大正3年に建造された東京のシンボル、三越日本橋「本館」をレトロフィットで免震化

株式会社三越伊勢丹

日本で最初の大規模百貨店として知られる三越日本橋本店。「スエズ運河以東最大の建築」と称される。

お話しいただいた方:

三越日本橋本店 総務部 総務担当部長
臼井 明様（取材当時）

「免震にすれば建物の美観が保たれ、さらに通常の耐震補強は売り場や倉庫を削ってスペースを確保する必要がありましたが、免震はそのスペースも必要なかった。」

「お客様に最大限考慮し慎重に進んだ免震工事」

「2年9か月の間工事は大変で、建設会社の皆様は本当によくやっていただきました。」

振動や騒音が想定される作業は閉店後の夜間に行われ、高さのない地下空間のために大型重機の使用が制限されたため、多くが手作業で行われました。

「震度5弱でも被害はほぼゼロ、従業員も落ち着いて対応」

「まったくと言っていいほど被害は出ず、これが免震の威力だと実感しました。」

本館5階リビング用品売り場の脚の細いグラスでさえ、地震の揺れで倒れることはなかったそうです。従業員の皆様も、落ち着いてお客様の安全確保に当たられ、後日お客様からお礼状が届くほどの素晴らしい誘導だったそうです。

「大震災当日はお客様の安全な待機場所に」

「地震に対して安全な免震だったからできたこと。一般の建物では色々なものが散乱して対応できなかったはず」

当日は地下鉄などの交通機関が止まったこともあり、本館には閉店後も約3000人のお客様が滞留、1000人近いお客様が店内で一夜を過ごされたそうです。