サステナビリティにおける重点課題

社会価値・顧客価値を両立しながら持続的に創出していくための重点課題(サステナビリティ面)

当社グループは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして、社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンの実現に向け、サステナビリティを中核に据えた中長期事業戦略を推進しています。持続可能な社会の実現に貢献しながら、企業としても持続的に成長していくためには、社会の変化を先取りし、変化をチャンスに変え、社会価値と顧客価値を両立しながら持続的に創出していくことが必要だと捉えており、そのために重点的に取り組むべき課題を明確にしています。

サステナビリティフレームワーク

社会やお客様への新たな価値を創出し、お客様・パートナーの皆様と共に持続的に成長していくためには、責任ある企業として不可欠な基盤となる取り組みを継続的に推進しながら、ステークホルダーの皆様と強い信頼関係を構築していくことが重要であると考えています。当社グループのサステナビリティの捉え方をサステナビリティフレームワークとして整理・体系化し、このフレームワークに沿って重点課題を明確にし、事業活動や社会貢献活動、あらゆるパートナーとの共創活動を通じて社会やお客様への価値を創出していきます。

第1層「サステナビリティビジネス」
当社グループは、サステナビリティとビジネスを連動させ、社会価値と顧客価値の創造を両立することで競争優位につなげていけると考えています。タイヤ・ゴム事業、ソリューション事業、リサイクル事業などを通じた「サステナビリティビジネス」の推進により、サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル化の実現に貢献することで、社会価値と顧客価値を両立させながら創出していきます。また、「サステナビリティビジネス」から左に伸びる矢印は、中長期事業戦略に沿って競争優位を獲得しながらビジネス機会をさらに拡大していくことを示しています。

第2層「価値共創への招待~信頼の醸成」
サステナビリティビジネスを実現していくためには、お客様やパートナーとの価値の共創が不可欠であり、価値の共創のためには強い信頼関係が重要だと考えています。社会・お客様・パートナーから選ばれる企業として信頼を醸成していくことで、イノベーション、価値の共創へとつなげ、社会価値と顧客価値を創出するサステナビリティビジネスのさらなる機会を創出していきます。サステナビリティの実践レベルが企業の信頼醸成にも大きく貢献すると捉え、地域社会との信頼の醸成につながる社会貢献活動などにも積極的に取り組んでいます。

第3層「価値創造の基盤」
サステナビリティの取り組みを加速するために、責任ある企業として、社会やステークホルダーの皆様からの期待と役割を理解し、リスクをより積極的にとらえ、行動に移すことで、価値創造の基盤の確立を推進し、さらなる成長の機会を生み出していきます。顧客やパートナー、地域との信頼の醸成、ステークホルダーエンゲージメントの強化、ビジネスと人権・人的創造性・DE&I、組織のレジリエンスの強化に取り組むことで、さらなる価値創造を実現していきます。

サステナビリティ優先課題の抽出プロセス

ブリヂストンは、機関投資家やNGO、従業員等、多様なステークホルダーとの対話を通じて、私たちへの期待や課題を確認しています。統合報告を起点にステークホルダーとのエンゲージメントを推進すると共に、サステナビリティ課題を優先付け、ビジネスと整合させながら経営戦略に織り込んで実行していくプロセスとも密接に連動させており、図のように2つのプロセスを両輪として回しながら、双方のプロセスの継続的改善を図っています。

サステナビリティ優先課題の抽出プロセスにおいては、マテリアリティ・アセスメントを実施し、26の課題を特定しています。広範なデスクトップ調査や投資家、顧客、ビジネスパートナー、NGO、業界団体、有識者など、社内外のステークホルダーへのインタビューやヒアリング調査を通じて情報を収集し、社会からの期待や要求、当社の企業活動が環境や社会に与える影響、各課題の重要度の評価など、リスクや機会、そのインパクトを分析し、重要度を確認しています。

