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BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41
プロモーションビデオ撮影のウラ話 宮城光×佐藤潤
近年人気を誇るアドベンチャーバイク。オフロードスタイリングはアップライトなポジションで疲れにくくロングツーリングに最適。最新のテクノロジーでスポーツ性能も高く乗っていて楽しいのがその理由。もちろんブリヂストンもアドベンチャーカテゴリに商品を投入しています。2022年新商品は『BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41』。アドベンチャーバイクとのマッチングを意識してブロック調のパタンデザインを搭載、ライダーをその気にさせます。
先日『BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41』のプロモーションビデオが公開されました。そのビデオ撮影に密着してきたので、どのように撮影したのか、どんな会話があったのかなど、ビデオには映っていないウラ話を掲載したいと思います。
1. インプレッションするのはこの人
宮城光。この名前を聞いて知らない人はいないでしょう。
1982年、名門「モリワキ」から彗星の如くデビュー、数々の栄光を残しホンダワークスライダーにステップアップ。
全日本ロードレースはもちろん、全米選手権でもチャンピオンに輝いたレジェンドです。
レジェンドと聞くと過去に活躍した人に聞こえるかもしれないですがとんでもない、宮城さんは今でも現役バリバリです。鈴鹿8時間耐久ロードレースの監督、交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師、TVや雑誌でレースやバイクの解説と、多方面で活躍しています。ブリヂストンの新商品インプレッション動画にも多数出演していますね。
その宮城さんが2022年発売のBATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41に一足早く試乗、
そのインプレッションの動画を作成しました。
■ BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41 インプレッションPV
今回の撮影ルートは下図写真の通り。中央自動車道双葉サービスエリアを出発、高速走行シーンを撮影しながら諏訪インターで下車、ビーナスラインを目指します。白樺湖、蓼科高原を経由して佐久市の内山牧場でエンディングシーンの撮影。全行程約150kmの長距離を約30カット撮影しながら進むかなりタイトなロケです。初日は天候不良で撮影不可のアクシデントも発生。スタッフ一同二日目の天候を祈るのみでした。
2. 難しい撮影
撮影はこのカメラカーで行います。
車の前後にカメラを取り付けるための装置を鉄パイプで設置。カメラの位置は車の全長から10%以内に収めなくてはならない、という厳格な道路法に基づく規定があります。
カメラカーが後ろから撮影する"追っかけ"、前から撮影する"引っ張り"、そのシーン毎にカメラの取り付け位置を変えますので、カメラチェンジの時間も見越した撮影スケジュール作成が求められます。
カメラはBluetoothでコントローラーと繋がり車内からリモートコントロールします。パン(水平角度)、ティルト(垂直方向角度)、ズーム、など微妙なコントロールを揺れる車内から行いますのでかなりの技術と神経を使います。そして何よりも劇車(撮影で使用されるバイク)を運転するライダーとの信頼関係が大切です。コーナリングシーンでは巡行速度、ブレーキのタイミング、ライン取り、など常に一定の距離を保つ必要があります。宮城さんとの意思疎通が欠かせません。
3. 脇道に入りたくなる
諏訪インターで降りてビーナスラインへ向かうワンディングロード走行中に一本の脇道がありました。
それは未舗装路の林道。香盤表(撮影スケジュール表)に載っていない道でしたので撮影はできませんでした。
「途中の林道、良かったよね!ああゆう道に入りたくなるんだよね。AT41は」とコメント。
そうです、BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41は今までは通り過ぎていたちょっとした脇道へ入りたくなる、そんな気にさせてくれるタイヤなのです。
