100%サステナブルマテリアル化の考え方
将来、人口や自動車台数の増加により、タイヤなどの需要も拡大することが予測されています。その結果、資源消費が増大し、資源枯渇などの問題に直面する可能性があります。ブリヂストングループは、資源枯渇などの問題に対し、技術イノベーション、ビジネスモデルイノベーションを通じて、持続可能な資源の利用に取り組んでいきます。2050年以降を見据えた環境長期目標では、製品の原材料の「100%サステナブルマテリアル化」を掲げています。
当社グループでは、「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。
100%サステナブルマテリアル化に向けたアクション
バリューチェーン全体を通して、使用する資源を減らす(リデュース)、資源を循環させる(リユース、リサイクル)、再生可能資源を拡充・多様化する、という3つのアクションを進めていきます。
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1.
そもそもの原材料使用量を削減
対応例
・軽量化技術
・耐久性向上・長寿命化技術
・製造時のロスの低減 -
2.
資源を循環させる&効率よく活用する
対応例
・リトレッド技術・ソリューション
・再生ゴム、再生カーボンブラック -
3.
再生可能資源の拡充・多様化
対応例
・天然ゴムの生産性向上技術
・天然ゴム供給源の多様化(グアユール)
・バイオ由来の原材料の開発
マイルストン2030: サーキュラーエコノミーへの貢献促進
経済成長により、資源消費が増大し、資源需給が逼迫していくことが予測される中、天然資源の枯渇、資源価格の高騰などが深刻化しています。サーキュラーエコノミー※1は単に環境問題を緩和するだけでなく、資源をより賢く、持続的に利用することでタイヤの価値を向上させ、競争優位獲得につながるビジネスモデルへの変革の機会であると捉えています。サステナビリティビジネスモデルを軸に経営全体でサーキュラーエコノミーの促進を進めており、安全性・環境性・経済性・生産性の4つの社会価値・顧客価値の創出に貢献できるように、包括的に取り組んでいます。
当社グループは、再生資源、再生可能資源由来の原材料の使用(マテリアルサーキュラリティ※2の向上)、使用済タイヤの有効利用(プロダクトサーキュラリティ※3の向上)を含む包括的な取り組みを加速させ、サーキュラーエコノミーの実現に貢献します。
Key actions
・サステナブルマテリアルの拡充に向けたロードマップの策定と実施
・資源生産性※4の継続的向上
・プロダクトサーキュラリティの継続的向上(使用済タイヤの有効利用)
・使い捨てプラスチックの削減への貢献に向けた方針/ロードマップの策定と実施
Focused target
・2030年までに再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率※5を40%に向上する
サーキュラーエコノミーへの貢献を促進していくために、環境長期目標の「100%サステナブルマテリアル化」に向けた中期目標として「2030年までに再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に向上する」という目標を掲げています。商品のライフサイクル全体において、長寿命設計や再生可能資源の拡充・多様化、リトレッド、リサイクル、リペア、シェアなど、多様な取り組みを加速させており、2023年は37%以上を目標に取り組みを進め、39.6%の再生資源・再生可能資源比率を達成しました。
サーキュラーエコノミー への貢献領域 |
ブリヂストングループの アプローチ |
取り組み例 |
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資源生産性の向上 |
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マテリアルサーキュラリティの向上 |
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プロダクトサーキュラリティの向上 | ||
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- ※1省資源で持続可能な製品の設計・生産、持続可能な消費活動、使用後の製品や資源の適切な回収、再生・再利用を通じ、資源のムダを省き、環境破壊のリスクを低減させる経済システム。
- ※2原材料における循環性を示す概念であり、ブリヂストングループでは、使用する原材料に占める、リサイクルされた原材料及び再生可能資源由来の原材料の割合を指標として用いています。
- ※3使用済み製品の循環性を示す概念であり、ブリヂストングループでは、回収した使用済み製品が有効活用された割合(処理事業者との契約ベース)を指標として用いています。
- ※4資源利用の効率を測る指標であり、売上高÷原材料の使用量で算出されます。
- ※5リトレッド用の台タイヤ(トレッドゴム以外の部材)を含むタイヤの総原材料重量に占める比率
商品のサステナブルマテリアル化
製品原材料の 「100%サステナブルマテリアル化」 の実現に向け、当社グループでは具体的な商品においてサステナブルマテリアルを活用する取り組みを加速させています。
2023年5月には、再生資源または再生可能資源を50%使用した電気自動車用タイヤTuranza EVを北米で上市しました。50%の内訳は天然ゴム20%、リサイクル合成ゴム18%、残りはリサイクルカーボンブラックで、合成ゴムおよびカーボンブラックは、ISCC PLUS認証※1のマスバランス方式※2を使用して割り当てられています。
2024年2月には、同じくISCC PLUS認証のマスバランス方式を使用した合成ゴムを割り当てたREGNO GR-XIIIを日本で上市し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献しています。
また、レース用のタイヤとしては、第107回インディアナポリス500(2023年5月開催)や世界最高峰のソーラーカーレース「2023 Bridgestone World Solar Challenge(以下BWSC、2023年10月開催)」において、再生資源・再生可能資源比率(MCN - Material Circularity Number)を高めたタイヤを供給しました。
インディアナポリス500では、リサイクルが困難な使用済みプラスチック製ショッピングバッグ、フィルム、ストレッチラップ、その他のパッケージなどから製造されたISCC PLUS認証を受けたリサイクルブタジエンをすべてのレースタイヤに採用しました。
BWSCでは、リサイクルされた鉄や有機繊維、ゴム薬品、オイルのほか、もみ殻由来シリカやタイヤ熱分解油由来カーボンブラック活用することで、前回大会では30%程度だったMCNを63%に向上させた 「ENLITEN」 技術搭載タイヤを提供しました。
- ※1ISCC PLUS認証とは、ISCC(International Sustainability and Carbon Certification:持続可能性および炭素に関する国際認証)が展開する認証制度です。バイオマスなど再生可能資源由来の原材料や再生資源由来の原材料を用いた製品を対象とし、サプライチェーンを通じたトレーサビリティに関する要求事項に準拠しているかどうか審査のうえで認証されます。
- ※2マスバランス方式とは、原材料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原材料(例:バイオマスなど再生可能資源由来の原材料)がそうでない原材料(例:石油由来の原材料)と混合される場合に、その特性を持った原材料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法です。当社はISCC PLUS認証取得工場において、ISCCの最新規定に則りISCC PLUSの要求事項に準拠することを約束し、宣言します。