トップコミットメント

※このページはBridgestone 3.0 Journey Report(統合報告2024)に掲載された内容です。

持続可能な
価値創造基盤を構築し、
ブリヂストンらしく
持続可能な社会の実現を
支え続けることに
コミットします。

不変の使命「最高の品質で社会に貢献」

ブリヂストンは、1931年に福岡県久留米市で創業し、日本からアジアへ、各地域におけるモータリゼーションを足元で支えながら事業を拡大しました。1988年には、当時米国第2位のタイヤメーカーであったファイアストン社を買収し、これを「第二の創業」として米欧への事業拡大へ挑戦し、グローバルカンパニーへの進化を遂げました。そして、2020年を「第三の創業」と位置づけ、ビジョンである「サステナブルなソリューションカンパニー」の実現を目指し、新たな変革に挑戦しています。創業から90年以上にわたり、安心安全な「人とモノの移動を支え続ける」ブリヂストンの企業活動は、常に「最高の品質で社会に貢献」という使命を起点にしています。
ブリヂストンの使命は、成長と共に深化・拡大してきました。創業当初、「品質」は商品の品質を指していましたが、現在ではサービスや業務・経営の品質も包含するようになりました。また、「社会」は、日本・アジアのモータリゼーションを支えた創業期から、「第二の創業」を経てグローバルへと広がりました。「第三の創業」においては、サステナビリティ、持続可能な社会へも拡大しています。企業の責任・役割が多様化する現在、そしてこれからの経営において、当社の使命はかつてないほど重要性を増していきます。私たちは、ブリヂストンの不変の使命である「最高の品質で社会に貢献」を、グローバル全体で確実に受け継いでいかなければなりません。

「第三の創業」
—サステナブルなソリューションカンパニーへ—

この使命の下、2020年を「第三の創業」として、サステナビリティを経営の中核に据え、持続可能な社会の実現を支えながら、企業としても持続的に価値を創造していける会社への変革をスタートしました。ビジョンとして、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして、社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」を掲げ、その実現に挑戦しています。
そして、この変革を加速するために、創立91周年記念日である2022年3月1日には、企業コミットメントとして「Bridgestone E8 Commitment(以下、E8コミットメント)」を制定しました。E8 コミットメントは、「地球は未来の子供たちからの預かりもの」という想いの下に、ビジョンをより具体化し、ブリヂストンらしい8つの「E」で始まる価値を示し、従業員、社会、パートナー、お客様と共に価値を創造することで、持続可能な社会の実現を支えていくという約束、宣言です。ブリヂストンらしさにこだわり、使命、ビジョンをしっかりと反映し、さらに将来の可能性を包含するように、8つの「E」を定義しました。発表以来、このE8を軸とした様々な活動がグローバルで推進されており、E8に共感を頂いたパートナー、お客様との共創活動も進んでいます。持続的な価値創造においては、ステークホルダーの皆様との対話を深め、共感を頂くこと、そして共感から共に価値を創造する「共創」に発展させることが非常に重要であると思っています。E8コミットメントを、その価値創造の軸として、今後も様々な活動に繋げていきます。

持続的な価値創造へ向けた戦略の根幹
—「断トツ商品」をコアとした価値の増幅

変革を加速するブリヂストンの持続的な価値創造へ向けた戦略の根幹は、断トツ商品をコアとした「価値の増幅」です。具体的には、以下の3点が中核であると考えています。

  • 日本の強みを活かした新たなモノづくり・価値づくり会社へ変革すること
  • お客様の困りごとを解決するソリューション事業の拡充を通じて競争優位を構築する
    ⇒ 顧客価値・顧客経験価値の向上を通じて、顧客サクセスを導き出すこと
  • これらの取り組みを、日本のモノづくりの現場力、匠の技といった強いリアルとデジタルの融合で支えること

ブリヂストンのコア事業である「創って売る」プレミアムタイヤ事業を強化しながら、お客様が「使う」段階でその価値を増幅するソリューション事業を拡大していくことで、これらを実現していきます。また、この事業戦略は、ブリヂストンDNAである「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」「挑戦」が私たちの根底に流れているからこそ、独自の価値創造ストーリーとして具体化できると考えています。創業以来の歴史の中でグローバルに広がっているブリヂストンDNAを、価値創造の源泉として、これからも大切にしていきます。

