社会 | コミュニティ

健康に関する取り組み

世界保健機関(WHO)は、所得水準別死因分析に基づき、各国・地域ニーズに応じた健康改善に取り組むことが重要であると指摘しています。ブリヂストングループは、地域住民の健康状態を改善し、より健康的なライフスタイルを持続的な文化として根付かせることで地域社会に貢献します。

2023年は、24の国と地域で249件※1の健康に関する取り組み(うち182件は外部パートナーと連携※2、5,465人の従業員ボランティアが参加※3)を76,628人の地域の方々に対して実施※4しました。

  1. ※1活動数の集計方法は国や地域によって異なります。
  2. ※2外部パートナーとの連携集計方法は国や地域によって異なります。
  3. ※3従業員ボランティア数は延べ人数であり、一部活動では推計値を含みます。
  4. ※4活動による直接裨益人数を集計し、集計方法は国や地域によって異なり、確認できた活動のみを対象としています。

車いすテニス体験会(日本)

ブリヂストンは、2017年より日本国内で車いすテニス体験会を開催しています。障がいのある人たちに外へ出かけてもらい、スポーツ体験を通してほかの人たちと交流できる機会を作ろうという試みで、自立や社会参加のきっかけ作りにもなる活動です。障がい者のスポーツ参加率を向上させていくことは、当社が取り組みを進めたい社会課題の一つであり、また、社会貢献意識の向上や従業員ボランティアのエンゲージメントの向上にも貢献する活動であると考えています。
2023年には、東京都小平市にある「ブリヂストン小平屋根付きテニスコート」で体験会を3回開催しました。2017年の開始から参加者数は延べ213名、年齢は4歳から89歳までの方々にこのプログラムを通じて車いすテニスを楽しんでいただきました。

AHL(Active and Healthy Lifestyle)

日本では、当社グループが創業当時から続けてきた「人々の生活と地域社会に寄り添い、一人ひとりを支える活動」をActive and Healthy Lifestyleの頭文字を取り、「AHL」と名付けました。この取り組みは、一人ひとりが心身ともに健康で、個性を活かし、自己実現を果たしながら、多様な人々が互いに認め合い、助け合う共生社会を築くための活動です。この共生社会の実現に向けて、高齢者や障がい者が抱える社会課題を、地域社会や様々なパートナーとの共創によって解決することを目指しています。

当社では、アートを通じた共生社会の実現に向けた取り組みも推進しており、2021年から、障がい者の作品の展示会を東京都小平市にある「Bridgestone Innovation Gallery(ブリヂストン イノベーション ギャラリー)」で開催しています。この展示会では障がい者と彼らを支える人、そして来場者の3者が交流できる場の提供を目指しています。これにより障がい者への理解を深めていただくこと、また彼らを支える人たちのことを知っていただくことを目指しています。また、来場者同士の交流を促進するため、地域コミュニティとの連携で関連イベントを開催しており、障がいのあるアーティストと作品について語り合う場を設けたり、福祉作業所でのワークショップや商品の販売体験を実施したりしています。このほか、ブリヂストンでは、音楽やダンスを通じて様々な方たちが一緒に楽しめるコンサートも催しています。

来場者はこうした展示会やイベントを通じて、障がい者や彼らを支える人たちと交流を行いつつ、こうした方々の日常生活や仕事について知ることもでき、多様性について考えられる良い機会になっていると考えています。

この展示会やイベントは、障害者週間のつどい実行委員会、武蔵野美術大学、白梅学園大学、さらに小平市にある複数の福祉作業所や市民の方と共同で開催され、過去3年間で延べ3,900名の方々に楽しんでいただきました。

AHLについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。

困難な時代の食料安全保障(シンガポール)

ブリヂストン アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド(BSAP)とブリヂストン タイヤ セールス シンガポール(BSTSG)は、支援を必要とする人たちに毎日11,000食を提供するWilling Heartsを3年継続して支援しています。具体的な2023年の活動は下記の通りです。

1)タイヤの装着支援
安全なモビリティの実現のため、BSAPとBSTSGは、Willing Heartsとその11台の車両に対し、タイヤの安全研修と点検プログラムを実施し、車両の安全確保のためタイヤを提供しました。また、Willing Heartsの車両の整備を行う、BSAPとBSTSGのお客様であるH-Tyresと連携し、今後Willing Heartsの希望に応じてタイヤの装着を支援していきます。

2)食糧支援
10名の従業員ボランティアが、50か所以上に約100食分の食料を届けました。この作業を終えた後、各ボランティアはWilling Heartsに戻り、食料配給所での支援に参加しました。

