1981~1987年
第7章 米国での現地生産開始、多角化の進展
- 第1節 創立50周年と世界メジャーへの第一歩
- 第2節 ファイアストン社・ナッシュビル工場買収
- 第3節 CI実施と社名変更
- 第4節 経営トップ新体制に
- 第5節 新たな市販用タイヤ市場への対応
- 第6節 タイヤ事業の国際化の進展
- 第7節 タイヤ開発技術の革新
- 第8節 多角化事業の推進
- 第9節 新たなる経営目標の明示
第3節 CI実施と社名変更
第1話 CI実施の背景と狙い
CIとは、コーポレート・アイデンティティ(Corporate Identity)の略で、シンボルマークや看板など、企業を表現するあらゆるものを一貫させることで、企業の社外に与える印象を、基本理念や経営戦略に即したものにすることです。当社が推進したCIは、デザイン類だけでなく、新時代に全社をあげて対応する覚悟を、新しい装いをもって世に示すとともに、体質改善と連動しながら、社内の規範、仕組み、行動の面で新しい装いにふさわしい行動をし、会社のイメージと実態が一致して、社会から正しい認識と評価を得られるようにしようとするものでした。目的は「会社の真の発展体質を確立」というものでした。
CI導入の必要性
服部社長は、経営におけるCIの位置付けを次のように語りました。
「QCやIE、組織変更や人事異動を、会社の体質を健全にするための『運動』とすれば、CIはその時のTPOにあった服装である『ジョギングウエアに着替えること』と言えましょう。富士山へ登るのに、背広を着て登るよりも、ジョギングウエアで登る方が早いし、汗の量も少ないように、他の体質改善活動と連携してCIをやれば、効果の現れる時期も早くなるし、質も高まり、量も倍増すると言えるのです。」
第2話 CI実施内容と社名変更
CI推進体制と経緯
1980年、常務会でCI推進の方針が決定され、CI委員会が設置されました。1983年には、CI委員会を発展的に改組して、服部社長を委員長にCI実行委員会が発足しました。問題把握のために社内外で行われたヒアリングや調査の結果、当社の問題点は「新しい価値観とのギャップ」「企業体質が追従型に変化」「情報化時代に、単に良い物をつくるだけのメーカーで良いのか、人々の生活文化に寄与していく価値にもっと目を向けるべきではないか」といった3点に集約されました。この指摘を踏まえ、「当社が目指す、今後のあるべき企業像」が決定されました。
目標 | 世界1のゴム企業-規模においても質においても |
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ビジョン |
事業展開の指針
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信条 | ブリヂストン魂、「限りない前進-ニューブリヂストン」 |
行動指針 |
「挑戦、創造、信頼」 創業以来築き上げられた伝統の上に、その精神を生かしながら現代的なセンスと思想を込め、ニュー ブリヂストンのイメージ目標として、3項目を追加しました。
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社名変更と社章の変更
1984年4月1日に、この新しいCIが実施されました。各事業所で新社旗が掲揚され、社員には新しい記章、名札、名刺、行動指針が印刷されたカードが配布されました。
当社は、社名を「ブリヂストンタイヤ株式会社」から「株式会社ブリヂストン」へと変更し、社名から「タイヤ」の文字を外しました。これには、タイヤを中心としながらも、当社の目指すものに無限の広がりと可能性を与えるもの、という考えが込められています。
それは、ブリヂストンの事業と活動の場を、世界へ、新技術へ、そして新事業へと広げていき、あらゆる面で良き社会の一員として評価され、共感を呼び、本当になくてはならない会社になりたいという決意の表れであったのです。
ロゴについては、キーストンマークの資産価値を尊重しながら、リファインする作業が始められました。2千点にのぼるデザイン案から選定されたブリヂストン・シンボルには、「限りなき挑戦」を表す「ライジングアロー(矢印)」と、「燃える情熱」を意味する「ホットトライアングル(赤い三角形)」が組み込まれています。
新社歌の歌詞と社内報の新名称は社員から募集しました。社歌は、防府工場の2人の女性社員の作品「宇宙(そら)駆けるブリヂストン」が入選し、服部克久氏の作曲により発表されました。
社内報についても、シンボルマークの矢印(ライジングアロー)の名称を使った「Arrow」と決定され、1984年4月号より現在まで使用されています。