社会|人的創造性

一人ひとりの生産性・創造性(人的創造性)の向上

一人ひとりの生産性・創造性(人的創造性)の向上

ブリヂストングループでは、事業戦略と連動した人財戦略の推進に向けて、事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを人財戦略の軸とし、付加価値の最大化、人財一人ひとりの生産性・創造性の向上に向けて、持続的な成長を図る様々な取り組みを進めています。これらの取り組みを表す指標として、「人的創造性」を2023年から試行し、中期事業計画(2024-2026)からグローバル経営KPIとして導入しています。「人的創造性」は、人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生むことを基本的な考え方としています。調整後営業利益(付加価値)を人財投資(労務費、教育訓練費、福利厚生費の和)で割ったものを「人的創造性KPI」と定義し、グローバル共通の一本の軸として、グローバルの推移を把握しながら、地域別・国別の課題に取り組んでいます。

この人財戦略を推進し、「人的創造性」を向上させていくにあたり、グローバル共通の重点課題である「ブリヂストンらしい人財の確保」、「人財能力開発」、「働きやすい環境整備」、「多様な人財が輝ける場所の提供」に取り組み、また、事業戦略と連動した人財ポートフォリオ推進・強化を図っていくべく、「人財の見える化」「ポジションの見える化」の取り組みにも着手しています。

人的創造性 KPI

ブリヂストンらしい人財の確保 -経営・業務品質の向上-

当社グループは、創業以来、「最高の品質で社会に貢献」を不変の使命として、変わりゆく社会のニーズに対応し、安心・安全なヒトとモノの移動を支え続けるために、事業を拡大・進化させてきました。「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」「挑戦」というブリヂストンDNAはブリヂストンの挑戦の歩みとその歴史の中で培われたものです。こうした4つのDNAに共感し、体現していく「ブリヂストンらしい人財」を確保していくことは、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」で掲げている「常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストン」に向けて、また、中期事業計画(2024-2026)の初年度2024年において、「良いビジネス体質を創る」すなわち、経営・業務品質向上に取り組んでいくために不可欠であると捉えています。そして、その基盤となるのは1960年代に、卓越した総合的品質管理を実施している企業に与えられる「デミング賞実施賞」の受賞に向けて策定した当社独自の「デミング・プラン」です。1968年にデミング賞実施賞を受賞し、その活動は、当社グループの使命である「最高の品質で社会に貢献」及び、ブリヂストンDNAである「品質へのこだわり」に強く反映されています。「現物現場」で行われている継続的改善活動は、当社グループのグローバルでの財産となっており、この財産を大切に、リーダーから、組織全体、そして従業員一人ひとりが、それぞれの役割の中で、イノベーションと継続的改善を推進し、当社グループのあらゆる業務において、生産性の向上や、質の高い業務を遂行することを常に目指すという意味のオペレーショナルエクセレンスを追求することが業務品質の向上につながっていくものと考えています。ブリヂストン独自のデミング・プラン再浸透活動強化を図るべく、ブリヂストンらしい経営品質/業務品質向上勉強会を2023年より当社経営層から開始し、2024年からは、さらに幅広い層に実施していくと共に、グローバルへ展開していきます(当社Global EXCO メンバーは2024年3月に創業の地 久留米にて勉強会を実施)。

※当社グループの、執行役および主要事業体・機能の責任者で構成する、事業戦略・執行を統括する最高位の会議体

人財能力開発

人財能力開発(挑戦意欲の向上・リーダーシップ開発・デジタルスキル強化・幅広い層に対する学びの機会)

当社グループは事業戦略と連動した人財戦略に基づく人財育成を推進しています。「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の実現、中期事業計画(2024-2026)の遂行に向けて、ブリヂストンDNA強化を進めていくと共に、会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものであるよう、自ら挑戦・成長する意欲ある人財が更なる価値創出につなげていくための人財育成施策を加速させ、付加価値を上げることを目指しています。この価値創造の好循環を生み出すことで、従業員のエンゲージメント向上にもつなげていきます。
人財能力開発における各領域の考え方や地域別の取り組みは以下の通りです。

  1. (1)
    挑戦意欲の向上
    「挑戦」に関しては、特に探索事業において、他社とのアライアンスに加え、社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を立ち上げ、新しい事業をゼロから創り出したいという起業家精神を持った多様な人財が集結、早期の事業化に挑戦するなど、「多様な人財が“輝く”、多様な挑戦の場」づくりを進めています。当社グループには、プレミアムタイヤ、ソリューション、化工品・多角化といった幅広い事業領域と川上(原材料)から川下(販売・サービス)までのバリューチェーンがありますが、どの事業領域・バリューチェーンにおいても、ステークホルダーにさらなる価値を提供すべく、主体的に行動を起こし、挑戦する姿勢は不可欠と考えています。2023年、日本からスタートした「現場100日チャレンジプログラム」は、2024年以降、グローバルへの展開も進め、さらに多くの従業員の挑戦を後押ししていきます。
  2. (2)
    リーダーシップ開発
    当社グループは150か国以上で事業を展開しており、海外売上比率は約80%となっています。より進化させた「グローカル」経営体制の構築と共に、将来にわたり、持続的に成長し、企業価値向上を図っていくためには、単にビジネスに精通するだけでなく、異文化対応力を持つ次世代経営リーダーの育成が急務であると考えています。各地域・国別にリーダーシップ開発を進めると共に、次世代グローバル経営リーダー育成を目的とした「Bridgestone NEXT100」ではグローバルで毎年約100人を選抜し、各経営報告会議体への参画、海外ビジネススクール研修への参加等を通じた重点育成も進めています。「Bridgestone NEXT100」プログラムには、これまで延べ180名強のリーダー候補が参画しており、その中から2名が2024年1月に常務役員に昇格しています。
  3. (3)
    デジタルスキル強化
    “リアル”דデジタル”の融合による社会価値・顧客価値の創造は中期事業計画(2024-2026)の達成、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の実現に不可欠であると考えています。デジタル領域に関しては、グローバルでデジタル人財の育成・獲得を図っています。当社では、2023年より導入した幅広いレベルをカバーした「デジタル100日研修」に延べ700名を超える従業員が自分に合ったレベルを組み合わせたプログラムに参画し、デジタルスキル強化に取り組んでいます。なお、2023年デジタル人財はグローバルで約1,600名となっています。「より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」をコンセプトとして、当社のこれまで培ってきた現場力などの強いリアルに、デジタル力を融合させた価値創造を進化させるため、今後も各地域でデジタル人財の育成・獲得を推進し、2026年に2,000名レベルへ拡充することを目標としています。
  4. (4)
    幅広い層に対する学びの機会
    従業員一人ひとりの生産性・創造性の向上に向けて、意欲ある人財に継続的な学び(研修や教育)と挑戦の場を提供することは、会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現を両輪とし、レジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへ変革させていくために非常に重要なものと考えています。地域別・国別の状況を踏まえながら、グループ全体で学びと挑戦の機会に対する人財育成投資を実行していきます。