価値の循環へも挑戦
「創って売る」「使う」から「戻す」へ

さらに、ブリヂストンは、サステナブルなソリューションカンパニーとして、タイヤを「創って売る」「使う」から、「戻す」へと価値の循環にも挑戦しています。コア事業である「創って売る」プレミアムタイヤ事業と、「使う」段階での価値の増幅を目指すソリューション事業(成長事業)に加えて、タイヤを原材料に「戻す」リサイクルを探索事業と位置づけ、循環型ビジネスモデルの確立を目指します。

いつの時代も変わらず存在する「人とモノの移動」を支え続けるために
「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を北極星に前進する

これらの戦略を具体化し、変革の北極星とするために、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を22年8月に発表しました。これは、使命、ビジョン、コミットメントの下に、2031年に迎えるブリヂストン創立100周年への道筋を明示するものです。
アスピレーションにおいて目指すのは、「常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント“ブリヂストン」。2020年以降、地政学リスクや、モビリティの進化、技術革新、サステナビリティへの取り組みの多様化、タイヤ業界構造変化など、様々な変化が立て続けに起こり激動の事業環境を経験する中で、「変化が常態化」する時代においても「人とモノの移動」は変わらずに存在し、私たちはそれを支え続けるという想いと覚悟を改めて強く持つことができました。「変化が常態化」する時代を生き抜き、人とモノの移動を支え続けるために実現したい姿を描き、北極星としてグローバルで「軸をブラさない経営を推進」しています。
戦略の根幹である断トツ商品をコアとした価値の増幅を実行するため、プレミアムタイヤ事業をコアに、ソリューション事業との連動を深めることでそれぞれの事業の価値の増幅を目指しています。その実行の柱として、断トツ商品の価値の増幅、それに基づいたお客様との信頼の増幅、そしてお客様との信頼関係構築によって、お客様のタイヤ、モビリティデータを共有頂くことで、データの価値を増幅し、新たな価値を創造していきます。この実行を通じて、競争優位を獲得しながら、クルマを支え、車両運行システムを支え続けることを目指すと共に、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなどサステナビリティへも貢献することを中核に据えています。
これを改めて、2020年以降の変革の成果と残課題を踏まえて、3年間の具体的な実行計画として落とし込んだのが、中期事業計画 (2024-2026)(以下、24MBP (Mid-term Business Plan))です。アスピレーション発表以降の事業環境変化を冷静に見極め、創立93周年記念日である2024年3月1日に発表しました。

事業環境変化とリスクを冷静に見極め、変化をチャンスへ

22年8月の「2030年 長期戦略アスピレーション」の発表から、24年3月の24MBP発表までの約1年半で、事業環境は総じて変化がさらに激しく、常態化していると認識しています。
ブリヂストンの事業に直結する重要なファクターとして、地政学、モビリティ・テクノロジー、サステナビリティ、タイヤ業界構造の4つを中心に、しっかりと変化を見極めました。地政学については、グローバルで様々な変化が続いており、エネルギー・原材料を含めたグローバル調達、物流などサプライチェーンへの対応強化が必要です。モビリティでは、足元においてEV 普及のスピードが軟化傾向にはありますが、新興EVメーカーの成長を含め、中長期的な普及拡大は変わらないと見ています。今後、モビリティの多様化は続き、タイヤに求められる性能もより多様になっていくと想定しています。これに対し、私たちは、ブリヂストンDNA「お客様の困りごとに寄り添う」に裏打ちされた「究極のカスタマイズ」を追求することで対応していきます。

2030年長期戦略アスピレーション(実現したい姿) 戦略マップ

生成AI能力の飛躍的な向上など日々進化するテクノロジーへの対応については少々遅れていますが、AIを活用した工場のスマート化や生産性向上に取り組み、ソリューション事業とも連動した新たなビジネスを創る機会としても最大活用したいと考えています。経営の中核であるサステナビリティにおいては、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現と共に、ネイチャーポジティブなどへの取り組みがさらに重要となり、加えて、TRWP(タイヤが安心安全な移動を支えるために必要な路面と摩擦することによって発生する粉塵で、タイヤの表面であるトレッドと道路舗装材の混合物)、6PPD(タイヤ産業で一般的に使用される老化防止剤)への対応も必要となります。ブリヂストンはこれらに、業界のリーダーとして業界全体での取り組みを推進すると共に、タイヤを「創って売る」「使う」全体でTRWP 発生量削減の取り組みを推進するなど、独自の取り組みを強化していきます。タイヤ業界の構造変化も継続しており、「変化に対応できる強いブリヂストン」への進化、稼ぐ力の強化が、持続的な企業価値向上において不可欠となると認識しています。
事業環境の変化を冷静に見極め、そして変化、リスクに対する感度を上げることで、変化をチャンスに変えることができると考えています。感度についてはまだまだ課題が多いですが、持続的な価値創造に向けて不可欠な要素として、グローバル経営チーム全体で感度を上げるべく、24MBPにおけるシン・グローカル・ポートフォリオ経営体制を整えています。

