氷の上はなぜ滑る?その原因はほんのわずかな水膜でした
氷の上はなぜ滑るの?突然こんな質問をされたらちょっと困ってしまうでしょう。でもみなさん、その理由は身近なところで体験済みなのです。冷凍庫から氷を取り出したときを思い出してください。冷凍庫から取り出したその瞬間はしっかり掴めた氷も、ほんの少し溶け出すとすぐに手から滑り落ちてしまいます。氷を机の上に置いた場合でも同じです。ほんの少しでも氷が溶けるとスルスルと机の上を滑っていきます。
氷の上が滑りやすくなるのはまさにこの状況と同じ。その原因となるのは氷と手や机の間に氷が溶け出した時にできる水膜。この水膜によって摩擦係数が下がり滑り始めるのです。擬似液体層と呼ばれる水膜は、氷が溶けやすい0度からマイナス4度にできると言われています。その環境において氷の結晶は大きさを変化させ、結晶が小さくなると摩擦や外気の熱でさらに溶けやすくなり水膜を発生させやすくなるのです。氷が滑る、その理由は氷そのものではなく、氷との間に発生する水膜が原因だったのです。
*イメージ図
冬の路面、なかでも氷上ではこの水膜が凍った路面とタイヤの間に発生します。氷上でもタイヤを滑りにくくするためにはまずこの水膜を除去し、タイヤのグリップ面をしっかりと氷に密着させることがとても大事になります。スタッドレスタイヤに求められる氷上性能とは、この水膜を取り除くことにあり、タイヤメーカー各社様々な技術によってこの水膜除去性を上げようと必死に技術開発を行っています。
ブリヂストンではこの水膜を除去するために、発泡ゴムという技術をスタッドレスタイヤに採用しています。これはタイヤのゴム内部に気泡を含ませ、この気泡によって水膜を除去するというもの。わかりやすく説明すると、スポンジのような構造を持っているタイヤで氷上の水膜をスポンジが吸い取るというイメージ。発泡ゴムの気泡によってしっかり水膜を取り込むとタイヤの表面は氷をしっかり捉えて滑りにくくなるのです。
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