上記の中で、2023年、グループ全社で合計236万3,276時間を従業員研修に投資しました。これは従業員1人あたり、年間平均19.6時間(2.6日)※1に相当します。

2020 2021 2022 2023
当社グループの従業員一人当たりの研修・能力開発の平均時間 10.3※2 11.1※2 15.3 19.6
スクロール
  1. ※1 1日あたり7.5時間を労働時間として換算。
  2. ※2 一部の研修はCOVID-19感染拡大の影響により中止、又は、延期されました。

地域別の取り組み

日本

挑戦意欲の向上:

当社では、自ら手を挙げて各業務における国内外の現場において、自分で立てた課題・仮説の調査・検証に取り組む「現場100日チャレンジプログラム」やマネジメントへのチャレンジ意欲のある若手従業員が、マネジメント補佐として早期にマネジメント経験に挑戦する「マネジメント・チャレンジ制度」等を導入し、意識と行動変革を進めています。なお、2023年は、現場100日チャレンジプログラムには15名、マネジメント・チャレンジには10名がそれぞれ参加しました。

リーダーシップ開発:

当社では、マネジメント・ビヘイビア基盤強化支援として組織マネジメントを担うライン長(管理層)全員を対象に、以下連動した取り組みを進めています。

  • 360度評価
    多面評価を通じて、ライン長がリーダーシップ発揮に関する自身の特性を振り返り、チームの成果と成長へ導くためにマネジメント・ビヘイビア強化を図るプログラム
  • コーチング研修
    チームメンバー一人ひとりの成長に向けた効果的対話、動機づけの要諦として、「コーチング」スキルを学び、メンバーの行動・成長支援のための行動実践につなげるプログラム

また、全従業員向けの研修体系「人財育成カレッジ」の中で、事業を経営していく上で必要な能力の強化支援として、主に基幹職を対象に、実際の当社グループのビジネステーマを取り扱ったアクションラーニング型のプログラム「ビジョナリー企業戦略研修」を実施しています。

※ 当社の基幹職とは、ライン長(幹部層・管理層)、スペシャリスト、主査を指しています。

デジタルスキル強化:

当社では、2023年に、個々のデジタルスキルレベルにあわせてプログラムを選び、学びに挑戦できる、幅広いデジタルスキルレベルをカバーした「デジタル100日研修」を導入しました。デジタルリテラシー協議会がまとめたデジタル基本リテラシーを座学で学ぶ初級研修、自身の担当業務に関わるデジタル技術の演習をベースにより深く学ぶ演習研修などで構成しています。2023年には延べ700名を超える従業員が自分に合ったレベルを組み合わせた本プログラムに参画し、デジタルスキル強化に取り組んでいます。また、中級・上級向けには、東北大学に社員を派遣する「ブリヂストン×東北大学共創ラボ」プロジェクトを2021年から開始し、AIやアルゴリズムの企画開発を通じてソリューションビジネスや研究開発の中核を担う「AI/アルゴリズムエキスパート」、ビジネスの現場で課題を抽出し、デジタル技術を用いたソリューションの提案につなげることができる「ソリューションフィールドエンジニア」の育成を進めています。

幅広い層に対する学びの機会:

当社では、職種にかかわらず、全従業員に共通して必要な能力(職務遂行力・マネジメント力)を強化すること、自ら挑戦・成長する意欲のある従業員を支援することを目的とした研修体系「人財育成カレッジ」を構築・運営しており、「学ぶ機会」と「実践の場」を効果的に組み合わせることで、個人の成長と能力発揮、組織の活性化、事業戦略への貢献を図っています。また、受講者の声やニーズを把握し、PDCAをしっかり回しながら、毎年プログラムのレビューや拡充も行なっています。こうした全社研修に加えて、各部門で必要とされる「研究開発」「生産技術」「安全防災」「品質」「環境」「販売」「財務」「知的財産」「広報」などに関するスキルや知識を習得するために、各部門の職能専門研修担当部署による研修なども実施しています。
当社の主な研修機会の内容は以下の通りです(詳細については、本ウェブサイトの後段で表にて示しています)。

  • 入社時の育成
    • - 定期新入社員研修
      新卒採用者を対象に、入社してから各部署に配属されるまでに約7か月の研修を実施(従前の2.5か月からプログラム拡充)
    • - キャリア採用者研修
      入社初日のオリエンテーションに加え、四半期に一度、約2週間の集合研修と継続的学習支援としてのeラーニングを約3か月の期間内で断続的に実施
  • 学ぶ意欲のある従業員の支援
    当社基幹職及び一般層を対象に以下複数の形態での学びの機会を整備。受講に際しては、上司とのコミュニケーションによって本人の意欲や能力を勘案した受講コースを決定し、受講後は業務に活用することで学びを定着
    • - 集合研修:他者との議論や対話、ロールプレイングを通じてキャリア形成やビジネススキルの習得を図るための対面及びオンライン研修を整備
    • - 自己啓発支援:自身のニーズ・タイミングに合わせ、専門知識習得や資格取得、語学力の養成など、能力開発に取り組めるよう、eラーニングを含めて多様なコースを用意
  • 各種eラーニング
    企業理念及び、「Bridgestone E8 Commitment」や中長期事業戦略構想の中核である「サステナビリティ」に ついて、基盤的かつ日々の行動規範となる内容を毎年全従業員が繰り返して学習することを目的として実施。この他、全従業員が把握すべきトピックを学ぶ機会として幅広くeラーニングを活用

アジア・パシフィック・インド・中国地域

挑戦意欲の向上:

ブリヂストン アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド(BSAPIC)は、経験的な学びが人財能力開発に最も役立つと考えています。「挑戦」に焦点を当て、従業員が新たなチャレンジと成長の機会を絶えず追求することを奨励しています。これは、グループ会社間の人財配置・交流、地域間/機能間の協働プロジェクトや知見共有を通じて、イノベーションを推進し、ビジネスの課題に効果的に取り組むことで実現されると考えています。また、BSAPICでは、2024年後半に日本で導入した「現場100日チャレンジプログラム」の域内導入など、新しい施策も実施し、地域・機能を跨いだ活動を戦略的に増やしていきます。

リーダーシップ開発:

BSAPICでは、将来のリーダー育成・輩出に向けて、域内の後継者計画を強化するために、いくつかの主要なトレーニングプログラムの実施と、360度評価ツールの活用に取り組んでいます。

