ブリヂストングループは、2030年までに商品・サービス・ソリューションのライフサイクル、バリューチェーン全体(Scope 3※1)を通じて、当社の生産活動により排出するCO2排出量(Scope 1、2※1)の5倍以上のCO2削減に貢献していく※2ことを目指しています。「断トツ商品」及び「断トツサービス」によるソリューションを提供しながら、原材料調達、流通、お客様の使用時、再利用・リサイクルの過程におけるCO2 削減に貢献していきます。また、お客様・パートナーの皆様のCO2 削減やカーボンニュートラル化に寄与することで差別化・競争力強化を図りながら、社会全体のCO2 削減に貢献します。
- ※1目標は、非継続事業を除く生産拠点からの排出を対象としています。Scope 1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからのCO2排出)、Scope 2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope 3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量などを指しています。
- ※2基準年:2020年
タイヤ事業における低炭素技術と環境対応商品
CO2削減貢献の拡大
タイヤのライフサイクル全体で見ると、製品使用時のCO2排出量の割合が最も大きく、全体の約9割を占めています※1。お客様が使用する際に排出されるCO2の削減に貢献する商品・サービスとして、商品設計基盤技術「ENLITEN®」を搭載した低燃費タイヤや、運行管理サービスを提供するモビリティソリューションの開発・拡充を進めています。
2023年は、タイヤの転がり抵抗低減や車両運行管理などを提供するモビリティソリューションによる車両走行中のCO2排出量削減を進めたことで、上記の削減活動及びバリューチェーン全体の活動を合わせたCO2削減貢献量は、約349万トン相当※2となり、生産活動により排出するCO2排出量の1.87倍となりました。今後もCO2排出のモニタリング方法を改善しながら、CO2削減貢献を拡大していきます。
- ※1一般社団法人 日本自動車タイヤ協会編「タイヤのLCCO2算定ガイドライン Ver.3.0.1」
- ※2一般社団法人 日本自動車タイヤ協会編「タイヤのLCCO2算定ガイドライン Ver.3.0.1」をベースにブリヂストン独自の算定方法で算定
環境対応商品・サービス事例
ブリヂストンでは、コア事業であるプレミアムタイヤ事業で多様なニーズに応えた環境対応商品を開発・販売しています。
従来性能を全て向上させた上で、環境性能、市場・お客様ニーズとウォンツを叶え、さらにインスパイアさせる性能を大幅に向上する商品設計基盤技術「ENLITEN」を搭載した多様な商品で環境負荷低減に貢献していきます。
商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」
「ENLITEN」はタイヤの基盤性能を拡大し、従来のタイヤ性能を全て向上させた上で、サステナビリティへ繋がる環境性能、それぞれの市場やお客様のご要望によって顕在化している要求(ニーズ)、潜在的な要求(ウォンツ)、さらには当社が市場・お客様が想像もしえない新たな価値を提供する性能(インスパイア)をカスタマイズして大幅に向上する、商品に「エッジを効かせる」ことのできる商品設計基盤技術です。
乗用車用タイヤにおいては、「EV時代の新たなプレミアム」、トラック・バス用タイヤにおいては、「循環ビジネス時代の新たなプレミアム」と位置づけ、その価値を技術から、商品、ビジネスモデルへと拡大していきます。タイヤの転がり抵抗低減、軽量化により、EV航続距離の延長、電費の大幅改善、クルマの電池ライフの延長へ貢献し、さらに、資源生産性向上、高耐摩耗性能により環境負荷低減にも貢献していきます。EVの困りごとを足元から解決することを軸に、今後も「ENLITEN」搭載商品の拡大を進め、市販用タイヤにおける「ENLITEN」搭載率を2023年8%から、2024年は20%へ、さらに2026年までには累計で45商品を投入し65%まで引き上げることを目指していきます。
ENLITEN技術搭載タイヤ「REGNO GR-XⅢ」