優先課題を抽出するうえで考慮すべき課題
環境 社会 労働環境 製品とソリューション ガバナンス
  • 大気汚染
  • 生物多様性
  • サーキュラーエコノミー・使用済タイヤ
  • 気候変動
  • 温室効果ガス
  • 産業廃棄物、有害化学物質管理
  • サステナブル調達
  • 地域社会との連携・支援
  • 地域の雇用とインフラ
  • モビリティの革新
  • 交通安全と安全教育
  • サプライチェーンと人権
  • 優れた人財の確保と能力開発
  • ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
  • 労働慣行
  • 安全、健康
  • 天然ゴム・原料
  • 製品の影響と効率
  • 製品の安全性・品質と信頼性
  • 製品・ソリューションのイノベーション
  • コーポレート・ガバナンス
  • 倫理、コンプライアンス
  • 世界的な不確実性、ビジネスレジリエンス
  • 産官連携・公共政策
  • テクノロジー、サイバーセキュリティ
スクロール

この26の課題を、前述のサステナビリティフレームワークに沿って社会価値・顧客価値の創造という事業視点に基づき再整理したものを、Global CEOを含むグローバルの経営層でレビューした上で優先課題として設定し、取締役会にも共有・報告しています。

サステナビリティ優先課題は、課題抽出から計画、実行、レビュー、見直しまでのPDCAサイクルを回しながら、定期的に見直しています。法規制などの社会動向や業界・競合動向、お客様の期待・要望などを常にセンシングし、リスクや機会及びそのインパクトの分析を通じて課題を抽出するとともに、主要な社外評価結果などの分析を通じて、当社の活動レベルや情報開示内容と社会・顧客からの期待とのギャップを特定・確認しています。これらの情報を基に、経営とも綿密な議論を行い、抽出した課題を経営戦略や事業戦略に組み込んで推進し、その進捗や活動の結果、および今後に向けた課題について経営に報告するというPDCAサイクルを継続的に回しています。さらに、活動の結果を積極的に社外に開示し、統合報告を起点としたダイアログを通じて得られたステークホルダーからの期待や改善提案などのフィードバックも経営層と共有し、課題抽出や経営戦略に反映しています。これにより、統合報告のプロセスだけでなく、サステナビリティへの取り組みレベルの向上を含む経営戦略推進のプロセス全体を継続的に改善しています。(ステークホルダーとの対話の機会には、機関投資家とのESG面談やNGO・顧客等との対話、ESGスモールミーティングなどを含みます。)

2024年度は以下の優先課題を抽出しています。

  • サステナビリティビジネスモデルの確立・進化:カーボンニュートラルへの対応力強化、サーキュラーエコノミービジネス活動の推進、ネイチャーポジティブの推進
  • お客様やパートナー、地域との信頼の醸成:地域社会の課題解決に貢献、世界各地での交通安全啓発活動の推進
  • 天然ゴムバリューチェーン:持続可能な天然ゴムの調達、天然ゴムの小規模農家支援強化
  • 人権:グローバル人権方針に沿った取り組みの推進・活動レベルの継続強化
  • タイヤ・路面摩耗粉じん (TRWP) :業界団体や学術機関などと連携し、タイヤのライフサイクルにおける環境への影響についての調査を推進。また、ロングライフ商品などの訴求やソリューション事業との連携を含め、タイヤを「創って売る」「使う」全体でTRWP発生量削減の取り組みを継続的に推進。

当社グループは、社会価値・顧客価値を両立しながら持続的に創出していくために優先して取り組むべき重点課題について、以下の通り指標及び目標を設定しております。課題解決に向けた活動については、これらの指標及び目標に基づいて、中長期事業戦略の実現を目指す当社のコーポレート・ガバナンス体制のもとで適切に進捗管理を行っています。