  • 新任マネージャー向け研修:域内全体で新たに採用された、或いは昇進したマネージャーを対象に、ビジネス戦略、組織構造、主要な域内共通の取り組みについての理解深化を図るプログラム
  • ハイポテンシャル向けマネジメント研修:アジアトップクラスのビジネススクールとの提携により、戦略的思考や意思決定などのマネジメント全般のスキルを強化するプログラム。なお、2023年にはBridgestone EASTとしてのリーダーシップ開発の連携を図るべく、(株)ブリヂストンからも受講者を派遣しています。
  • マネジメント育成研修:中堅管理職や専門職に対して、自身やチームの効果を高め、戦略的なつながり作りとコミュニケーションを行うリーダーシップスタイルの実践を通じて自信と基盤を築くプログラム
  • 地域リーダーシップ会議:域内のトップ100のリーダーを対象に、ビジョンと戦略のアライン、BSAPIC経営陣との信頼構築、継続的な学習を促進するプログラム
  • 360度評価ツール:他者からの評価に基づいてリーダーシップの発揮度を測定するプログラム
デジタルスキル強化:

BSAPICは、あらゆる階層の従業員がデジタル技術を受け入れ、自身のパフォーマンス向上、組織的成功の推進につなげられるよう、後押しする取り組みを進めています。BSAPICでは、必要なスキルと能力を身につけられるよう支援していますが、デジタル領域でも、デジタルリテラシー/マインドセットを向上させる機会を通じて、将来に備えた競争力のあるデジタルスキルを従業員が備えられるよう、取り組んでいます。2023年には、データ可視化スキルとマインドセット、データ分析、Microsoft Officeアプリケーション、Power BI / 生産性ツール、ERPシステム、デジタルトランスフォーメーションなどのスキルを習得するために、合計7,300時間以上の研修を実施しました。

幅広い層に対する学びの機会:

BSAPICは、リーダーを継続的に育成する強固な仕組みを構築する上で、一連のマネジメントシステムの柱のひとつとして、2021年に研修・人財開発KPIを導入し、従業員に対して、継続的な学習と成長の文化を促進するために、年間40時間以上の研修受講を奨励しています。2023年には、年間合計534,900時間の研修を実施しました。これは、従業員一人あたり年間30時間以上に相当し、前年比で53%増加しました。

  • 「BE INSPIRED」キャンペーン:BSAPICは、2020年から「BE INSPIRED」キャンペーンを開始し、継続的に短時間で取り組む自己学習コンテンツの共有を通じて自律的学習の風土を促進しています。「BE INSPIRED」のコンテンツには、従業員向けに実用的な分野を中心としたソフトスキルとハードスキルに関するeラーニングコース、リーダーシップ開発、マネジメントスキル全般に関する内容が含まれています。
  • SuccessFactors E-Learning Systemの導入:2023年、域内全体にSuccessFactors(SF)のeラーニングシステムを導入しました。間接部門従業員を対象とすることから始め、2025年には直接部門従業員への拡大を図っていきます。BSAPICは、このシステム活用を通じて、従業員の能力開発において効果的で一貫性のある自律的学習経験を提供しています。7つの言語で提供される4,000以上のオンラインコース(ソフトスキルとハードスキル)で構成され、従業員はいつでもどこでも積極的にスキル向上と個人の成長に取り組むことができます。
  • 「Critical New Skills For the Future」の取り組み:2020年後半に、BSAPIC人財のスキルアップ及びリスキリングに必要な、95のソフトスキルと188のハードスキルの設定に着手し、2022年に完了しました。これらのスキルは、「70:20:10の(教育)モデル」に則って習得することができます。

※人財の成長には「経験」が70%、他者からの「薫陶」が20%、そして、「研修」は10%の割合で重要であるという考え方。

米州地域

挑戦意欲の向上:

ブリヂストン・アメリカス・インク(BSAM)は、事業の成果の実現に必要な能力を従業員が備えるべく、スキルに基づいた人財能力開発を実施しています。BSAMは、事業遂行上必要かつ重要な労働力のギャップを埋めるためにどのような能力開発が必要かを特定するとともに、ビジネス上の課題を協力して解決するための地域間での人財配置・交流の候補となる重要ポジションの特定も進めています。

リーダーシップ開発:

BSAMは、従業員が成功するためのスキル、能力を開発し、自信を培うことに焦点を当てています。BSAMには、ビジネスに直接関連する経験をトップタレントに提供する人財育成プログラムがあります。2023年には、「SEAL」「Navigation」「Ignition」「Shift」「Edge」「Communicate with Impact」「Women Unlimited」の7つの主要なリーダーシップ開発プログラムに300名以上の従業員が受講しました。

  • SEAL(Strategic Excellence and Agile Leadership):リーダー経験が10年以上のシニアレベル向けカリキュラム
  • Navigation:リーダー経験が5~10年のミッドキャリア向けカリキュラム
  • Ignition:リーダー経験が5年未満の初期キャリア向けカリキュラム
  • Shift:入社後3〜5年のマネージャー向けコアカリキュラム
  • Edge:入社後2〜3年のマネージャー向けコアカリキュラム
  • Communicate with Impact:入社後1〜2年の個人の知見や経験で組織に貢献する管理職向けコアカリキュラム
  • Women Unlimited:中堅~シニアレベルの幹部までの女性リーダー向けカリキュラム
デジタルスキル強化:

BSAMのデータ分析チームのビジョンは、データドリブンでソリューションに取り組む文化を社内に築き、社会価値、顧客価値、ビジネス価値を引き出すことと考えています。2023年には、クラス型とオンライン型の研修組み合わせによるプログラムを開始し、データリテラシーワークショップやオンラインでの101個のデータリテラシー学習コースを実施しました。2024年以降も従業員向けにこのようなデジタル学習の機会を拡大していきます。

幅広い層に対する学びの機会:

BSAMは、従業員が継続的に能力を高め、キャリアの目標に向けて前進し、長期的に当社グループで活躍してもらうためには、人財への投資が非常に重要であると考えています。この目標に向け、BSAMは様々な学びと挑戦の機会を提供するよう努めています。

  • LinkedInラーニングの導入
    BSAMは、LinkedInラーニングを展開し、BSAM全体での人財開発とキャリア開発を促進し、従業員が事業に貢献する上で必要となるスキルを確実に獲得できるようにしました。丁寧なコミュニケーションに加え、学習しやすくしたことで、2022年に、BSAMの従業員は65,000以上の学習ビデオを修了しました。LinkedInラーニングを広く導入したことで、BSAMの従業員が個人と事業の目標に貢献する能力を向上するためのさらなる人財開発を求めていることが実証されました。2023年には、「LinkedIn to Win」という学習キャンペーンを開始し、従業員にLinkedIn Learning内で毎月推奨されるコースの中から1つを修了するよう促す仕組みを設けました。24時間365日利用可能で、モバイル端末からも簡単にアクセスできるこれらのコースには、2023年には4,800名以上の従業員が142,000以上の研修動画を閲覧し、約15,000時間のLinkedIn Learningコースを修了しました。
  • 「キャリア&デベロップメントウィーク」
    年に一度開催される「キャリア&デベロップメントウィーク」において、各従業員が、幅広い多様なコンテンツの中から自由に選択し、対面およびオンラインのセッションに参加する機会を設けています。

