環境 | ビジョンとKPI

環境長期目標とマイルストン2030

環境長期目標―2050年の世界を見据えて

2050年には、世界の人口は70億人から97億人以上に、経済規模はほぼ4倍に拡大すると予測され※1、自動車の台数は9億台から、24億台まで増加する※2というデータもあります。さらに、世界のCO2排出量は、2008年の280億トンから、2050年には750億トンになると予想されています※3

こうした人口増加や生活水準の向上に伴う自動車の需要の増加により、気候変動や資源の枯渇、生物多様性の損失という大きな問題に直面する可能性が指摘されている中、ブリヂストングループは、グローバルに事業を展開する企業として、世界の様々なニーズに応え、常に高品質な製品を安定的に供給する責任を担っていると認識しています。

その責任を果たしながら、地球の自浄能力・扶養力とバランスをとり、社会や自然と調和し共生することで持続可能な社会が実現できると考え、当社グループは、「環境宣言」で掲げた3つの活動について、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定しました。

・生物多様性ノーネットロス(貢献>影響)

事業活動が与える生物多様性への影響を最小化しながら、それを上回る生物多様性の復元などの貢献活動を行うことで、「自然と共生する世界」の達成に貢献する取り組みを実践しています。

・100%サステナブルマテリアル化

100%サステナブルマテリアル化への取り組みを進めることで、「資源を大切に使う」ことを目指します。当社グループでは、「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。

・カーボンニュートラル化

パリ協定(世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること)、IPCC報告書及びそれ以降の国際的な議論を踏まえ、カーボンニュートラル化を目指しています。

※1 世界人口推計2019年版(国連経済社会局)

※2 自動車部門を中心とした世界のエネルギー及び運輸需要予測((財)日本エネルギー経済研究所、2012)

※3 CLIMATE CHANGE 2013 - The Physical Science Basis- Working Group I Contribution to the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC(WG1),2013)のRCP8.5 シナリオに基づく。

未来への挑戦:「デカップリング」

世界の人口増加と新興国の経済発展に伴い、世界全体の自動車保有台数は増加すると予測されています。そのため、自然資源への需要は増加し、環境への影響も拡大する可能性があります。

持続可能な社会の実現を目指すには、人口増加や経済発展に伴う資源の消費や環境への影響の増加を容認するのではなく、地球の自浄能力・扶養力とバランスを取りながら事業運営を行うことが必要です。このように経済成長と、環境への影響や資源の消費拡大を「切り離す」ことを、国連環境計画(UNEP)は「デカップリング」と呼んでいます。

「デカップリング」は「環境長期目標」における重要な考え方であり、環境と成長の両立を目指す私たちの未来への挑戦です。

環境インパクトの評価

持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定が採択された後も、環境をめぐる社会の動きは加速しています。そして、環境問題はグローバルリスクとして最も注視される領域となり、企業経営にとっても、リスクと機会の両面でその重要性が増しています。

ブリヂストングループでは、2050年を見据えて掲げた環境長期目標を達成するため、2020年までの中期目標、「マイルストン2020」に基づきグローバルで活動を推進してきた結果、2019年に前倒しで達成することができました。

今後2030年までの10年間の取り組みを検討する中で、当社グループは、環境に関する様々な課題が事業に及ぼす影響と、当社グループの事業が社会に及ぼしうる影響について評価を行いました。その評価結果を戦略・事業計画に具体的に落とし込み、「マイルストン2030」を策定しています。

マイルストン2030

・環境インパクトの改善推進
・サーキュラーエコノミーへの貢献促進
・商品のライフサイクル、バリューチェーン全体を通じた削減促進

環境インパクトの評価結果を踏まえて策定した目標、「マイルストン2030」では、環境へのインパクトをさらに改善(貢献を増やし、影響を減らす)するとともに、サーキュラーエコノミーへの貢献を促進、また、カーボンニュートラル化へ向けて事業の成長と環境への影響や資源の消費拡大を切り離す「デカップリング」への挑戦をさらに加速していきます。


自然と共生する
環境インパクトの改善推進
Key actions
  • 「ウォータースチュワードシップポリシー」に沿ったウォータースチュワードシッププランの策定及び実行
  • 取水原単位の継続的改善※1
  • 環境負荷の継続的改善※1(有害/非有害廃棄物排出量、埋立量、VOC排出量、SOx/NOx排出量の削減)
  • サステナブル調達ポリシーを通じたサプライチェーンにおける環境負荷の低減
  • 生物多様性へ貢献する活動のさらなる促進

※1 継続的改善:PDCAサイクルを通じて毎年環境パフォーマンスを改善(例えば1%改善)していく継続的な取り組み

Focused target
  • 2030年までに水ストレス地域における生産拠点※2において、水リスク低減に向けたウォータースチュワードシッププランを推進する

※2 水ストレス地域における生産拠点:淡水資源の量や質の低下のリスクがある地域に所在することにより水リスクを抱える生産拠点


資源を大切に使う
サーキュラーエコノミーへの貢献促進
Key actions
  • サステナブルマテリアルの拡充に向けたロードマップの策定と実施
  • 資源生産性の継続的向上
  • プロダクトサーキュラリティの継続的向上(使用済タイヤの有効利用)
  • サステナブル調達ポリシー使い捨てプラスチックの削減への貢献に向けた方針/ロードマップの策定と実施
Focused target
  • 2030年までに再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に向上する

※リトレッド用の台タイヤ(トレッドゴム以外の部材)を含むタイヤの総原材料重量に占める比率


CO2を減らす
商品のライフサイクル、バリューチェーン全体を通じた削減促進
Key actions
  • CO2削減に貢献する商品及びサービスの開発
  • エネルギー効率の継続的改善による総エネルギー消費量の削減
  • 使用する電力における再生可能エネルギー比率の向上
  • モノづくりイノベーションの推進
Focused target
  • 2030年までに私たちが排出するCO2の総量(Scope 1、2※1)を50%削減する※2
  • 2030年までにソリューションの提供により、商品・サービスのライフサイクル、バリューチェーン全体(Scope 3※1)を通じて、私たちの生産活動により排出するCO2排出量(Scope 1、2)の5倍以上のCO2削減に貢献していく※3
  • ※1 Scope 1は企業が直接排出するCO2(自社の工場のボイラーなどからのCO2排出)、Scope 2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope 3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量などを指しています。
  • ※2 基準年:2011年
  • ※3 基準年:2020年
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