まれるようにしています(例えば、GSCで取り組んでいるサステナビリティ重点課題は、グローバルおよび地域におけるリスク管理プログラムの参考情報として参照されます)。各地域のリスクリーダーは、管轄する地域における部門およびSBUレベルでのリスクの軽減・低減および管理活動を推進、調整する責任も負っています。各SBUの取締役会には、リスク管理の取り組みを監督するための関連委員会が設置されています。
ブリヂストングループは、グローバルリスク管理を担当する社内メンバーに加えて、さまざまな外部の専門家や第三者機関と連携して、グローバルおよび地域のリスク管理プログラムをサポートしています。これらの第三者機関は、リスクの特定や検証の演習など、リスクに関連する活動や、地政学的対立などの特定のリスク項目についての助言、その他のプログラムの強化などをサポートしています。
当社グループのERMプログラムは、トレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO)や、リスク管理に関する国際標準規格であるISO31000、リスクマネジメント協会(RIMS)やその他の業界をリードするソートリーダーシップのフレームワークなど、業界で最も優れたフレームワークを評価し、活用することを目指しており、これらの要素に基づいて開発されました。フレームワークは、事業を取り巻く環境の変化を踏まえ、必要に応じて見直し、更新していきます。
リスクと機会に関する情報開示
ブリヂストングループは最も重大なリスクを特定・評価・検証し、適切な対応策を策定するため、リスクアセスメントを定期的に実施し、事業戦略とこれらのリスクへの対応との整合性を図っています。一部のグローバルリスクに対する軽減・低減およびリスク管理のアプローチに関しては、Bridgestone 3.0 Journey Report(統合報告2024)にも反映されていますのでご参照ください。 また、リージョナルERMプログラムを中心としたリスク管理に関しては、BCP(事業継続計画)・リスクマネジメントのページをご確認ください。
リスクアセスメントのプロセスには、特定されたリスクテーマとカテゴリーからリスクを特定し、発生確率と当社グループへの影響度のリスクランクに基づく、リスク評価が含まれます。この評価では、財務的な損失、業務や戦略などへの影響の定量的な分析だけでなく、社会的信用などの定性的な情報も考慮しています。さらに、特定されたリスクを管理するための経営層の準備態勢と既存の管理体制も合わせて検討しています。現在特定しているグローバルリスクの一部は、以下の通りです。
カテゴリー | リスク・機会の内容 | 想定される影響 |
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情報技術・データセキュリティ | データセキュリティ事故、またはサイバー攻撃やそれに伴う混乱 |
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サステナビリティ・ESGの取り組み | Bridgestone E8 Commitmentに沿った形での、事業戦略の持続可能性の向上及び長期的な価値創造の推進 |
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地政学的紛争/対立 | 市場のボラティリティを生み出すマクロ経済的または地政学的動向/変化 |
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異常気象、自然災害、その他の重大な影響をもたらす事象 | 大規模な自然災害、パンデミック、感染症などの非常事態 |
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