欧州・中近東・アフリカ地域

挑戦意欲の向上:

ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMEA)は、従業員の将来の役割とビジネスニーズに対応するため、ターゲット指向のアプローチでの人財能力開発にも取り組んでいます。

  • 事業の成果の実現に必要な能力を従業員が備えるべく、スキルに基づいた能力開発を実施
  • 重要な労働力のギャップを埋めるために見出された人財を積極的に活用し、事業のニーズを満たすようサポート
  • 地域間の人財配置・交流の候補となるポジションを特定し、ビジネスの洞察力とグローバルなマインドセットを育む経験学習機会を提供

BSEMEAは将来のための人財能力開発に取り組んでおり、経験学習が最も効果的な機会であると考えています。新しいスキルを身につけ、多様なメンバーやチームと協働し、自身のキャリアを前進させ、自身とブリヂストン双方にとって意義のあるキャリアを築くことができるよう、さまざまな経験とチャレンジの機会を従業員に提供しています。

リーダーシップ開発:

BSEMEAは、ポジションに求められる要件とのギャップを評価し、それを埋めるための人財能力開発に投資することで事業の競争力を高めることを目指しています。マネージャー向けリーダーシップカリキュラムとして以下があります。

  • 「Lead4Success」:新任マネジャー向けリーダーシップスキル強化カリキュラム
  • 「Help Them Grow/Love Them or Lose Them」:チーム内のエンゲージメントと定着を高める対話を行うためのマネージャー向けカリキュラム
デジタルスキル強化:

BSEMEAはデジタルトランスフォーメーションを推進し、デジタル技術・ツールをより効果的に活用していく組織文化を作り出すことを目指しています。具体的には、オンラインのeラーニング作成ツール「Flowsparks」を導入し、各領域の専門人財が様々な拠点から独自のオンラインコンテンツを作成できるようにしています。生産現場のデジタルプログラムや入社時研修に使用されている他、会社方針やガイドラインの変更を従業員に周知する場合、DE&Iやサステナビリティに関する気づきや理解度を高めるための情報共有等にも使用しています。BSEMEA Salesチームでは新製品発表時に使用し、社内周知を実施しています。

幅広い層に対する学びの機会:

BSEMEAは学習する組織を目指しています。この為、各領域の専門人財が作成した短時間のオンラインコンテンツを自動的に翻訳し様々な国々で活用している他、全従業員向けの学習資料や教材の展開、各地域研修チームが主催する学習機会創出等、様々な取り組みをサポートしています。

  • LinkedInラーニング:
    BSEMEAは4年以上にわたりLinkedIn Learningを活用し、2023年からは「ウィークリー・リンクドイン・ラーニング」チャレンジを開始、B-Connectedを通じてBSEMEA全体に推奨コースを案内し、従業員の受講奨励に取り組んでいます。また、受講者の中からランダムに受賞者を選び、従業員の自発的な学びを促進しています。
  • 「GoFluent」:
    BSEMEAは2023年2月に「GoFluent」という無料オンライン言語コースを導入しました。すべての従業員(オペレーターや契約社員を含む)が12の異なる言語で語学スキルを学ぶことができるようにしており、2023年には合計4,000時間以上の言語学習が実施されました。
  • 「ラーニング・ウィーク」:
    BSEMEAでは、2023年に2回(4月、11月)の「ラーニング・ウィーク」を開催しました。CHROから研修活動に使用するための1時間のカレンダーブロックが送信され、複数のオンライン学習イベントが1週間にわたって開催されることが発表され、3,000名以上の参加者がライブで参加し、後日900名がe-ラーニング形式で修了しました。
  • メンタリング・プログラム:
    BSEMEAは、従業員がメンタリングプログラムに積極的に参加するよう、働きかけ、メンティー・メンター双方へのトレーニングを定期的に実施しています。

従業員のパフォーマンス向上、キャリア開発に向けた取り組み

当社グループは、全ての地域で業績評価システムを公正に適用しています。従業員は能力と成果に基づいて評価されます。包括的な評価原則を導入し、従業員と上司の継続的な対話を重視しています。従業員は、適切なフィードバックと支援を受けることで、意義とやりがいのある仕事を完遂し、成果を出し、スキルや能力の向上を図ることができます。また、オープンなフィードバック文化を推進するため、多面的な評価(360度評価など)をグローバル各地域で導入しています。
当社グループは全ての従業員の継続的・自律的なキャリア形成への取り組みを支援しています。全ての事業所で従業員にキャリア計画や能力開発計画の策定を推奨し、従業員は上司や経営陣と協力してこれに取り組みます。定期的なキャリア開発面談(評価)を受けている従業員の割合を以下の表に示します。

定期的に業績評価を受けている従業員の割合
2023
日本 合計 91%
株式会社ブリヂストン 100%
中国・アジア・大洋州 96%
米州 55%
欧州・中近東・インド・アフリカ 73%
スクロール
キャリア開発面談(評価)を受けている従業員の割合
2023
日本 合計 69%
株式会社ブリヂストン 94%
中国・アジア・大洋州 14%
米州 26%
欧州・中近東・インド・アフリカ 36%
スクロール

当社グループ全体でのモノづくり人財の育成

当社グループは世界に97の生産拠点(2023年10月時点)を展開しており、そのすべての生産拠点で製品の質を維持・向上することが重要と考えています。そのため、日本にある 「グローバル・モノづくり教育センター(G-MEC: Global Manufacturing Education Center)」では、各地域のSBU/事業所の人づくりの推進組織(日本:J-MEC、北米:NA-MEC、南米:LA-MEC、欧州:E-MEC、中国:C-MEC、アジア:AP-MEC、トルコ:BRISA-MEC)と連携し、そのSBU、事業所ごとに「マスター」と呼ばれるモノづくり人財育成のキーパーソンを育成することで、「ブリヂストン流モノづくりを実践できる人財育成」をグローバルに展開しています。

マスターの人数(2023年12月時点)(単位:人)
地域種別 日本 中国・アジア大洋州 米州 欧州・中近東・インド・アフリカ 合計
製造マネジメント 10 19 3 6 38
標準技能インストラクター 24 29 - 24 77
保全マネジメント 30 36 11 18 95
合計 64 84 14 48 210
スクロール