これまでの変革の成果と残課題
中期事業計画(2021-2023)— 21MBP総括

2020年の「第三の創業」以降、変革の第一ステージと位置付けた21MBPでは、経営の3軸として「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」「足元をしっかり、実行と結果に拘る」「将来への布石を打つ」を定め、事業環境の「変化に対応できる強いブリヂストンへ戻す」ことを目指しました。プレミアムタイヤ事業では、生産強化投資などを含め、24MBPでの成長に向けて「プレミアム化の布石」を打つことができたと考えています。成長事業とするソリューション事業では、プレミアムタイヤと「ソリューション事業連動への布石」を打つことに挑戦しました。
ブリヂストンDNAである「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」が息づき、お客様がタイヤを「使う」段階で断トツ商品の価値を増幅できる生産財系BtoBソリューション(トラック・バス系、鉱山・航空ソリューション)においては、収益性も含めてそれが推進できたと考えています。しかしながら、欧米の消費財系ソリューションはビジネスモデルを確立できず中止し、収益性に課題がある欧州・アジアのソリューション拡大を一部エリア・顧客に限定するなど、一部達成に留まる結果となりました。一方で、これらの経験を通じて、21MBPにおいてソリューション事業の「やること」「やらないこと」を収益性、成長性の観点からしっかりと見極めることができ、24MBPでの取り組むべき領域を明確にすることができました。
しかし、21MBPにおける「実行と結果」を示す業績においては、大きな課題が残りました。最終年であった2023年は、米欧、特に市販用TB(トラック・バス用)タイヤで需要が大幅に減少する中、その兆候管理、需要・販売見込みの甘さと対応の遅れ、23年12月に起こったアルゼンチンの通貨切り下げによる事業環境悪化への感度の低さなどが表面化しました。結果として、最重要経営指標であるROIC(Return on Invested Capital)は23年で8.7%と、21MBP のターゲットであった10%を下回る着地となりました。「変化に対応できる強いブリヂストン」へは戻れず、今後へ向けて、兆候管理、変化に素早く対応する感度、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルの質・スピードなど経営・業務品質の向上が急務であると認識しています。

24MBP 「価値創造へ、よりフォーカス」

以上をベースに構築した24MBP においては、経営スタンスをCOVID-19など未曾有の危機に直面した21MBP の「危機管理」から、「Passion for Excellence(常に質の高い経営・業務を追求する情熱を持つこと)」へ進化させました。経営の3つの軸である「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、「将来への布石を打つ」は変えません。起点である2024年は、まず、21MBPの残課題と2023年に表面化した新たな課題の解決に目途をつけ、「変化に対応できる強いブリヂストンへ戻す」を着実に遂行する必要があると考えています。その上で、2025年・2026年において「真の次のステージ」へ、次の中期事業計画となる27MBP(2027年から2029年の3カ年計画)において「サステナブルな成長ステージ」へ進むための基盤を構築していきます。
24MBPでは、重要課題として、新たな経営体制であるシン・グローカル・ポートフォリオ経営の強化、稼ぐ力の強化、ビジネス具体化シナリオに沿って価値創造へよりフォーカスすること、加えて、サステナブルなプレミアムブランド構築のスタートの4点を明確にしました。
24MBPグローバル経営指標は、サステナブルなソリューションカンパニーというビジョンの下、財務指標、社会価値・未財務指標の両面から設定しました。財務指標については、ビジネスの質の向上、資本コストを意識した稼ぐ力の強化を徹底することで、最終年2026年に最重要経営指標であるROIC10%を達成する計画としています。株主還元についても継続的に改善し、2026年にミニマムで1株当たり配当金を250円レベルの想定としました。社会価値の向上にあたっては、生産、販売量を拡大しながらも、CO2排出量削減を11年対比50%以上、再生可能資源比率39%以上を目指し、事業戦略と連動した持続的なサステナビリティ価値創造に向けて、サステナブルな体質、基盤を整えるフェーズとします。また、24MBPから、「人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生む」ことを目指し、人的創造性を正式に経営指標としています。重要課題とするサステナブルなプレミアムブランド構築についても、サステナブルなグローバルモータースポーツをコアにした新コーポレートブランディングに着手していきます。

