いよいよ鈴鹿8耐レースウィークが本日のフリー走行から始まります。前回のテストで出てきた課題をクリアし、予選、そして決勝レースを迎えるための最後の調整をするのがフリー走行だそうです。「team R1 & YAMALUBE」は第1ライダー時永さん、第2ライダー藤原(儀彦)さん、第3ライダージェフリーさん。3人は順調に走行を重ねていきます。
しかし午後の走行でジェフリーさんが転倒。タイヤバリア(衝撃吸収材)にぶつかった際に発生した火がマシンに引火しました。幸いにしてジェフリーさんにケガは無かったのでホッとひと安心。
チームにはマシンが2台あります(メインのマシンとTカーと呼ばれるスペアマシン)。転倒したのはTカーだったのでその後もメインのマシンで走行を続けました。転倒したマシンを見たときは「もうダメ?」と思いましたがワタシの心配をよそに、チームスタッフの皆さんが明け方までかかって懸命の修理、翌朝には新車のように輝いていました。すごいチーム力!
ゼネラルマネージャーの西田豊士さんから「ここを触ってごらん、まだ煤が残っているよ」と言われて車体の裏側を触ったら少し手が黒くなりました。本当にこのマシン燃えたの?と思えるくらいのキレイなマシンに驚き。
本日は予選。決勝レースを闘う上でとても重要です。緊張感が増し、ピット内に響く指示の声が強く感じる。「始まったんだ」とワタシも意識。
今日のスケジュールを見ると一日に12回も予選があります!「なんで?」って思っていたら、今年は参加台数が84台と多いので2008年以来7年ぶりにA組、B組の二つに分かれて予選を行うそうです。第1ライダー(A組、B組)、第2ライダー(A組、B組)、第3ライダー(A組、B組)が、各20分ずつ2回走行するので合計12回の予選となるそうです。
「team R1 & YAMALUBE」はB組。時永さん、藤原(儀彦)さん、ジェフリーさんの中でイチバン速い人の記録(タイム)で順位が決まります。結果は総合36位、スーパーストック(SST)クラス5位でした。
「予選は予選、決勝とは別モノ」と聞きましたが、チーム内には悔しさが漂っていて迂闊に声をかけてはいけない雰囲気でした。でもそのあと気持ちを切り替えたのかな?ピット内で作業をしているスタッフから笑顔も垣間見られてワタシも笑顔に。夜の11時を回ったというのにまだピットではタイヤ交換、ガソリン給油の練習を何度も何度も繰り返していました。時間が許す限りやり切りたい、やり残したくない、という「勝利へのこだわり」を痛感。
決勝日も晴天で真夏の太陽が照りつけます。11:30の時点で気温33度、路面温度54度。路面温度54度って想像もできなかったのですが、フライパンの上に立っているような熱さでした。
11:30決勝スタート。バイクに乗った状態で一斉にスタートするのかと思ったら、反対側に立っているライダーさんが走って来てバイクに乗って出て行った!ル・マン式スタートって言うらしいです。スタートの迫力、歓声と排気音に圧倒されました。
今年のレースは荒れた展開だったそうです。転倒が相次ぎ、コース上にマシンが残っていたり、オイルが残ったりした(オイルの上に乗ると滑って転倒、二次災害が発生する危険な状態だそうです)ので、安全確保のためのセーフティーカー(SC)と言う先導車が6回も入りました。
SCが入ると走行速度が遅くなるのでガソリンの減りも少なく、タイヤにとっても負担が減るのでチームは当初予定していたピットインの回数を9回から7回に減らす作戦に急遽切り替えたそうです。レースってとにかく速く走れば良いって思っていましたが、時永さんや藤原(儀彦)さんに「8耐は速ければ良いと言うものではない、ピットインや天候、SCなど予期せぬ事態が起きた時、それに合わせてチームの戦略を練ることが大切」って教わったのを思い出しました。ピットインの回数が減れば、ロスタイムも減るのでそれを上手に利用してみるみる順位を上げていきます。
最初は「頑張って!」って応援していましたが、他のチームが転倒するシーンを見る度に胸がドキドキして「早く終わって、とにかく転ばないで、無事にピットに戻ってきて、」と祈るばかりでした。でもワタシのチームはずっと安定した走りを見せてくれて、ゴールが近づくにつれて「優勝してほしい!」と強く思うようになりました。そして最後は時永さんがゴール!
「team R1 & YAMALUBE」はSSTクラスで見事優勝しました!!フリー走行での転倒から、マシン復旧、レースでの作戦変更…ひとつひとつの困難を乗り越えるチームの力。素晴らしいです。
参戦するチームは、大手のバイクメーカー直系のチームから、会社や個人のレベルでレース参戦しているプライベートチームまで様々あるが、今回レポートするのはヤマハの社内チームで「team R1 & YAMALUBE」というプライベートチームでエントリークラスはSST(スーパーストック)クラス。
ヤマハのベテランテストライダーである、時永真氏が自身も車両テストを担当したYAMAHAのYZF-R1の素晴らしさに惹かれて、鈴鹿8耐への参戦を決めた。ライダーは時永氏と、ヨーロッパ・ヤマハのテストライダーで元SBKライダーの、ジェフリー・デ・フリース氏。そして、元全日本3年連続チャンピオンの藤原儀彦氏。R1のプロジェクトリーダー・藤原英樹氏が監督を務める。
これが鈴鹿8耐なんですね!
有給を使って、寝る間もおしんで準備し続け、その成果が、全員の想いが、この8時間に凝縮されているのを凄く感じたし、 ライダーさんはその思いを背負って走り続けているんだ、と思いました。
最初は仕事という入り方をしましたが、ワタシはすごい世界を感じ、見ることができました。
今回、チームの皆さんに接し、レースも身近に居させていただき、とても大きな感動と勇気をいただいたと思います。ありがとうございました!(サツキ)
中上 サツキ (なかがみ さつき)
生年月日:1989 年 5 月 24 日
出身地:北海道
特技:バレーボール、クラシックバレエ、水泳・スキー、スノーボード・ピアノ
趣味:海外旅行
テレビ、ファッション誌、ラジオ、舞台を中心に活躍中!スポーツは大好きだけど、モータースポーツはまったく興味ナシ!
そんな彼女がリポートの仕事をきっかけに8耐の存在を知り、出会い、体験し、さまざまな感情を得る。
身長193cmの、長身ピアノアーティスト。(と、よく言われる。)鍵盤との出会いは、クラシックピアノではなく幼少のころに親しんだエレクトーンから。学生時代にはE.L.P.などのプログレ音楽に興味を持ち、仲間に誘われて幾つかのロックバンドでハモンドオルガンやシンセサイザーなども弾いた。尚美学園大学に在学中、松本俊行氏、北条直彦氏に師事。ジャズピアノを勉強。 Official Site / yoshinoyuya.com