「このタイヤの持っている魅力、高速道路を走る、ちょっと荒れたワインディングを走る、そしてちょっとした悪路に入っていく、このアドベンチャー感が良いよね」「入ったその後はその人だけのお楽しみなんですよ」と宮城さん。
4. 宮城さんの相棒
ロケが始まってすぐにBATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41の魅力に惹かれ始めた宮城さん、撮影は順調に進みます。
さてビデオをご覧になった皆様はお気づきかと思いますが、BMW R1250 GSとSUZUKI V-STROM1050の2台のバイクが登場します。もう一台のバイクを運転するのは影となり日向となりビデオ制作には欠かせない人物です。ブリヂストンの二輪車用タイヤの販売会社、ブリヂストンモーターサイクルタイヤ株式会社(BSMC)の社長:佐藤潤です。自らもバイクレースに参戦、バイクやタイヤについての知識は豊富。長年販売の最前線にいたのでお客様や販売店様の心情やニーズをしっかりと掴んでいます。佐藤のアドバイスは的確で誰もが納得します。
宮城さんと佐藤、この二人の付き合いは長く、2011年愛知県幸田サーキットでのホンダ新車試乗会で初めて会話してからです。
「東京からバイクに乗ってくるパンチの効いた人もブリヂストンにはいるんだ、と思いました。本来それは自分の得意とするところなんだけど、取られちゃったな」と宮城さんは思い返します。
「ホンダさんの中部支店から(ブリヂストンに)ブースを出して欲しい、との依頼がありました。BSMC中部が出展するというから自分も行くことにしました。当時自分は社長ではなかったし、どうせ行くならバイクだな、と思って行きました」と佐藤。
宮城さんが続けます。「遠くから全身黒ずくめの男がこっちをジッと見ているわけですよ。なんか見たことあるなぁ、、と思っていたら"あっ、昔富士(富士スピードウェイ)を走っていた人だ!"とわかりました」
そうです、宮城さんと佐藤は2011年に初めてビジネス上の会話をしましたが、二人の出会いはそのもっと前、1990年に遡ります。
当時の宮城さんは泣く子も黙るホンダのワークスライダー。全日本ロードレースの富士スピードウェイ大会でスタートで出遅れ、"1コーナーまでに全部抜いてやる!"とレイトブレーキングしたけど止まりきれずコースアウト。半周遅れとなってしまい、たったひとりで27周を周回しました。「淋しかったですよ」と宮城さん。
その翌月の練習走行で佐藤は宮城さんと遭遇します。当時、佐藤も富士スピードウェイの地方選手権に参戦、常に上位入賞を果たす戦績を残していました。
「その日も誰にも抜かれないなと思っていました。最終コーナーを「イケーーーッ!」って攻めていたら、なんか聞いたことない2サイクルの図太い音がしたと思ったら、もうそれは恐ろしいスピードであっという間に大外からブチ抜かれて、自分が1コーナー立ち上がる頃にはその先のAコーナーにいました」
「全日本ロードレースのしかもワークスライダーが練習走行に来るなんて誰も思わないじゃないですか。そこに宮城光がいた。よっぽど悔しかったんだろうな、と思うと同時に、この人の勝利への執着は凄まじいものがある、と感心しました」
確かに、ワークスライダーが一般の練習走行を走るとは考えられません。その真摯な姿勢に佐藤は感銘しました。その話を聞いていた宮城さん、照れ隠しからか、「今の話を要約するとね、"直線が速いだけ"と言いたいのですね。コーナリングでは負けないぜ、と言いたいのです」ひとこと。これにはみんな爆笑。
このように宮城さんと佐藤の会話はロケの間、至るところで繰り広げられ、スタッフの心を穏やかにしたのでした。
5. 撮影中止?
順調に進んでいた撮影ですが、初日最後のカットでハプニング発生。白樺湖、蓼科高原は好天でしたが、内山牧場に向かうにつれて雲が厚くなり、到着した頃には濃霧で一面真っ白。標高1,200mに位置するため変りやすい山の天候の影響をもろに受けてしまいました。絶景を眺めながら焚き火で語り合うシーンで終わるはずが濃霧の中で凍えるシーンになってしまいます。演出を変えるか、監督は悩み何カットか撮影を試みますが、濃霧は酷くなるばかり。やがてはバイクさえも視認できなくなり撮影は中止に。
翌日の天候回復を願い、後ろ髪を引かれる思いで内山牧場を後にしました。
果たして明日は晴れるのか?