働きやすい環境整備/多様な人財が輝ける場所

当社グループは、多様な人財の活躍こそが「Bridgestone E8 Commitment」に表される価値の創出につながるという考えの下、多様な人財が輝く職場環境を整備しています。「Bridgestone E8 Commitment」と連動したグローバルカルチャーチェンジを推進するうえで、従業員エンゲージメントの向上を重要課題のひとつと位置付け、エンゲージメントサーベイによりモニタリングを行い、各地域の事例を共有し合う取り組みも始めています。また、2023年からはグローバル統一のエンゲージメントサーベイ※1,2を実施し、各地域の文化、特性の違いを尊重しながらも、グローバル共通の評価と活動の軸をもって、取り組みを深化・進化させています。

当社グローバル共通の強み及び更なる改善アイテム

当社グループの企業経営の基盤は、「安全宣言」に掲げている「安全はすべてに優先する」です。従業員一人ひとりが安全な職場で安心して働くための活動推進はもちろん、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様からも期待されており、高い安全基準の適用により当社グループの従業員や協力会社の労働安全・衛生を確保する上で、この安全宣言は一層重要になっています。当社グループは、高齢化に伴う人間工学的リスクの増加、規制の変更、機械や設備の老朽化、そして新技術の現場への導入にも対応するように安全基準を継続的に更新すると共に、当社グループが取り組みを開始する新規事業においても安全に対する意識を真摯に育んでいきます。 また、生産現場における環境整備に関しては、現場最前線の声を反映した即効性がある投資を実施し、福利厚生の充実化、職場環境改善、労働負荷軽減策に取り組んでいます。

当社グループは種々取り組みを通じて、多様な人財が“輝く”、多様な挑戦の場づくりをさらに進め、これらを通じて従業員エンゲージメントの向上や「Bridgestone E8 Commitment」による価値創造と連動した新たなDNAの創造、カルチャーチェンジの推進、女性リーダー人財の育成と登用、配置を実行していきます。「Bridgestone E8 Commitment」で示す8つの「E」は、ブリヂストンらしい価値創造の軸と指針となっており、当社グループの最高位の従業員表彰制度であるBGA(ブリヂストングループアワード)やTQM(Total Quality Management)大会においても、主要な審査基準として取り入れ、実際のビジネスや現場の改善活動にも組み込んでいます。エンゲージメントサーベイ含め、各種意識・行動を測る調査等も通じて、進捗を見える化し、PDCAを回しながら活動の質とレベルを向上させていきます。

  1. ※1 “社員エンゲージメント(コミットメント、自発的な姿勢)”と“社員を活かす環境(適材適所、従業員をサポートする環境)”に関わる質問に対し、従業員一人ひとりに6段階評価(非常にそう思う/そう思う/どちらとも言えない/そう思わない/まったくそう思わない/わからない、または当てはまらない)で回答してもらい、組織単位での状況を測定するものです。
  2. ※2 2023年 グローバル調査回答率 89%

地域別の取り組み

日本

日本においては、当社グループの海外拠点と比べ、エンゲージメントやDE&I (ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)領域でギャップがあり、その解消に向け、取り組んでいます。

  • エンゲージメント向上活動
    当社では、2020年より、労働環境の満足度を測る「満足度調査」から、自ら仕事に自発的に取り組もうとする意欲、および会社とのつながりに対する意識を測る「エンゲージメントサーベイ」へ切り替えました。また、2022年には、頻度を上げてエンゲージメント向上活動のPDCAを回すべく、パルスサーベイを導入し、四半期に一度、活動の効果や組織コンディションの兆候を確認する仕組みを取り入れています。こうしたサーベイ結果を全社・部門・職場単位で分析し、各組織の特徴も踏まえながら、課題抽出、改善実行のサイクルを回していくことで、多様な人財がさらに働きやすく、働きがいを持って取り組める職場づくりを進めています。その他、価値創造につながるエンゲージメント向上施策として下記取り組みが挙げられます。
    • - 創業の地研修(久留米訪問)
      当社グループで働く誇りの醸成を図るべく、入社時研修や新任管理職研修において創業の地である久留米へ訪問するプログラムを導入し、創業者の想いやDNA、企業理念を一層体感できるような機会を提供しています。日本で働く従業員だけでなく、当社Global EXCOメンバーや次世代グローバル経営リーダー育成プログラム「Bridgestone NEXT100」での海外ビジネススクール研修受講者等、海外拠点メンバーにも参加機会を創出しています。
    • - タウンホールミーティングの継続
      経営層と従業員が対話する機会(タウンホールミーティング)を継続し、一人ひとりの貢献と成長への意欲を引き出すとともに、従業員からの声を反映した取り組みへとつなげています。
  • DE&I推進の基盤構築への取り組み
    当社では、多様な価値観を尊重し、組織としての意思決定の多様化を進めるため、女性リーダーの育成・登用促進へますます注力するとともに、多様な人財の活躍基盤整備として、ライン長(全管理層:部長・課長)を対象としたDE&Iマネジメントワークショップの実施、女性特有の健康課題をテクノロジーを活用して解決するフェムテックプログラム導入等に取り組んでいます。概要については、「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の尊重」にて公表しておりますのでご参考ください。

アジア・パシフィック・インド・中国地域

BSAPICはCOVID-19感染拡大が始まった2020年以降、「Safety First, Show Care and Stay Connected」という共通の考えに基づき、BSAPIC地域の10の国と地域すべてにおいて、従業員の健康とウェルビーイングを最優先にした様々な活動を展開してきました。今後も、従業員のパフォーマンス強化とワークライフバランス向上の両立を図っていきます。

  • 地域横断のタスクフォース
    BSAPICでは、2021年に地域横断のタスクフォースを立ち上げ、従業員の柔軟な働き方の支援及びワークライフバランスの促進のため、ハイブリッドワーク(オフィス勤務とテレワークの併用)や健康及びウェルビーイングに関するBSAPICとしてのガイドライン整備に取り組んできました。それに基づき、2022年には10の国と地域すべてのBSAPICグループ会社でハイブリッドワークを導入し、国や拠点ごとの状況に応じて柔軟に、各地域に適した形で実行しました。また、従業員のワークライフバランスとウェルビーイングのさらなるサポート強化に向けて、会議運営や就業時間外のコミュニケーションに関する補足的ガイドラインもグループ会社で展開しました。

ワークライフバランスを促進し、従業員のエンゲージメントを高める上でのハイブリットワークモデルの価値を認識し、BSAPICグループ会社はこのワークモデルを継続しています。テレワークとオフィスでの柔軟な働き方を提供することで、BSAPICは協力的でインクルーシブな職場文化を醸成することに取り組んでいます。

