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2000~2006年

第10章 苦闘を糧に、将来に向けた事業基盤の再構築

第10章 苦闘を糧に、将来に向けた事業基盤の再構築 2000~2006

第4節 化工品事業の展開

第1話 事業の「質の追求」

2002年、化工品部門の中期経営計画を策定し、2003年から2005年にかけて、事業の質の追求と再構築を目指すことにしました。
業界No.1、もしくは少なくともNo.2、今後とも需要の伸びが見込まれる、当社の技術力が発揮できる、という選択基準により、防振ゴム、シートパッド、OA部品、高機能フィルム、産業用化成品、プッシュロック、ユニットバス、免震ゴム、ゴムクローラー、油圧ホース、コンベヤベルト、海外事業、の12事業に経営資源を集中させ、事業の質を向上させるとともに規模拡大も推進することを目指しました。
その結果、化工品部門の業績は、売上面でも収益面でも大きく向上しました。

第2話 化工品事業の日本での展開

油圧ホース事業の再編

2002年、油圧ホース事業において、グローバルベースでの競争力を強化し顧客サービスの向上を図るとともに、事業全体を拡大していくために、子会社である「ブリヂストンフローテック」(BSFT)の販売・開発部門を当社に統合しました。

PDPフィルター事業の拡大

PDPフィルターとは、プラズマテレビの画面の最前面に取り付ける光学部品で、外光の映り込みを防止し、3原色の純度を高めることにより画質を向上させ、画面から発生する電磁波や近赤外線を遮断するなどの機能があります。
1998年、独自のEVAフィルムを接着剤として使用したPDPフィルターを三菱電機に納入しました。それを皮切りに、1999年にはパイオニア、2001年には日立製作所への納入に成功、2002年には松下電器産業(現在のパナソニック)への納入も開始するなど、確実にシェアを拡大しました。更に、2003年にはフィルムタイプのPDPフィルターを開発し、世界で初めて量産化に成功するなど、その後も着実に事業を拡大してきました。

シートパッド生産体制の再編

2004年、当社の横浜工場、防府工場、上尾工場の車両用化成品(自動車用シートパッド)生産部門を「ブリヂストン化成品製造」(BSKM)に統合しました。これにより生産が一元化され、事業自体の効率化が進み、国内の生産基盤が強化されました。

免震ゴム事業の拡大

当社では、土木建築用品事業の主力商品のひとつとして、ビル用や橋梁用の免震ゴム事業を推進してきました。その後、公共プロジェクトだけでなく一般の戸建住宅についても免震化の要望が高まってきました。
そこで当社では1998年に"戸建住宅用免震構法"を開発し、住宅の分野にも免震構法を拡大しました。2001年には指定建築材料認定を取得し、これにより設計者は簡単な構造計算を実施するだけで免震住宅の設計が可能となりました。
更に、2004年には免震部材の配置計画作業を支援するパソコンソフト「LAP2(Layout Planning Assistance Program)」を開発し、翌年にはその機能を大幅に向上させた「LAP2-V2」を開発しました。このソフトの使用により免震に不慣れな構造設計者でも効率よく配置計画作業ができるようになり、より一層普及に弾みがつきました。

第3話 化工品事業のグローバル展開

中国での展開

2002年、当社と現地企業との合弁により、広東省広州市に、フレームラミネート・ウレタンフォームなど樹脂製品の加工・販売を行う「普利司通喬福(広州)塑料有限公司」(BCGU)を設立しました。
同年、上海市内にウレタンフォームなど樹脂製品の加工・販売を行う「普利司通(上海)精密塑料有限公司」(ELSH)を設立しました。
2004年、広州汽車工業集団の自動車部品統括会社である広州汽車集団零部件有限公司との合弁により、自動車シート用ウレタンフォームの製造・販売会社「広州普利司通化工製品有限公司」(BLMG)を設立しました。
2003年、江蘇省常州市に自動車用防振ゴムの製造販売会社「普利司通(常州)汽車配件有限公司」(BCAP)を設立しました。

アジアでの展開

当社は、特殊ポリマーとオイルのコンパウンド技術を用いて、人間の細胞に類似した構造を持つ新素材、低硬度エラストマー「MNCS(Micro Network Controlled Structure:ムンクス)」の開発に成功していました。「MNCS」は防振性、衝撃吸収性、酸・アルカリ等に対する耐薬品性に優れ、熱可塑性のためリサイクルが可能であり、ダイオキシンを発生しない、環境に優しい画期的新材料です。
2001年、フィリピン・マニラ郊外に、「MNCS」事業の主力商品であるハードディスクガスケットの生産拠点として、「ブリヂストン プレシジョン モールディング フィリピン社」(BPMP)を設立しました。

欧米での展開

米国では、Bridgestone APM Company(BAPM)がテネシー州にシートパッド、衝撃吸収材の生産を行う新工場を建設し、2004年からホンダ車、トヨタ車向けに順次納入を開始し、北米での需要の拡大に対応しました。
欧州では、建設車両用ゴムクローラー需要の増加に対応するため、2004年、「ブリヂストン ダイバーシファイド プロダクツ ポーランド社」(BSDP)を設立しポーランドのジャルフにゴムクローラー生産工場を建設し、2006年より生産を開始しました。

第4話 研究開発新技術の事業化

ピュアベータS/Rの事業化

当社は、長年蓄積してきた高分子技術や、ナノテクノロジーを駆使して、1998年、超高純度ファインセラミックス(SiC)部材、ピュアベータを生み出しました。この部材は純度が高く、耐熱性、耐薬品性に優れ、高い熱伝導率と導電率を特徴としています。市場のユーザーの用途によって選択してもらえるように、半導体部品用・ヒーター部品用にピュアベータ-S(超高純度SiC-Si反応焼結体)と、半導体用部品でも形状がより複雑な大型部品用のピュアベータ-R(超高純度高密度SiC)の2種類の販売活動を開始しました。
2003年からは、ピュアベータ専門の事業部を設置し、本格的な事業化に取り組み、新事業のひとつとして育ってきました。2002年には世界最大の半導体製造装置関連の展示会「セミコンジャパン」に出展、その後米国開催、ヨーロッパ開催の展示会にも出展し、「ピュアベータ」ブランドのグローバル展開も図り、海外企業への納入など大きな成果につながりました。

ピュアベータ-Cの技術開発

2003年、炭化珪素(SiC)単結晶ウェハの開発に成功、多くの分野で幅広い活用が見込まれている次世代半導体、ピュアベータ-Cを発表しました。ピュアベータ-Cの開発により、当社は高純度粉体原料から、焼結体、単結晶までを、世界で初めて一貫生産できるメーカーとなりました。

電子ペーパーの技術開発

2002年、粒子と液体の中間的特性を兼ね備えるとともに、高流動性を有し、かつ電気に敏感に反応する性質を持つ「電子粉流体」の開発に成功しました。その後、電子粉流体を用いた、視野角が広く消費電力が少ない、液晶と比べて極めて応答性が高速なディスプレイ「QR-LPD(Quick Response-Liquid Powder Display)」を開発しました。
2004年、米国のシアトルで開催されたディスプレイ関連の学会・展示会であるSID2004(Society for Information Display)でQR-LPDを発表、学術的意義のある発表案件に与えられる「Distinguished Paper賞」を受賞しました。
同年、世界で初めて数字だけでなく文字や絵も自由に表示でき、電源を切っても表示を維持することのできる電子プライスタグ用ディスプレイの商品化に目処がつき、電子ディスプレイ事業化への取り組みを開始しました。