6. タイトな撮影スケジュール
二日目の朝もビーナスラインで撮影。
この日は朝らかの好天。幸先良いスタートに一同ホッとしました。ですが、初日撮影するはずのエンディングシーンを撮影していないためスケジュールはかなりタイトになりました。先ずはビーナスラインの美しいワインディングロードを上空からドローンで撮影します。さらに撮影場所を一箇所に固定して撮影する定点撮影も行います。航空法により200g以上のドローンの飛行には空域規制があります。これらの規制区域については、航空法による許可を受けた場合のみ飛行が可能となります。今回も霧ヶ峰自然環境保全協議会に届け出を提出して撮影を行いました。撮影中は下図写真のビブスの着用が義務付けされます。
宮城さんと佐藤の2台がヘアピンカーブを走行するシーンの撮影中に宮城さんから無線で「もう一度撮影したい」と連絡が入りました。
「2台が綺麗に映るように少しセンターライン寄りに走行したけど、バンクした時にもしかしたら頭がセンターラインから少しだけ出たかもしれない」とのこと。映像をチェックするとセンターラインからははみ出してはいませんでしたが、念の為もう一度撮影。交通安全啓蒙活動講師をしている宮城さんらしい安全に対する意識の高さです。
7. 360度の絶景パノラマ
順調に撮影は進みます。
とは言えタイトなスケジュール。お昼ごはんは白樺湖畔のコンビニでおにぎりを買ってウェットシーンの撮影場所へ移動します。
濡れた路面は散水車で作ります。走行区間を二往復もすると路面に水膜ができますので乾かないうちに撮影開始。ここでBATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41のウェット性能の良さを体感しました。「水飛沫がタテ方向に上がっていますよね。これは排水性が良い証拠」と佐藤。「水膜のある路面だったけど安心してアクセルを開けることができました。効果的な排水によってしっかりと路面を捉えていることが感じられました」と宮城さん。BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41のブロック調のパタンデザインはオフロードルックな見た目だけではなく排水性能の向上にも寄与しているのです。
いよいよ最後のシーン。
前日は濃霧に包まれ何も見えなかった内山牧場。果たして今日は晴れているのか、そんな不安を抱きながら移動します。しかしそれは杞憂に終わりました。そこで待っていたのは言葉では言い表せないほどの絶景。雄大な荒船山、八ヶ岳連峰を見渡せる360度パノラマが広がります。
エンディングは宮城さんがオートキャンプ場でBATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41の印象を語ります。
「オフロードイメージのトレッドパタンを採用したことでアドベンチャーバイクに装着すると心が高まりますよね」と切り出します。高速道路、ワインディング、ウェット路面を走行して確かな性能を感じた宮城さん。「ツーリングの途中ですごく景色のいいところがあって、もう一歩足を伸ばしたいな、と思ったところが未舗装路であった場合、このAT41であれば踏み入ることができる、しっかりと期待に応えてくれるタイヤだと思います」と語ります。
8. 仲が良いのか悪いのか
焚き火を囲み、佐藤と談笑しているシーンで終わります。
宮城さんと佐藤、奇しくも同い年の二人はとても良い関係です。
「元ワークスライダーで活躍した有名な人だけども、そこにあぐらをかくことなく、自らいろんなバイクに乗って、さまざまなタイヤを履いて、そこで体感した違いを言葉にする。
しかもレーシングライダー目線でなく、一般のお客様の目線で等身大の言葉で語る、だからお客様の心に響き、納得するのだと思います」と佐藤は言います。
「だから話が合うし、逆に意見もしょっちゅうぶつかるけど、それは建設的なぶつかり合いなんですよね」と宮城さん。
このロケ中、宮城さんが次に履くタイヤのリム幅について何インチが良いのか、について何度も意見がぶつかっていました。お互いに一歩も引きません。最後は笑顔でお互いに納得していましたが、こんなに熱く語り合える関係って羨ましいと思いました。
9. 良い意味で大きく裏切られた
佐藤にBATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41の印象を聞いてみました。
「いい意味で大きく裏切られました。正直、アドベンチャーのオンロード用タイヤとオフロードタイヤの中間のポジション、どっちつかずのタイヤかなと思っていました。だけど乗ってみたら両方とも良い。ちゃんと性能を出している。宮城さんが言ったように、アドベンチャーバイクで、もうちょっと先に行きたかったなと言うことが叶う。だからアドベンチャーバイク買ってよかった。このタイヤに出会えてよかった。そんなふうに言ってもらいたいなと思います」
BATTLAX ADVENTURE TRAIL AT41は、アドベンチャーバイクのタイヤに走りの楽しさとアクティブなデザインを求めている人に、もう一歩先の場所へと足を延ばしたくなるタイヤです。