BSAPICは、エンゲージメントサーベイを通じて、従業員のエンゲージメントと組織文化を評価し、向上させることに積極的に取り組んでいます。過去5年間、BSAPICでは、エンゲージメントサーベイにおいて着実な進展が見られています。 調査結果は、BSAPICの従業員が高いエンゲージメントと能力を持ち、組織に対する誇りと貢献度が高く、自身のスキルと能力を活かすことができる環境が整備されていると受け止めていることを示しています。BSAPICでは、これらのサーベイを、従業員の視点を理解し、組織全体での継続的改善の取り組みを推進するための貴重なツールとして活用していきます。

米州地域

BSAMは、チームの価値創出活動への支援、多様なニーズへの対応など、ウェルビーイングを促進する風土の醸成をミッションとしています。そのためにも、従業員の声に耳を傾け、頻繁にコミュニケーションをとり、戦略的パートナーシップを構築するための取り組みを継続して進めてきました。そして、従業員のウェルビーイングを支えるべく、様々なリソースを整備し、福利厚生プログラムの充実化、教育の機会を提供しています。また、福利厚生プログラムにおける公平性を確保し、従業員とその家族の医療とウェルビーイングへの障壁を取り除くことにも取り組んでいます。
2022年、今後のウェルビーイングプログラムのさらなる強化につなげるため、BSAMの全部門で選任しているウェルビーイング推進者から意見を聞くことを目的とした「ウェルビーイングタスクフォース」を立ち上げました。2023年には、従業員リソースグループ(ERG)や外部ベンダーと提携し、女性の健康とウェルネス、家族の目標と計画、軍人や退役軍人の自殺予防などのトピックに関するウェビナーを提供しました。さらに、BSAMはウェルビーイング施策を更に強化すべく、従業員の身体的、精神的、経済的な健康をサポートするための新しい福利厚生プログラム「Well-being Space」を継続実施しています。毎月、健康的な生活をサポートするウェルビーイングに関するテーマを取り上げ、病気予防やストレスマネジメントから、困難に直面した際の法的支援、リタイアに向けた計画や、子どもの大学費用の積み立てまで、従業員が必要とする支援を提供するための一連のツールやリソース、パートナーシップを用意しています。また、2024年1月1日より、米国の労働組合に属さない時給制および月給制の従業員に対して、以下取り組みを拡大しています。

  • 有給育児休暇の増加
  • 会社負担の長期障害福利厚生の導入

欧州・中近東・アフリカ地域

BSEMEAでは、組織風土のキードライバーを定量的に測定するパルスサーベイを毎月継続実施しています。このパルスサーベイには「ウェルビーイング」、「エンゲージメント」、「企業文化」、「協力体制」の4つの区分を設定し、スコアから改善が必要な項目を抽出し、向上させる活動につなげています。BSEMEAは、パルスサーベイを通じて集められた、率直な意見が反映されたデータ活用に注力しています。2年前にこの方法を採用してから、様々な従業員グループにおいてウェルビーイング、エンゲージメント、企業文化へのプラスの効果が見られました。具体的には、「B-Olympic」を通じた、従業員のウェルビーイングへの取り組み、や、心理的、社会的、身体的ウェルビーイング、職場環境の4つに焦点を当てた行動計画の体系化への活用などが挙げられます。また、生産拠点では、過去数年にわたって継続的にカルチャーチェンジを図る「B-ME」(Bridgestone Manufacturing Excellence)という取り組みを進めており、従業員の技能熟練化や動機付け、自律的なチームによる大幅な職場改善につなげています。「B-ME」プログラムは、生産に従事する従業員の育成とエンパワーメントに継続的に寄与しており、今後もプログラムを拡大していく予定です。

働き方変革の取り組み

当社は労働基準法を遵守し、時間外労働の削減に取り組むとともに、従業員の年次有給休暇の取得を促進しています。また、柔軟な働き方を実現すべく、フレックスタイム制、裁量労働制、テレワーク、時間単位の有給休暇など各種制度の充実を図っています。さらに、働き方変革として、対面コミュニケーションの充実化も図りながら、テレワークと出社を効果的に組み合わせる「新しい働き方」の浸透に取り組んでおり、各部署において更なる価値創造に向けた働き方の見直しを実行しています。当社は「新しい働き方」によって、生産性の向上と価値創造の両立を目指し、柔軟かつ効果的、多様な働き方の追求と実現を推進していきます。

2023年の日本国内における当社従業員の年次有給休暇取得率は87.5%、平均取得日数は17.5日でした。
(2022年は年次有給休暇取得率:87.0%、平均取得日数:17.4日)。
また、当社では、一定時間以上の長時間労働を行った従業員を対象に産業医による面接指導を実施し、過重労働による健康障害発生の防止、従業員の健康維持を図っています。

平均年間総実労働時間1,941時間(2023年度) (2022年度は1,961時間)
平均年間所定外労働時間 216時間(2023年度) (2022年度は242時間)

※ (年間総実労働時間)=(年間所定内労働時間)+(年間所定外労働時間)−(年次有給休暇取得分)−(その他の休暇取得分)

過重労働防止・柔軟な働き方を実現すべく、以下取り組みを行なっています。

  • 労働時間委員会や他の委員会の活動を通じて、現状の課題や改善に向けた取り組みについて労使で情報を共有
  • 年次有給休暇の取得目標の設定、及び結果に関するモニタリング
  • ワークライフバランスセミナーの実施
  • 2011年より、在宅勤務制度(現テレワーク制度)を導入
  • 2017年4月以降、総労働時間の削減措置として、規定の勤務時間(日中)で働く従業員の所定労働時間を8時間から7時間半に短縮
  • 2021年より、年次有給休暇を年間5日(40時間)まで1時間単位で取得できる制度を導入
  • 2024年より、フレックスタイム制におけるコアタイムを廃止

福利厚生

当社グループは、多くの事業拠点で、法律上の最低要件を超える福利厚生(「ハイブリッドワーク(オフィス勤務とテレワークの併用)」、保育施設の設置、有給の出産休暇、介護休暇やボランティア休暇など)を提供し、柔軟な働き方を尊重・奨励しています。日本では、社宅や独身寮、保養所、慶弔や自然災害時の助け合いに資する共済会制度、育児・介護支援制度、財産形成支援制度、住宅融資制度、ブリヂストングループとしての各種保険制度を利用できます。また、従業員は、従業員持株会に加入し、会社の長期的な将来とともに自分自身の将来にも投資することが可能です。さらに、職場における福利厚生施設(スポーツ施設や食堂・売店・休憩室など)の改善にも計画的に取り組んでいます。なお、一部の制度は退職後も含めて活用できるようになっています。

