ブリヂストングループアワードは、ブリヂストングループの全組織・全従業員を対象として、創立100周年である2031年へ向けた道筋とする「2030年 長期戦略アスピレーションの実現(実現したい姿)」に向けた優れたグローバルでの取り組みをグローバル経営チームが審査し、その中から特に秀でた取り組みを選定してその功績と功労を称賛する、グループ最高位の表彰制度です。この表彰制度は、優れた取り組みをグループ全体で共有することで、従業員の誇りや更なるやりがいにつなげると同時に、一人ひとりの意識向上や一体感の醸成を図る重要な役割を担っています。そして、従業員一人ひとりの様々な活動を波紋の輪の様な持続的な広がりにつなげ、「Bridgestone E8 Commitment」で掲げるブリヂストンらしい8つの価値の実現に向けて取り組んでいきます。
ブリヂストングループアワード2023は、優れた取り組みを「Solutions for Sustainability Business(社会価値・顧客価値の両立)」、「Value Creation for Society(社会価値創出)、「Value Creation for Customers(顧客価値創出)」、「Management Fundamentals(基盤強化)」という4つの「創出した価値の対象」で分類しています。そして、「Bridgestone E8 Commitment」が掲げる8つのコミットメントのうち、それぞれの案件の「創出した価値」が、最も貢献したコミットメントを明確に示した上で、8件を表彰しました。
「社会価値・顧客価値の両立」表彰2件
独自のアルゴリズムを活用したソリューションによる鉱山オペレーションの生産性・サステナビリティ向上への貢献
中南米
「Bridgestone MASTERCORE」を軸に、「Bridgestone iTrack」や現物現場での顧客との強固な信頼関係をベースにして、当社独自のアルゴリズムを用いたタイヤ耐久予測によるサステナブルな鉱山ソリューションビジネスをチリの銅鉱山で実現しました。最適なタイヤメンテナンスタイミング、車両運行ルートの提案により、タイヤにかかるコスト削減や車両のダウンタイム削減といった鉱山オペレーションの生産性、経済価値の最大化へ貢献する新ソリューションサービスの展開を始めています。また、タイヤを安全に長く使用することでタイヤ使用本数を削減でき、資源生産性の向上によるサステナビリティへの貢献も実現します。
- 参考: 当社ニュースリリース「独自のアルゴリズムを活用したタイヤ耐久予測による鉱山ソリューション新サービスをBHP社Spence鉱山で提供開始」
Bridgestone Turanza EV ―EV向け市販用ENLITEN搭載タイヤの北米市場への投入―
北米
北米のプレミアムEV市場において、“EV時代の新たなプレミアム” 「ENLITEN ®※1」を搭載する断トツ商品「Turanza EV」を上市しました。この商品は、EVへの装着に最適な優れた静粛性・乗り心地・快適性に加えて、次世代材料技術によりタイヤの耐摩耗性能向上・長寿命化を実現し、お客様の使用条件に合わせた価値を最大化しています。また、ISCC PLUS認証※2に基づく再生可能およびリサイクル素材を50%使用しています。本取り組みは、性能をカスタマイズ、エッジを効かせたENLITEN搭載商品展開の今後の足掛かりを構築しました。
- ※1従来のタイヤ性能を向上させた上で、タイヤに求められる多様な性能をお客様ごと、モビリティごとにカスタマイズする商品設計基盤技術です。お客様に寄り添い、タイヤへのニーズやウォンツを叶えるだけでなく、お客様をインスパイアさせる性能にエッジを効かせ、お客様が想像もしえない新たな価値を「究極のカスタマイズ」で実現します。
- ※2ISCC(International Sustainability and Carbon Certification:持続可能性および炭素に関する国際認証)が展開する認証制度です。バイオマスなど再生可能資源由来の原材料や再生資源由来の原材料を用いた製品を対象とし、サプライチェーンを通じたトレーサビリティに関する要求事項に準拠しているかどうか審査のうえで認証されます。
「社会価値創出」表彰2件
救急車用パンク対応タイヤによる社会貢献活動
日本
災害現場の対応に寄与するため、総務省消防庁消防大学校消防研究センターとの共同研究で、パンクしても走行可能な「救急車・指揮車用パンク対応タイヤ」を開発しました 。このタイヤは、災害現場の荒れた路面で積雪、凍結等の厳しい路面状況において、タイヤの空気圧がゼロになっても所定のスピードで一定距離を走行可能とする技術を搭載しています。本取り組みは、実際の救急活動における様々な運用状況下の実証実験も経て社会実装されました。当社独自の重荷重車輌へのランフラットテクノロジー※の応用によって、技術力の発信につなげただけでなく、官民一体となった活動で災害時の救助活動の改善に貢献しています。
- 参考: 当社ニュースリリース「パンクしても走行可能な『救急車・指揮専用パンク対応タイヤ』を研究開発」
- ※気圧がゼロになっても所定のスピードで一定の距離を走行可能なタイヤ
地域社会(オーストラリア)に貢献するキャリア育成プログラムを通じた社内人財開発と育成
