建築免震・制震|免震ゴム(建築用)|基本構造と製品ラインナップ
高減衰ゴム系積層ゴム X4T(フレア形)
限界特性を向上させたフレア形
免震ゴムは上下のフランジと円筒形状の積層ゴム部で構成されています。
この形状の場合、せん断変形時にフランジと積層ゴムとの端部付近に最も大きな応力が発生し、ここを起点に大変形時に座屈が生じるため、特に低弾性ゴムでゴム径が小さい場合は変形量が制限されていました。
そこで、積層ゴム部の上下端部に幅広のフレア部を設けることで、鉛直荷重の支持面積を広げ、大変形時の局所的な応力集中も緩和させました。これにより、座屈に至るまでの変形を従来形状よりも向上させることができることをFEM解析や実験で確認しました。
せん断変形 (ひずみ※) |
従来形 (面圧13.6N/mm2,1307kN) 有効外径φ350 S1:36.4/S2:3.46 X0.4S |
フレア形 (面圧13.6N/mm2,1307kN) 有効外径φ350 S1*:36.4/S2*:3.46 X4T |
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200% | ||
240% | ||
333% (フレア形のみ) |
※ゴム総厚さに対する水平変位の割合を示す。
ひずみ | 200%せん断変形 |
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試験面圧 | 9.2N/mm2(3810kN) |
設計範囲の拡大
限界特性を向上させたフレア形は、従来形よりも座屈しづらいことから基準面圧を従来形よりも上げており、それでも設計で使用できる範囲(性能保証変形※)は十分に確保できています。
一例として、下図のようにフレア形HF080X4T(有効外径82.5cm)の性能保証変形は、従来形HH080X4S(有効外径80cm)はもちろんのこと、より大型のHH090X4S(有効外径90cm)と比べても部分的に大きくなっています。
このことは従来設計では地震応答変位の関係で、サイズアップを余儀なくされたケースでも、サイズを変更せずにすむため、より効率的な設計で地震応答の向上に貢献します。
※ここでは限界ひずみの2/3以下かつ、基準面圧の2倍以下と定義