特許報奨制度

当社は、従業員の開発意欲を高めるとともに、技術戦略の進展に寄与する発明を奨励するために「特許報奨制度」を設けています。会社が従業員から特許などを受ける権利を取得した場合の相当の利益として、また発明の奨励のために、この制度に基づき従業員を適切に報奨することとしています。

人事評価制度やその他取り組み

地域別の取り組み

日本

当社では、2020年より、ブリヂストン流のHRX(ヒューマン・リソース・トランスフォーメーション)を段階的に進めてきました。HRX推進の基盤となる人事制度、仕組みづくりを中心とした取り組みについてPDCAサイクルを回し、改善を図っていくと同時に、従業員一人ひとりの学びと挑戦の機会を拡充するなど、会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものであるよう、その成長を支える様々な取り組みを加速させています。
また、年に一度、従業員が上司との間で面談を持ち、キャリアや働き方、成長についての自身の考えを整理し、自分自身の理解を深め、キャリアの方向性や会社での価値実現のイメージの具体化、学びや挑戦に向けたアクションの具体化に繋げられる機会として、C&D面接を実施しています。また、自ら挑戦したい職種や機能への意欲がある従業員を後押しするため、手挙げ式で異動・挑戦する機会を提供しています。

  • オープンポスティング制度
    チャレンジングで多様な知見が求められるポスト・ポジションに対して、予めその期待値や要求レベルを会社が明示して公募、意欲を持った従業員が職位を問わず応募し、随時配置へとつなげる制度
  • ジョブマッチング制度
    従業員が社内外問わずに得た固有スキル・経験を自ら登録し、高度な専門性/スキル/知見を持つ人財を必要とする部門ニーズと符合させ、そのスキル・経験を活かせるポジションに必要なタイミングで配置へとつなげる制度

アジア・パシフィック・インド・中国地域

  • パフォーマンス開発システム:
    BSAPICは、従業員一人ひとりの潜在能力が発揮され、チームの成功に貢献する高いパフォーマンスの文化を醸成する重要性を認識しています。この考え方の中心にあるのが、効果的なパフォーマンス開発システム(PDS: Performance Development System)であり、優れた成果・成長、及び個人の志向と組織の目標の一致を推進する基盤となっています。 PDSの過程では、マネージャーと従業員が個々の目標を組織の目的と調整するために対話し、一体感を持って取り組みます。持続的な対話とフィードバックを通じて、BSAPICは建設的なコーチングとガイダンスを重視し、従業員がパフォーマンスを向上させ、最大限、潜在能力を発揮することを支援しています。
  • 「キャリアデベロップメント&ディスカッション」(CD&D: Career Development & Discussion):
    BSAPICのCD&Dプロセスは、人財マネジメントにおける重要なツールであり、従業員のキャリア志向と会社の目標とが連動できるよう、従業員とマネージャーの間での対話を促進するものです。従業員は、マネージャーとの相談・対話を通じて、実行可能なキャリア開発計画を作成することができ、個人のキャリアと組織の成長の双方を推進しています。これは、マネージャーの支援の下、従業員自身が主導していく継続的なプロセスです。BSAPICは、このCD&Dプロセスを間接従業員全員に提供することを目指しており、2020年の開始以来、実施者数は500名から増え、2023年には2,400名となりました。

BSAPICの人財開発アプローチを具現化するため、マネージャーは従業員と協力して、「70:20:10の(教育)モデル」を活用した個別の人財開発計画に取り組んでいます。経験学習の中で、従業員はストレッチ・アサイメントや組織横断プロジェクトなどの機会に取り組み、スキルの強化や視野の拡大を行なうことができます。さらに、ネットワーキング機会やエグゼクティブコーチングを含むコーチング/メンタリング・プログラムを通じて、持続的な学習とメンターシップの文化を醸成しています。BSAPICでは人財開発への取り組みは不変の基盤であり、PDS、CD&D、人財開発アプローチを通じて、優れた風土醸成、個々の従業員の成長、組織全体の持続的成長と成功を推進することを目指しています。

※ 人財の成長には「経験」が70%、他者からの「薫陶」が20%、そして、「研修」は10%の割合で重要であるという考え方。

米州地域

  • パフォーマンスマネジメントフレームワーク:
    BSAMは、従業員こそが企業の成功の鍵であると考えています。従業員が優れた成果を出せるよう、年間を通じて数多くの人財開発機会を提供し、パフォーマンスへの継続的なフィードバックを実施しています。進化する事業ニーズに合わせ、従業員の評価と最も重要なビジネスの優先事項について透明性と信頼性を提供することを目的にパフォーマンスマネジメントフレームワーク(AMP:Accelerating My Performance)を導入し、従業員が目標の達成に必要なフィードバックやサポートを継続的に受けられるようにしました。
    AMPを通じて、従業員と上司が継続的にコミュニケーションをとり、フィードバックを共有することで、従業員が優れた成果をあげ、キャリアの目標に向けた進捗を確認できる環境を整備しています。目標が必要に応じて定期的に見直される中、マネージャーと従業員は四半期ごとにAMPチェックインを行い、優先順位の見直しを議論するとともに、個人のパフォーマンス・成長目標も見直しを行います。2023年には、継続的な対話の文化をさらに支援するために、ライン長向けにAMPの対話にフィードバックを組み込むことに焦点を当てたオンラインワークショップを開催し、合計25回のワークショップに700名以上のライン長が参加しました。AMPは、よりアジャイルでサステナブルな事業活動に向けたBSAMの変革に沿った、将来を見据えた人財マネジメントプロセスへの移行を支援するフレームワークです。今後もAMPを進化させ改良していくことで、アジャイルかつ活発に成果や能力開発のフィードバックが行われる職場づくりを進めていきます。本活動を通じて、BSAMは、従業員や将来ブリヂストンに加わる従業員となる人財からの期待にも沿えるよう取り組みを進め、従業員の定着率向上や能力開発の強化、評価制度の充実を目指しています。
  • 地域横断的な人財の流動を目指すキャリア開発:
    BSAMは、上司と従業員がより効果的なキャリアに関するコミュニケーションを行えるよう支援すると同時に、より地域横断的に人財配置や交流を進めることに継続して注力していきます。また、後継者の育成や、社内での最適な人財配置、能力開発のための短期アサイメントにも力を入れるとともに、一人ひとりの意欲や関心と、ビジネス上必要な能力の双方に対応する幅広い学習プログラムを引き続き提供していきます。2023年には、より多様な地域横断の人財配置・交流をさらに促進するために、BSAM内の地域間短期アサインメントポリシーを策定しました。