アジア大洋州
オーストラリアでは、熟練労働者不足が長年の社会課題となっています。ブリヂストンオーストラリア(BSAL)は、未来のモビリティ社会を担う若者を対象に、ベテラン技術者とマンツーマンでのメンター制度を含む、報酬を得ながら現物現場で実践経験が可能な革新的なキャリア・雇用プログラムを開発しました。本プログラムは、ベテランの技術者にとって、モビリティ業界で働くことで日々感じているパッションやわくわく感、自身の知見を次の世代に継承する貴重な機会にもなりました。地域の社会課題に向き合い、人々の生活の質の向上と職能の開発を目指す本取り組みなどを通じて、BSALでは産業界の平均値を大きく上回る従業員定着率を実現しています。
「顧客価値創出」表彰2件
モータースポーツ活動を通じた技術イノベーションとサステナビリティの加速
北米
北米最高峰のフォーミュラカーレースであるNTT INDYCAR® SERIESや、その次世代育成カテゴリーにあたるINDY NXT by Firestoneにおいては、クルマ・ドライバーの最高のパフォーマンスを支える高速、高耐久に応えるプレミアムタイヤが求められます。こうした「極限への挑戦」において、ブリヂストンアメリカス(BSAM)のレースタイヤエンジニアチームは、組織横断でチームを編成し、グアユール※1由来の天然ゴムや再生資源由来のブタジエン※2を使用したタイヤを開発し、レース投入を実現しました。本取り組みは、サステナブルなグローバルプレミアムモータースポーツを通じて心を動かすモビリティ体験を支えながら、当社のサステナブルなタイヤ技術の知名度向上に寄与するとともに、Bridgestone E8 Commitmentの具現化に貢献しました。
- ※1乾燥地帯が原産の低木で新たな天然ゴム供給源になるものと期待されている
- ※2合成ゴムの素原料
HRDタイヤユニフォミティ改善技術パッケージ– “究極の円さ”を実現するモノづくりの進化
日本
当社のプレミアム事業戦略を支えるHRD※1成型機は、より真円に近いタイヤが作ることができる指標であるユニフォミティで他社優位である一方、技能員が持つ「匠の技」への依存度が高い設備であり、その技術の伝承が課題でした。本取り組みでは最新のセンシング技術を用いて成型工程の本質課題を洗い出し、「暗黙知の形式知化」「標準のシンプル化」「匠領域の標準化」によりモノづくりの進化に挑戦。匠の技を伝承しながら工程能力を向上させる新システムの量産化に成功し、顧客要求を満足する「断トツ」のユニフォミティ品質で将来に渡る高インチタイヤの供給を可能としました。また、究極のカスタマイズとコストダウンを両立させ、ENLITEN搭載商品の安定供給、BCMA※2への貢献につなげています。
- ※1High Rim Diameterの略語で、乗用車用高インチタイヤのこと
- ※2モノづくり基盤技術「BCMA(Bridgestone Commonality Modularity Architecture)」 タイヤを構成するモジュール(部材)を3つに集約し、異なる商品間で共有することで、開発・生産を含むサプライチェーンをシンプル化。開発・生産におけるアジリティを向上させながら、コストの最適化や環境負荷の低減を実現します。
「基盤強化」表彰2件
タイヤ検査工程の自動化
ヨーロッパ
従来のタイヤ検査工程は、技能員による外観検査が必要となっていますが、検査の正確性、作業負荷、品質改善のためのデータ蓄積等の様々な課題を抱えていました。本取り組みで導入されたタイヤ検査工程の自動化システムは、これらの課題を改善し、従来より高い精度と再現性を備えて、更なる検査品質向上と安定化を実現しました。お客様と従業員の安全を第一に考え、イノベーションと改善で断トツの品質を目指す当社の「品質宣言」に沿った取り組みの中でも特に優れた事例となっており、従来型のタイヤ検査工程の生産性や品質向上の本質的改善につなげていく今後のモデルケースとなりました。なお、本取り組みは、ブリヂストンのDNAであるTQM※活動の優れた事例としても表彰されています。
- ※Total Quality Managementの略。第13回ブリヂストングループ・グローバルTQM大会で表彰されました。
FSNR天然ゴム農園(リベリア)におけるデジタルツール“Capture Solutions”の展開ー業務品質向上とトレーサビリティの確保ー
アフリカ
ファイアストンナチュラルラバー(FSNR)がリベリアで運営する天然ゴム農園では、収穫業務における情報管理のデジタル化が進んでおらず、紙業務による業務量増加や情報伝達の非効率性、情報セキュリティの脆弱性といった業務上の課題を抱えていました。これらの課題の解決のため、新しいデジタルツールを開発し、年間100万枚の紙業務のデジタル化を含む業務品質の向上に取り組みました。このような取り組みは、6,000人以上の従業員が従事する自社農園だけでなく、周辺の小規模農家へも展開することで天然ゴムサプライチェーンのトレーサビリティの確保に繋がり、顧客との信頼関係の向上に寄与することが期待されます。本取り組みで導入した新たなデジタルツールを活用し、自社農園だけでなく、小規模農家についても、環境指標や社会指標などとともに農園特性の見える化を進めています。
- 参考:「天然ゴムの持続可能な調達」