24MBP シン・グローカル・ポートフォリオ経営シナリオの構築

ブリヂストンは、2020年から、グローバル戦略を軸に、モビリティ成熟度・業界構造など各地域・エリア特性に合わせたローカル戦略を展開すると同時に、バリューチェーン全体最適を担保するグローカル経営を推進してきました。24MBPでは、このグローカル経営を、効果と効率の最大化を図るシン・グローカル・ポートフォリオ経営へ進化させ、グローバル経営指標の達成を目指して「実行と結果に拘る」経営体制として構築しました。コア事業であるプレミアムタイヤ事業、成長事業であるソリューション事業、探索事業、化工品・多角化事業の4つの事業ポートフォリオを軸に、グローバルを、地域・ビジネス特性に合わせて47エリアに細かく区切り「現物現場」で価値創造にフォーカスするビジネス原単位として設定しています。これにより、課題を見える化、兆候管理を強化すると共に、それぞれのエリアの「実行と結果」をきめ細かくフォローしていきます。

「2030年長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を道筋とした24MPBの位置付け

24MBP 資本コストを意識する経営
—ROICを活用し、「稼ぐ力の強化」を推進—

「稼ぐ力の強化」においては、「稼ぐ力」を評価するROIC(Return On Invested Capital)を最重要経営指標に据え、ROICを中核とした資本コストを意識する経営を強化しています。2020年より、ROICの構成要素を現物現場での活動に落とし込むことで、ブリヂストンらしいROIC改善活動をスタートさせました。シン・グローカル・ポートフォリオ経営体制に合わせて、ROICターゲットを47エリアへも拡大し、各エリアでの稼ぐ力の強化を図ると共に、グローバルでROIC10%以上を確立、探索事業を除いて当社想定WACC 5.5%、ROIC 5.5%未満の事業なしという基本的な規律を原則として、事業ポートフォリオを管理することで、持続的な価値創造の基盤を支えていきます。また、21MBP からの課題を踏まえて、需要・販売の変動に素早く対応し、在庫管理を強化、キャッシュコンバージョンサイクルの改善や、固定資産回転率の改善も進めていきます。
加えて、ROE(Return on Equity)も重要な経営指標としており、ターゲットである11%レベル(2026年計画)の達成を見据えて、継続的な資本効率改善を進めていきます。

24MBP ビジネス具体化シナリオ

シン・グローカル・ポートフォリオ経営を基盤に、「ビジネス具体化シナリオ」を策定し、それぞれの事業ポートフォリオ、エリアにおける具体的な活動につなげています。「良いビジネス体質を創る」「良いタイヤを創る」「良いビジネスを創る」「良い種まきをし、新たなビジネスを創る」の4つのシナリオに沿って、価値創造へ、よりフォーカスしていきます。

ビジネス具体化シナリオ―価値創造へよりフォーカス

「良いビジネス体質を創る」
最優先課題:経営・業務品質の向上

「良いビジネス体質を創る」においては、最優先課題である経営・業務品質の向上に取り組み、価値創造の基盤を強化していきます。ブリヂストンDNA「品質へのこだわり」と、それを反映する当社の使命「最高の品質で社会に貢献」をグローバルで再浸透させると共に、原点へ回帰し、1960年代から推進している品質改善活動である「ブリヂストン独自のデミング・プラン」をグローバル全階層、全従業員で再確認し、再浸透させることから始めています。「ブリヂストン独自のデミング・プラン」は、1960年代にブリヂストンが経営の近代化を図るため、「品質は経営全体の問題、経営理念と深く関係する」と主張した統計学者デミング博士の手法を分析し、経営品質向上に向けた活動として策定されたものです。デミング・プランの基本思想は、「良い品質の製品は、良い体質の会社から生まれる」です。これに基づき、従業員一人ひとりが、「PDCA」、「なぜなぜ分析」、「標準化」、「データでものを言う」、「重点管理を行う」という5つの合言葉をブリヂストンで仕事をする際の基本動作として徹底することで、良いビジネス体質を創っていきます。まずは、経営層から活動を強化すべく、2024年3月には、グローバル経営執行会議であるG-EXCOを創業の地である福岡県・久留米市で開催しました。
グローバル経営チーム全員で、創業者の足跡を辿りながらブリヂストンDNAを現物現場で確認すると共に、デミング・プランの勉強会、PDCA・なぜなぜ分析を用いた具体的な経営課題の議論、及び現物現場での生産現場改善活動の確認を実施しました。グローバル各階層・全従業員には「デミング・プラン」冊子を配布すると共に、ワークショップ型の研修を順次展開し、実行に繋げていきます。
また、「良いビジネス体質を創る」ための活動として、人的創造性向上に向けた取り組みを推進すると共に、継続的な人財投資を実現するため、生産性向上にも取り組んでいます。加えて、創造性・生産性向上を支えるために、ブリヂストン流DXをモノづくりからソリューション事業まで、バリューチェーン全体で進化させていきます。