欧州・中近東・アフリカ地域

BSEMEAは、人財開発に最も重要である、明確な目標とその共有に力を入れており、それにより、全ての従業員の、やるべきことや注力すべきことへの理解を高めていきます。「Organization Key Results(OKR)」システムを通じて目標を共有することで、重要な優先課題についてチーム間の認識を合わせ、従業員は達成に向けてどのように連携するべきか、より理解を深めることができます。 このような仕組みのもと、BSEMEAは管理職や従業員の能力開発やパフォーマンスの向上を支援するため、継続的なフィードバックを行っています。パフォーマンスは事業における具体的な成果(「何を」)と、その結果を達成するまでの行動(「どのように」)に基づいて評価されます。「Go Beyond」制度は、優れた行動を示した管理職や従業員にポイントを付与する表彰制度です。管理職は、定期的にパフォーマンスレビュー会議を開き、業務遂行のフォローとともに、メンバーのモチベーションや能力を高めることに注力しています。

BSEMEAは企業文化の強化と従業員のエンパワーメントを継続的なジャーニーと位置付けています。また、従業員のキャリア開発とエンゲージメントの強化に向けて、様々な側面から取り組んでいます。

  • 従業員の主体的なキャリア開発と自己啓発
    BSEMEAは、従業員の主体的なキャリア開発や自己啓発を促進し、従業員の成長をサポートするため、360度評価やメンター制度、eラーニングを用いた研修などを導入しています。

給与の公平性の確保

当社グループは、人財戦略の軸である「多様な人財が輝ける場所の提供」を進める上で、その基盤として、給与の公平性を確保するとともに、その報酬制度は、地域別・国別の労働市場動向を踏まえ、各市場での競争力のあるものとなるよう設計しています。

当社の報酬制度は、「役割や職務」「能力」「成果や成長」に応じて設計されており、従業員の属性による報酬制度上の違いはありません。報酬水準は、日本の社会動向等を踏まえ、人財確保・獲得の競争優位性を確保するため外部の市場データを活用し、毎年給与改定をその要否を含めて検討、労働組合に所属する従業員の給与については、毎年春にブリヂストン労働組合と労使交渉を行い、その妥結に基づき給与改定を行っています。生産性・創造性の向上を基本とした当社給与水準の市場競争力の維持確保、個々人の挑戦意欲・成長を支える人事給与制度・体系に向け、 労使での対話を通じて取り組んでいます。なお、男女間の賃金差異に関しては、職種間や基幹職比率等において人財ポートフォリオの偏りに男女差があり、それに伴う差異が生じていますが、女性基幹職比率の向上、生産現場における働きやすい環境整備と合わせた女性採用強化など、人財ポートフォリオの偏りの改善に取り組んでいきます。

BSAPICの報酬制度は、適財適所の人財を惹きつけ、モチベーションを高め、定着させることを目指しています。主要な報酬制度は、基本報酬及び短期・長期のインセンティブで構成され、個人及び会社の業績達成に向けて従業員のインセンティブとモチベーションを高め、パフォーマンス志向の文化を醸成するよう設計されています。年次の市場レビューを定期的に実施し、報酬制度の競争力を確保しています。また、本制度は、BSAPICの取締役会の指名・報酬委員会により毎年見直され、承認を受けています。BSAPICでは、性別その他に関係なく、従業員の経験、スキル、市場競争力、市場特有の条件、現地法令、成果などの要素を考慮することで、従業員の報酬の公平性を確保しています。労働組合の組合員である従業員については、労働協約に記載されているその他の条件が適用され、公平性のある報酬を確保しています。

BSAMの報酬制度では、国及び州や地域の法的要件を遵守し、短期・長期の事業目標の達成を可能にする従業員を引き付け、モチベーション向上を促し、雇用の維持を図っています。BSAMは、求人プロセス、年次報酬の設計・手続き、および定期的な社内レビューを通じて、給与の公平性を確保しています。外部の市場データを活用して、競争力のある給与体系を評価・設計し、毎年更新しています。さらに、短期・長期のインセンティブについては、ビジネスニーズを満たし、競争力のある総直接報酬を提供するために活用されます。これらの制度は、BSAMの取締役会の指名・報酬委員会により毎年見直されたうえで、承認されます。給与及び手続は、時間給従業員の労働団体と団体交渉協定によって規定・運用されています。

BSEMEAの報酬制度では、市場原理に基づく業績連動型報酬制度を採用しています。この制度は、ブリヂストングループが将来の成長に向けて必要な優秀な人財を採用し育成することを目的とし、基本給、短期・長期の変動給、適切な福利厚生制度等が含まれます。外部の市場データを収集し現地での参考値を取得することで、適切なプログラムを提供できるようにしています。公平性については、BSEMEAの従業員からなる労働組合との対話を行い労働協約を締結し、BSEMEAが事業を行う国の規制を遵守しており、さらに報酬チームが毎年行っている公平性検査によって確保されています。検査の結果は、BSEMEAの取締役会の指名・報酬委員会で共有されます。

人財能力開発 ― 日本の取り組み補足情報

(当社の主な研修機会)
入社時の育成
  • 定期新入社員研修
    新卒採用者を対象に、入社してから各部署に配属されるまでに約7か月の研修を実施しています(従前2022年までの2.5か月からプログラム拡充)。最初の1か月の集合研修では、企業理念や会社概況などブリヂストングループについての基本知識と、ビジネスマナーや社会人としての心構え、基礎的なビジネススキルを学ぶとともに、配属後に各自の持ち場・立場で役割・行動を発揮してもらうため、2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)、中長期事業戦略など、全従業員が深く理解すべき内容の認知・理解にも取り組みます。また、当社の「極限」への「挑戦」の原点ともいえる、モータースポーツ活動に対する理解を深め、楽しみ、感動を共有する場も設けています。その後、工場実習では実際の生産業務や改善活動を体験し、また、販売実習では、グループ販売会社が運営する店舗にてお客様との接点を含めた販売第一線を体験し、「モノをつくって売る」ことを現物現場で学びます。さらに、2023年からは約2か月間のデジタル研修も導入し、データを読む・使う・分析する、データに基づいて論じる力、を身に付け、基礎的なプログラミングを学びます。これらを通じ、仕事におけるデータ活用に関して基礎的なスキルを習得します。また、期間中には当社創業の地である久留米地区を訪問し、企業理念への理解を一層深めています。
  • キャリア採用者研修
    入社初日にブリヂストングループについての基本知識を学ぶオリエンテーションを実施しています。また、四半期に一度、ブリヂストングループの企業理念や会社概況の理解促進、創業の地である久留米訪問、工場や販売の現場体験など、新しい環境へ適応し即戦力として活躍してもらうことを支援する約2週間の集合研修と継続的学習支援としてのeラーニングを実施しています。
新入社員・若手社員の研修体系
新入社員・若手社員の研修体系図