3)食料配給所でのボランティア
BSAPとBSTSGの従業員31名が、ご飯を炊いたりパックに詰めたりするエリアと、魚のマリネを調理するエリアにそれぞれ割り当てられ、支援活動を行いました。

身近で使いやすい地域医療サービスの提供(インド)

国やコミュニティが社会経済上の発展を目指すにあたっては、健康指標を改善していくことが有効と考えられており、「すべての人に健康と福祉を」という取り組みは、SDGsで掲げられる目標の中でもとりわけ重要なものとして位置づけられています。一方で、医療費を手の届く範囲内に抑え医療サービスを身近なものにすることは、社会にとって常に大きな課題となっており、とりわけインフラ整備がままならない農村地域においてはこの傾向が強くなります。

こうした状況を打開するため、ブリヂストン インディア プライベート リミテッド(BSID)は地域医療の向上に積極的に取り組んでおり、プネのチャカンとインドールのケーダーにある製造拠点周辺の農村地域に向けて、移動診療車(MHU:Mobile Healthcare Unit)による訪問診療を行うプログラムArogyamを開始しました。移動診療車は経験豊富な医療従事者のチーム、医薬品、基本的な診断設備を備え、2023年も41以上の村落で、予防と治療のための医療サービスを提供しました。今後も医療ネットワークや紹介サービスを固めていくことで機能を強化していく予定です。この取り組みでは、質の高い医療サービスを身近に提供することに焦点を当てており、早期発見・早期治療、時間と費用の節約、利用しやすく手の届きやすいサービスを確保することに努めているため、農村地域におけるヘルスケアへのプラスの影響が期待されます。

MHUは医療診断車両として機能するだけでなく、新型コロナウイルス感染症、栄養失調、貧血、水と衛生、結核、下痢など、日常にあふれる健康問題に関しての教育活動を普及させていく役割も担っています。MHUによる活動を進めるにあたり、各村落の二次的医療支援システムとの強固な連携・協力関係を築き上げたことで、生理衛生、公衆衛生、思春期問題などに大幅な改善がみられています。また、各種健康関連のトピックについて合計1,032のセッションを開催し、9,284人の地域の方々が参加しました。MHUを用いて、プネのチャカン工場とインドールのケーダー工場の近接地域40か所を対象に活動を進め、外来診療と行動変容コミュニケーションを図る意識啓発セッションを通じて、これまでに5万人を超える地域の方々にサービスを提供しました。

B-Olympic(BSEMEA)

「B-Olympic」はウォーキング、ランニング、サイクリング、スイミング、ウェイトリフティングに加えショッピングやガーデニングなど、あらゆる種類の活動をキロメートル(km)に換算して、貯めることができるデジタルプラットフォームです。
ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMEA)では、より活動的・健康的なライフスタイルを目指して毎年意欲的な目標を設定し、従業員が運動や日常生活活動でkmを集め、目標距離に応じた金額を17の地域のがん慈善団体へ寄付しています。2023年は全体で220万kmの目標を達成し、約135,000ユーロを寄付しました。過去6年間の活動の寄付金額は総計約890,000ユーロに達しています。この取り組みには、イタリア、ベルギー、ハンガリー、ポーランドをはじめ、様々な拠点の従業員が参加しています。

バリ工場の献血活動(イタリア)

2023年、ブリヂストン バリ工場では、献血や血漿成分献血が258件行われました。2022年の247件と、過去の記録からみても献血件数は増加しています。こうした活動の結果、ブリヂストンによる献血はプーリア州の一部の都市の人たちによる献血の割合を超えています。

重症児のためのキャンプ活動「Barretstown Camp」(アイルランド)

ブリヂストン アイルランドの従業員は、重症児のためのキャンプ活動「Barretstown Camp for Seriously Ill Children」にボランティアとして参加し、ペンキ塗り、庭づくり、倉庫の整理作業などにあたりました。このキャンプ活動では、1万人以上の子どもたちとその家族にショートステイを提供するシーズンに備えて、外部のボランティアの協力も得て会場のメンテナンスを行っています。今回は合計20名の従業員チームが8時間のボランティア活動を行いました。

「Handi Free Riders」への支援活動(フランス)

「Handi Free Riders(HFR)」は、10年近くにわたって障がいのあるライダーを支援し、オートバイへの情熱を取り戻してもらう活動を続けてきた団体です。オートバイでの大事故を経験したライダーによって設立されたHFRの使命は、障がいのあるライダーがオートバイへの愛着心を再び呼び起こし、サーキットに戻って来られるようにすることです。
ブリヂストンは2016年からこの団体を支援しており、年間1万5,000ユーロを寄付しています。HFRの取り組みによって、多くのライダーが数か月から数年ほどをかけた辛抱強い努力の末にバイクをまた運転できるようになっています。バイクへの復帰は、多くのライダーにとって、希望を持って障がいの克服を目指す新しい人生行路になっています。