「良いタイヤを創る」
“新たなプレミアム” ENLITENとBCMAの融合による価値創造

「良いタイヤを創る」においては、「本数から価値へ」をテーマとして、プレミアム領域へのフォーカスを強化しています。車両の大型化などによって、足元では需要伸長が続く乗用車用高インチタイヤにおいて、追い風をしっかりとつかむと共に、「2030年 長期戦略アスピレーション」で予見した通り、2030年以降、もしくはもう少し早まる可能性もある高インチタイヤの需要伸長鈍化に備え、「新たなプレミアム」と位置付ける商品設計基盤技術ENLITENを中核とした価値創造に取り組んでいます。多様なクルマ、使用環境に合わせて、新たな価値を提供する性能にエッジを効かせる「究極のカスタマイズ」を商品設計基盤技術ENLITENで追求し、加えて、開発・生産をシンプル化するモノづくり基盤技術BCMAによって、ビジネスコスト低減も同時に実現し、稼ぐ力を強化しています。BCMAの導入を通じて、モノづくりの本質を追求し、ブリヂストンの強みであるモノづくり力を更に高めると共に、環境負荷の低減も同時に実現していきます。

ENLITENとBCMAの融合による価値創造の加速

「良いビジネスを創る」
バリューチェーン全体で価値を増幅

「良いビジネスを創る」においては、BCMAによる開発・生産におけるコストダウンから、それと連動したグリーン&スマート化の推進、現物現場での地道な生産性向上などに加え、グローバル調達、グローバルSCM 物流改革などを推進し、バリューチェーン全体でビジネスコストダウンに取り組み、「稼ぐ力の強化」を進めています。
さらに、お客様が「使う」段階で断トツ商品の価値を増幅するために、米国と日本を中心にファミリーチャネルと戦略パートナーを組み合わせて、小売チャネルを強化しています。ブリヂストンがお客様と直接繋がり、リアルとデジタルでお客様の困りごとを解決できる最適な提案・高品質なサービスを提供し、顧客経験価値の向上、顧客サスセスへ導く挑戦を続けています。

「良いビジネスを創る」
サステナブルなプレミアムブランド構築

加えて、「サステナブルなプレミアム」ブランドをブリヂストン/ENLITENで構築していくことで、価値向上を支えていきます。「サステナブルなプレミアム」として目指すのは、すべての一人ひとりにとっての「最高」を支え続け、モビリティの未来になくてはならない存在となること。そのコアとするのが、サステナブルなグローバルモータースポーツ活動です。この活動を通じて、新たな「自ら極限へ挑戦」する姿を示し、信頼・共感を醸成することで、新たなブランド力を構築していきます。2023年は、ブリヂストンモータースポーツ活動60周年という記念の年でしたが、12月には、モータースポーツに懸ける情熱を再確認し、サステナビリティを中核に据え、活動を進化させる決意を、新メッセージ:Passion to Turn the World、「世界を変えていく情熱」を発表することで明確にお伝えしています。

サステナブルなグローバルモータースポーツ活動強化—走る実験室

サステナブルなグローバルモータースポーツ活動を「走る実験室」として、From Circuit to Streetのコンセプトの下、「極限への挑戦」で磨かれた技術を市販用タイヤに展開していきます。昨年12月には、FIAより、2026-2027シーズンからABB FIA Formula E 世界選手権の単独タイヤサプライヤーに選定され、これを活用しながら、ENLITEN 技術を磨くと共に、バリューチェーン全体のサステナブル化をモータースポーツタイヤからいち早く推進し、会社全体へも波及させていきたいと考えています。

