タイヤがなければ、バイクは走れません。ほとんど例外なくバイクにはタイヤが必要です。
そんなタイヤのこと、あなたはどれくらいご存知でしょうか。
そもそも、なぜタイヤは存在するのか。そして、そのタイヤはどのようなものであるか。その役割をあらためてご説明いたします。
タイヤには 「車両を支える」「駆動力、制動力を伝える」「方向を転換・維持する」「路面からの衝撃を和らげる」という4大基本機能を備えていることが必要です。この4つの基本機能を備えているものが「弾力性のある空気の容器」であり、みなさんもご存知の空気入りタイヤとなっています。
4大基本機能を果たすためのタイヤ構造とは弾力性のある空気の容器(空気入りタイヤ)である必要があります。
クルマが曲がるカギとなる性能は、乗用車用タイヤではタイヤのスリップ角によって発生する「コーナリングフォース主体の横力(タイヤの中心面に対し、直角に発生する力)」によってもたらされています。
なので、曲がりたい方向にハンドルを切ると、車両はその方向に旋回を始めますが、遠心力が車両に働くため、旋回外側(曲がる方向と反対側)に傾きます。
それに対し、二輪車用タイヤでは「タイヤのキャンバー角によって発生する横力」、すなわち「キャンバースラスト」(後述)と呼ばれる力により曲がっていきます。なので、バイクは曲がりたい方向に車体を傾けてバンク角をつけて曲がっていきます。
このため、二輪車用タイヤの形状は、乗用車用タイヤに比べ、大きなキャンバー角が取れるように、タイヤ断面の半径が小さく、楕円形になっているのです。
車両を旋回したい方向に傾けてタイヤにキャンバー角を与える。
→ 車両は旋回する方向に傾く
旋回したい方向にハンドルを切り、タイヤの向きを変える。(フリップ角を付ける) → 車体は旋回する方向と反対に傾く
10円玉など、円盤状の物体を傾けて転がすところを想像してみてください。円盤は傾けた方向に曲がっていきますね。
このとき、円盤の中心線に直角横向き(内側)に働く力をキャンバースラストといいます。
キャンバースラストはキャンバー角(車輪の傾き)とともに大きくなります。
一般乗用車のキャンバー角は車両に対し±0.5°程度(プラスは車両外側、マイナスは車両内側にタイヤが傾きます。)であるのに対し、二輪車両は最大45°~50°にもなります。
また、一般乗用車はキャンバー角を走行中に変化させることはできませんが、二輪車はコーナリングの状況に合わせてライダーがキャンバー角を変えて走行します。すなわち、二輪車のコーナリングではキャンバー角が重要な働きをするため、二輪車用タイヤの設計においては、このキャンバースラストを積極的に使い、曲がる力を生み出すように設計しています。
キャンバースラスト図
キャンバー角によるキャンバースラスト
車両を旋回させるためには、旋回時の遠心力と釣り合うコーナリングフォースが必要です。
二輪車を旋回させる力、即ちコーナリングフォースは車体のキャンバー角によるキャンバースラストが主となりますが、コーナリングの状態によってはタイヤのスリップ角によるコーナリングフォースが必要になる場合もあります。
キャンバースラストはキャンバー角(車両の傾き)によって決まってしまうので、コーナリング時の遠心力に対し、キャンバースラストだけでは不足する場合には、ハンドルを切ることにより、スリップ角によるコーナリングフォースを発生させて補う場合もあります。
二輪車用のタイヤは、直進時でも、曲がるときでも、どんなバンク角でも接地面積が大きく変化しないように設計されています。
なぜなら、接地面積がバンク角により、大きくなったり小さくなったりすると、路面に対し、安定した接地が得られず、グリップが上がったり下がったり、不安定になってしまい、危ないからです。
二輪車用のタイヤは、タイヤが傾いても接地面積がほぼ変わらないように設計され、安定したグリップを維持し、旋回できるように、形状が考えられています。
これも、二輪車用のタイヤの断面が、乗車用タイヤに比べ丸い形状をしている理由の一つです。
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