【ブリヂストンの師匠と弟子】ブリヂストン吹奏楽団久留米のハーモニーをつくる絆
ブリヂストンで、先輩社員から後輩社員に伝わる一子相伝(?)の技術や考え方、お客様や仕事への思い。そこには、「師匠と弟子」の関係に似た、熱くドラマチック、でもなんだか身近な物語があります。このコーナーでは不定期にそういった「師匠と弟子」の様な人々の考え方などを紹介して行きます。ブリヂストンの内側が少し垣間見られるかも!?
60年続く楽団、心のハーモニーをつくっていく
ブリヂストン吹奏楽団久留米は(株)ブリヂストン 久留米工場と鳥栖工場の従業員55名で構成され、三交代制の業務と並行して練習や演奏会に励んでいます。
今回登場するのは、チーフリーダーの後藤さんとインスペクターの田中さん。美しいハーモニーをつくるために一番大切なもの、それは師匠の心から弟子の心へと受け継がれています。
[プロフィール]
師匠:
ブリヂストン吹奏楽団久留米 チーフリーダー
(株)ブリヂストン 久留米工場 製造第2課 加硫係
後藤 司さん
弟子:
ブリヂストン吹奏楽団久留米 インスペクター
(株)ブリヂストン 久留米工場 製造第1課 才断・ビード係
田中 槙乃助さん
リーダーの資質 それは楽団を愛する心
後藤 「基礎力」のバラツキ――それが、2013年にチーフリーダーになった私が感じた課題の一つでした。基礎力向上を担う「インスペクター」を導入し、そこに入社3年目だった田中君を抜擢したのは、「楽団を良くしたい」という熱い思いに期待したからなんだ。
田中 嬉しい反面、かなり戸惑いました。若手でしたし、もともと僕は人の後ろに付いていくタイプ……。インスペクターの基本的な役割は、団員が奏でる音から、微妙な音程のズレを聞き分けて調整していくこと。当初は、僕が前に立つといくら練習しても音がバラバラ。一方後藤さんが立つと、ビシッとまとまる。解決策がわからず、想いだけが空回りしキツかったです。
後藤 厳しいのは分かっていたよ。演奏のレベルは、個々の技術も重要だけど、最終的には奏者の気持ちがこもっているか、全員が一つに団結しているかで決まる。インスペクターが担うのは、実は団員たちのモチベーションを高め、まとめること。正解のない難しい役割だね。
田中 ここで投げ出しては団の士気が下がる、逃げたくない、その一心でした。そんな中、気づいたのが、「団員のことを誰よりも知ろうとする」後藤さんの姿勢でした。
後藤 みんなが今どういう心境か、それに対してどう言葉をかけるべきか。心をまとめるリーダーが団員のことをわかっていなかったら、誰も付いてきてくれないよな。
田中 はい。休日の過ごし方から仕事のことまで、心を開いて話をし、一人ひとりとの関係を大切にするようになりました。それにしても、後藤さんのところには、誰々が職場で怒られて落ち込んでいるとか、恋人ができて浮かれているとか、情報が集まってきますよね(笑)。
後藤 職場の仲間からはもちろん、団員の奥さんからも話を聞くからね。仕事や家庭がうまくいっていないと、いい音は出ないよ。
心を一つにする。一番難しく、一番大切なこと
田中 さすが!みんなが信頼を寄せているのがわかります。その上で、相談に乗ったり、冗談で笑わせたり……。僕はまだまだだなぁと感じます。
後藤 ありがとう。でも最近は田中君が前に立つ姿も堂々としてきて、みんなも真剣な眼差しで取り組んできるから感心しているよ。
田中 団員との信頼関係が築けてきたのもそうですが、以前より音が良くなってきているなと、自信を持てるようになりました。「肩の力を抜いてみましょう」とか「会場の隅まで美しい音色を届けるつもりで」とか、音とともに気持ちを高める自分なりの言葉を伝える。団員の皆さんも真剣に答えてくれる。次第に心が一つになり、音が美しく響くようになる。その実感が今はあります。
後藤 実際に田中君がインスペクターになってからは、3年連続全国大会で金賞を受賞。今や日本で「断トツ」の楽団にまで成長したと思う。
田中 ありがとうございます。60年間、聞く人の心を明るくし続けてきた誇らしい歴史を、これからも守りつなげていきたい。いつも応援してくれる会社や職場の仲間の期待に応えるためにも、僕にできることはまだまだあると思っています。
後藤 そうだね、音楽の楽しさを団員一人ひとりが体現し、会社や地域の人たち、そして社会に伝えていける、音楽性と人間性に秀でた楽団を目指していきたい。これからも頑張っていこうね。
11月に東京芸術劇場で行われた60周年記念コンサート。クラシックの演奏にはじまり、マーチングあり、ダンスありのコンサート。会場は大きく湧いた。
ソロパートを吹く後藤さん。後藤さんにとっての師匠は、いつも言葉はほとんど交わさずに、ひたすら一緒に2時間トランペットを吹き続けた先輩とのこと。
本番前の練習を指導する田中さん。20分ほどの時間で一つの音を繰り返し演奏する。団員全員の視線が田中さんに注がれる。
楽団60周年を記念し、地域貢献として始めた地元中学生への演奏指導。めきめきと上達する生徒たちの様子は、団員にも良い刺激に。
<ブリヂストン吹奏楽団久留米 >
1955年に「地域の音楽文化向上と社員の文化活動」を目的として、当社創業者である石橋正二郎が結成しました。楽団員は当社久留米工場と鳥栖工場の従業員55名で構成されており、通常勤務をしながら全国各地で定期演奏会やチャリティーコンサートを行っています。
(主な経歴)
1955年: 結成
1970年: 全日本吹奏楽コンクールで初の金賞受賞(以後、通算31回金賞受賞)
1974年: 久留米市芸術奨励賞受賞
1991年: 久留米市文化賞受賞
2003年: 地域文化功労者として文部科学大臣から表彰
<久留米工場 概要>
1.所在地: 福岡県久留米市京町105番地
2.工場長: 岩嵜 義和
3.操業開始年月: 1931年3月
4.従業員数: 1,089人(2016年6月末現在)
5.敷地面積: 約430千m2
6.生産品目: 乗用車用、小型トラック用、航空機用、レーシング用、農業機械用、産業車両用の各種タイヤ