取り組むべき重点課題 サブカテゴリー 目標 進捗
(2023年)
Bridgestone E8 Commitmentに掲げる価値の創出 SDGsへの貢献
サステナビリティビジネスモデルの確立・進化 カーボンニュートラルへの対応力強化 Scope1, 2削減:2030年 50%削減(2011年対比)、2050年 カーボンニュートラル化 Scope1、2:57%削減(2011年対比)
再生可能エネルギー比率(電力):64%
Energy:カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えることにコミットする
Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐことにコミットする
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
  • 15 陸の豊かさも守ろう
  • 8 働きがいも経済成長も
Scope3におけるCO2削減貢献:2030年排出量の5倍以上
サーキュラーエコノミービジネス活動の推進 資源生産性の向上、長寿命・省資源商品の開発
サーキュラーエコノミーへの貢献:2030年 再生資源・再生可能資源比率40%※1
2050年100%サステナブルマテリアル化
再生資源・再生可能資源率:39.6%
ネイチャーポジティブの推進 バリューチェーン全体を通じた環境負荷の低減、再生可能資源の拡充・多様化による生態系への影響低減(グアユールなど)
生物多様性貢献活動推進プログラムの促進
ウォータースチュワードシッププランの策定・推進
対象となる全17拠点でウォータースチュワードシッププランの策定を完了
顧客やパートナー、地域との信頼の醸成 社会貢献 地域社会の課題解決に貢献 <全体>
36か国・地域で1,144件※2の社会貢献活動を324,198人※3の地域の方々に対して実施

<交通安全>
34か国で105件※2の交通安全に関する取り組みを103,428人※3の地域の方々に対して実施
Ease:より安心で心地よいモビリティライフを支えることにコミットする
Empowerment:すべての人が自分らしい毎日を歩める社会づくりにコミットする
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
交通安全 世界各地での交通安全啓発活動の推進
天然ゴムバリューチェーン 持続可能な天然ゴムの調達 Firestone Liberiaの天然ゴム栽培・加工施設でISCC PLUS認証※4を取得 Energy:カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えることにコミットする
Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐことにコミットする
Empowerment:すべての人が自分らしい毎日を歩める社会づくりにコミットする
  • 15 陸の豊かさも守ろう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
天然ゴムの小規模農家支援強化(2026年までに累計12,000軒) 5,640の小規模農家への研修・技術支援を実施
人権の尊重 グローバル人権方針に沿った取り組みの推進・活動レベルの継続強化 「特定の人権課題及び拠点における詳細な調査」と「グローバルの全SBU及び傘下子会社を対象とした『人権リスク調査票』によるリスクアセスメント」の、タイプの異なる2種類の人権リスクアセスメントを実施 Empowerment:すべての人が自分らしい毎日を歩める社会づくりにコミットする
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 16 平和と公正をすべての人に
  • 8 働きがいも経済成長も
タイヤ・路面摩耗粉じん(TRWP) 業界としての取り組みを主導(影響評価調査や評価試験法の策定、影響低減に向けた取り組みの推進など) 業界団体での取り組みに積極的に参加し、グローバルで整合の取れた評価試験法の国際標準(ISO規格)策定を主導 Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐことにコミットする
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
スクロール
  1. ※1リトレッド用台タイヤを含むタイヤの総原材料重量に占める比率
  2. ※2活動数の集計方法は国や地域によって異なります。
  3. ※3活動による直接裨益人数を集計し、集計方法は国や地域によって異なり、確認できた活動のみを対象としています。
  4. ※4ISCC(International Sustainability and Carbon Certification:持続可能性及び炭素に関する国際認証)が展開する認証制度。バイオマスなど再生可能資源由来の原材料や再生資源由来の原材料を用いた製品を対象に、サプライチェーンを通じたトレーサビリティに関する要求事項に準拠しているかを審査のうえ認証します。

ブリヂストングループ全体でのサステナビリティの統合

当社グループは、中長期事業戦略の実行に向けて、サステナビリティを企業文化・事業戦略・事業活動の中核とし、組織全体で取り組みを進めています。

企業文化への統合

企業理念、企業コミットメント、サステナビリティフレームワークを、従業員の日々の行動の基軸となる企業文化、企業としての価値基準やブランドとしての考え方に組み込んでいます。

事業戦略への統合

サステナビリティを中核に据え、サステナビリティフレームワークに沿って中長期事業戦略、そして中期事業計画の実行を進めています。

中長期事業戦略及び中期事業計画について、こちらのページをご覧ください。

事業活動への統合

執行における最上位のコミッティであるGlobal EXCOの下に設置されたグローバルサステナビリティコミッティが、当社グループのサステナビリティフレームワークを包括的に推進する役割を担っています。

サステナビリティの推進体制については、こちらのページをご覧ください。

サステナビリティに関する方針とガイドライン