「良い種まきを実施し、新たなビジネスを創る」
ソリューション事業—モビリティテック事業の構築

持続的な価値創造に向けては、24MBP の先を見据え、良い種まきを実施し、社会価値・顧客価値を創造する新たなビジネスを創っていくことへも注力しています。
ソリューション事業において、生産財系BtoBソリューションにフォーカスし、お客様がプレミアムタイヤを「使う」段階で価値を増幅し、タイヤをより安全に、長く、より上手く、より効率的に使って頂くための価値創造への挑戦を続けます。これを牽引するのが、鉱山・航空ソリューションです。鉱山/航空機タイヤビジネスにおいて、断トツ商品、現場に密着した技術サービスなどの強いリアルにより築き上げてきたお客様との信頼関係をベースに、お客様のタイヤやモビリティのデータを共有頂き、それを分析、AIを活用した独自のアルゴリズム構築することで、タイヤ摩耗予測を強化すると共に、耐久予測ソリューションへの進化に挑戦しています。北米のトラック・バス系ソリューションにおいても、同様の取り組みに挑戦し、これら3つの生産財系BtoBソリューションを、断トツ商品の価値を増幅させ、リアルとデジタルで社会価値、顧客価値を創造するモビリティテック事業として構築し、モビリティテック事業として構築し、戦略事業化していきます。

「良い種まきを実施し、新たなビジネスを創る」
探索構築

今後のサステナブルな成長へ向けた新たな種まきと位置付ける探索事業は、共創をベースにサステナビリティを中核とした社会価値の提供からスタートしています。タイヤにおいては、空気充填が要らない次世代タイヤの「AirFree(エアフリー)」の技術開発、実証を進めています。

自動運転との連携も視野に地域社会のモビリティを支える「AirFree」、さらには、月面という極限の環境で安心・安全を守り、人類の夢を背負った宇宙探査を支える「AirFree」の開発を推進しており、地域社会から月面へ、価値創造をつなげていきます。原材料に関連しては、再生可能資源の拡充、天然ゴム資源の多様化を図るグアユールの研究を継続し、タイヤを原材料に「戻す」リサイクルの実現についても推進をしていきます。ブリヂストンのコアコンピタンスを活かした新たな挑戦であるソフトロボティクスは、社内ベンチャーの導入など人的創造性向上の取り組みとも連動しながら、小規模事業化を進めていきます。

サステナビリティ価値創造へ向けた基盤構築

ビジネス具体化シナリオに、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブなど、サステナビリティに貢献する活動を統合し、相互に連動させることで、持続的な価値創造基盤を構築し、サステナブルな体質を強化していきます。

持続的な価値創造へ向けた信頼の醸成

変革の進捗・成果や24MBPの全体像を、ステークホルダーの皆様にしっかりとお示しし、対話を強化していくことで、持続的な価値創造へ向けた信頼の醸成にもつなげていきたいと思っています。その一つの成果として、本年に創設された「SX銘柄2024」において、投資家の皆様などとの対話を通じて、社会のサステナビリティ課題やニーズを自社の成長に取り込み、経営改革・事業変革によって、長期的かつ持続的な企業価値創造を進めている先進的企業として選定頂きました。
初回に選定された15社のうちの1社となれたことは、ブリヂストンの使命、ビジョン、E8コミットメントとの一貫性を担保した企業変革や、サステナビリティを経営の中核に据えた持続的な価値創造基盤を構築する取り組みを主に評価頂いたためと捉えています。今後も、持続的な価値創造に向けて、ステークホルダーの皆様との対話を重視し、共感から共創へとつなげていきたいと思っています。

持続的な価値創造基盤の構築へ向けた共創への招待

2024年の統合報告においては、24MBPに沿って、このCEOコミットメントでお伝えした、サステナブルなソリューションカンパニーへの変革に向けた想いや取り組みの進捗を、ステークホルダーの皆様へ具体的且つ包括的にお伝えします。皆様に変革の道筋をクリアにお示しすることで、持続可能な社会の実現を支えるジャーニーを共に歩むきっかけとできることを願っています。ブリヂストンは、”Passion for Excellence”を追求しながら、24MBP において実行と結果に拘ることで、持続的な価値創造基盤の構築へ弛まず挑戦していきます。

石橋 秀一
取締役 代表執行役 Global CEO