「REGNO GR-XⅢ」は、「ENLITEN」を国内市販用乗用車向けタイヤとして初搭載した商品です。環境性能については従来品同等の低燃費性能に加えて、ISCC PLUS認証※3に基づいたマスバランス方式※4によって再生資源や再生可能資源を原材料の一部(合成ゴム)に用いるなど、カーボンニュートラル化及びサーキュラーエコノミーの実現に貢献しています。
環境負荷低減に貢献する商品例p>
世界最高峰のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge」の支援
「Bridgestone World Solar Challenge」は、世界有数のソーラーカーレースで、オーストラリアのダーウィンからアデレードまでの3,000kmを走破するものです。「最もサステナブルなEV」とされるソーラーカーの開発など、技術革新やモビリティの進化へ向けて世界中の若きエンジニアをインスパイアし、挑戦を後押ししています。当社グループは、タイトルスポンサーとして同大会をサポートするだけでなく、出場チームに対する再生資源・再生可能資源比率63%の「ENLITEN」技術搭載タイヤの供給も行い、参加チームの熱い挑戦を支え、将来を担う若きエンジニアを応援し続けると共に、チームを足元から支えるサステナブルなタイヤ技術の開発を強化し、次世代のモビリティ社会の実現に貢献していきます。
ソリューション事業
モビリティデータを活用し、車両運行管理などを提供するモビリティソリューション事業において、欧州Webfleet Solutions、北米Azugaを中心に合計約120万台の契約車両とつながっています。Webfleet Solutionsとドイツのスタートアップ企業であるChargylize社が、運送業者のEV化を支えるためのパートナーシップを2022年に締結しました。車両データの分析を通じた最適なEV車両提案と共に、EV運行管理、充電ソリューションなど最適なオペレーションをサポートすることで、カーボンニュートラルなモビリティ社会を足元から支えていくことに挑戦していきます。
また、トラック・バス系のタイヤセントリックソリューション事業では、「断トツ商品」とリトレッドを連動し、タイヤ一本一本を使い切ることでタイヤの価値を最大化する循環ビジネスモデルの確立へ挑戦しています。「循環ビジネス時代の新たなプレミアム」である「ENLITEN」搭載商品を拡充し、高耐久・耐摩耗性などを追求した競争力の高い新品タイヤをベースに、資源生産性や、CO2排出量削減にも貢献するリトレッドについてリトレッド回数の拡大などを進めます。
さらに、タイヤ空気圧と温度をモニタリングするデジタルツールTirematicsは、2012年に欧州からサービスを開始し、サービス内容を拡充しながらグローバルで広く展開してきました。お客様の安全運行と安定稼働、さらにタイヤの空気圧不足による車両燃費の悪化を防ぐことで、車両走行中のCO2排出量削減などの環境負荷低減にも貢献しています。
2023年はモビリティソリューション事業により、契約車両走行中のCO2排出量を約31万トン相当削減することに貢献しました。
化工品・多角化事業における環境対応商品・サービス事例
低燃費ゴムクローラ「Vortech®(ボルテック)」
ブリヂストンが開発した低燃費ゴムクローラ「Vortech®(ボルテック)」は、装着する建設機械から発生するCO2の削減に貢献する、新世代のゴムクローラです。
「Vortech®(ボルテック)」は、従来品と同等以上の耐久性能を確保しつつ、内部構造やトレッドパターンを最適化し、ゴムクローラが回転する時に発生する屈曲抵抗を大幅に低減します。駆動ロスを削減して車両の燃費を改善すると共に、車両の軽快な動きの実現や作業効率の改善にも貢献します。※
※クローラ仕様、稼働条件等により効果は変動します。
高耐圧性の水素充填用ホース
昨今、水素社会の実現に向けて自動車の開発やインフラの整備が進んでおり、各地で水素ステーションの設置がさらに進んでいます。水素ステーションでは、ホースを使用して水素をタンクから車両に充填しますが、このときの水素は高圧に圧縮されているため、使用するホースには高耐圧性が求められています。現在、国内の水素ステーションにおける水素充填時の最高圧力は最大70MPaから82MPa(メガパスカル)へと充填圧力が引き上げられています。これにより、水素の充填量を増やすことができ、航続距離延長や充填時間の短縮にもつながっています。2015年に82MPaの耐圧性を有するホースの商品化を実現して以来、ブリヂストンは水素社会の実現に向けたさらなる利便性の向上に貢献しています。