世界中で問題視されている、海へ捨てられる⼤量のゴミ。毎年800万トンものプラスチックゴミが海に捨てられています。この地球規模の問題に対して、ひとりの⻘年が挑戦し続けています。
クリーンなエネルギーで稼働するゴミ回収装置
考案当時は⾼校⽣だった、オランダ⼈のBoyan Slatさんが考えた海洋ゴミ回収プロジェクト「The Ocean Cleanup(オーシャン・クリーンアップ)」は、太陽光などのクリーンなエネルギーを活⽤して、⼤量のゴミを回収・リサイクルできるシステムです。全⻑約600mの浮きをU字型に設置し、浮きの下部に設置された約3mのスクリーンで、⾵と潮の流れによって内側にプラスチックごみを集める仕組みです。その後、太陽光発電で回収装置を動かすようになっています。⿂などの海洋⽣物はスクリーンの下をすり抜けるため、⽣態系への悪影響がありません。
また、船と網を使った従来の回収⽅法に⽐べ、1/33のコストと7,900倍の速さでゴミを回収することが可能となっています。
⾼校⽣の夢が美しい海を取り戻す
Boyan Slatさんは16歳の頃、ギリシャの海を泳いでいると、⿂よりもプラスチックゴミが多いことにショックを受けました。海をキレイにすることを決意した彼は、2年後に「The Ocean Cleanup」という研究団体を設⽴し、海流を利⽤した回収システムのアイディアを「TED」で発表しました。彼の想いの込もったプレゼンテーションは世界中の人々の⼼を動かし、クラウドファンディングで約200万ドルもの資⾦調達に成功。プロジェクトは実行され、これまでに対⾺や北海、サンフランシスコなどでのテスト運⾏が実現しています。
ソーラーで夢をかなえる
その後、「The Ocean Cleanup Foundation」という財団を設⽴し、ハワイとカリフォルニアの間にある太平洋ゴミベルトにシステムを設置して、5年間で海洋ゴミを50%削減する計画が現在も進⾏中です。また、2020年からは世界規模での取り組みも決定しています。 「世界中の海洋ゴミすべてを回収する」。⼀⼈の⻘年が抱いた壮⼤な夢から始まったプロジェクトは、ソーラーエネルギーを活⽤した技術によって、着実に前進しています。