小児がん病院の模様替え改革支援(スペイン)

Juegaterapia Foundationは、小児がんの治療現場を暖かみのあるものにしようという意図の下に設立された団体で、暗いイメージのある未使用の病院スペースを、子どもたちのためにカラフルで居心地の良い場所に変えていく取り組みを進めています。今年、ブリヂストン スペインから代表としてAitor ReyとMaría José Fernandezの2名が、Niño Jesús Hospitalにおける庭園の開園式に参加しました。「El Jardín de mi Hospi(私の病院の庭)」と称したこのプロジェクトには長年にわたって貢献を続けており、今回この病院にもたくさんの色があふれ、がんに苦しむ子どもたちも喜びでいっぱいになりました。現在、Niño Jesús Hospitalは新プロジェクト立ち上げの調査段階に入っているため、今年はスペインにある他の病院と連携して活動を拡大しており、マラガにある母子病院Maternal and Child Hospital of Malagaで進めているプロジェクト「El Valle Encantado(魔法の谷)」などに取り組んでいます。

当社グループの従業員を対象に、Juegaterapia Foundationへの寄付者向けの抽選キャンペーンを実施し、集まった寄付金はマラガの母子病院プロジェクトの支援に直接充てられています。さらに、これと連携する企画としてクリスマス宝くじも実施しました。くじの10分の1をブリヂストンとFirst Stopからの寄付枠としたうえで、宝くじを取り扱うPlay Loteriasを通じて、10口購入するごとにJuegaterpiaに1ユーロを寄付できるという仕組みになっています。

こうしたキャンペーンを通じて、当社グループは1,000ユーロを寄付し、従業員からは1,327ユーロが集まりました。

より安全な移動支援と障がい者へのメンタリング(インド)

このプロジェクトの目的は、障がいを持つ人たちの自立を援助することにあります。経済的に余裕のない家庭環境にあって身体的な障がいを持つ100人の方を対象に、彼らの生活に必要とされる、利用しやすく高性能で目的に合った安全なモビリティソリューションを提供し、高等教育や経済的自立を叶えて人生の目標を達成してもらおうというものです。こうした狙いの下、このプロジェクトでは社会の中のこうした人たちが障がいを乗り越えて自信を高め、目標を達成できるような支援を実施しています。具体的には、充実したメンタリング、アドバイス、サポート、経済的自立に向けた成長のサポートといった対応を進め、3年以上の支援をしていきます。また、社会文化的なイベントを通して自信を高めてもらうことを目的に、同じ志を持つ人たちと意見を交換できるプラットフォームや支援態勢も整えています。

女性デーと月経随伴症状についての意見交換(MEA)

国際女性デーの一環として、ブリヂストン ミドルイースト アンド アフリカ エフゼットイー(BSMEA)はMouvement Femme et Paroleと提携し、経済的・社会的に恵まれていない立場の少女たち40人と月経随伴症状についての意見交換を企画しました。
世界的に、月経不安は女性が仕事を進めていく上でも個人としての成長を考えた上でも障壁になっていると認識されています。この相談会の目的は、少女たちに女性の衛生と生理について理解を深めてもらい、実践的なアドバイスをすることで、毎月の月経随伴症状への向き合い方の改善を図るものです。意見交換を終えた後には、生理用ナプキン100枚と生理用キット25個を配布しました。

Bridgestone Athletics Centre(オーストラリア)

ブリヂストン オーストラリア アンド ニュージーランド(BSANZ)は、次世代の優れた才能やレジリエンスを育む上で、スポーツが重要な役割を果たすと考えています。オーストラリアのソールズベリーにあるBSANZの旧タイヤ工場は、世界で通用するスポーツ施設「Bridgestone Athletics Centre」として生まれ変わりました。6.8ヘクタールもの広大な敷地をソールズベリー市に寄贈すると共に、資金提供を行いました。鮮やかな青いランニングコースは、50トンの使用済みのゴムを再利用して作られています。同センターは一般に公開されており、様々なアスリートが使用する重要なトレーニングの場となっています。

バスケットボールコートの改修(タイ)

タイ ブリヂストン カンパニー リミテッドはAHL(Active and Healthy Lifestyle)に注目しており、セールスチームと地域の販売店Sri Racha Krit Karn Yang及びCOCKPIT Laemchabang Inter Autotireの協力のもと、レムチャバン ヘルス パークにあるバスケットボールコートの改修を行い、地域社会に貢献しました。改修完了に伴い、コートは維持管理を行う地元自治体に引き渡されました。コートには一地域の人たちが一日中頻繁に訪れており、運動や親善試合を行うのに理想的な場所となっています。