スタッドレスタイヤのゴムは、どのように進化してきたの?

スタッドレスタイヤのゴムは、どのように進化してきたの?

秋も深まり、コート等の冬物を準備され始めている方も多いかと思いますが、タイヤも”冬物”に交換をする方も多いのではないでしょうか。今回はタイヤの”冬物”、ブリヂストンのスタッドレスタイヤに用いられている「発泡ゴム」がどのように進化してきたのかについて、タイヤに詳しいおじさん、ブリヂストン技術スポークスパーソンの川本に、タイヤが接地するメカニズムから解説をしてもらいます。

ブリヂストンが追求し続ける「STUDLESS(スタッドレス)」タイヤの氷上性能

冬用タイヤであることを表すタイヤのサイドウォール部の表示
冬用タイヤであることを表すタイヤのサイドウォール部の表示

「冬用乗用車用タイヤの性能を担保するタイヤの表示は上の画像のような3つがありますが、当社は、「STUDLESS」表示のあるタイヤについては、雪上だけでなく、氷上での性能も担保、向上させるために発泡ゴム(ゴムの中に無数の気泡を含み、接地する部分の水を吸収することができるゴム)を進化させてきました。」

基本は、そのタイヤが使われる路面での「接地」

「メガ発泡ゴムやレボ発泡ゴム、ブリヂストンの最新の乗用車用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」に搭載されているアクティブ発泡ゴム2等、これまでに多くの発泡ゴムが開発されています。これは進化を続けてきた証なのですが、どのように進化してきたかと言うと、凍結路面すなわち氷上路面での「接地」を極めるために進化してきたということかと思います。どんなタイヤの開発でも、そのタイヤが使われる路面の「接地」を追求することが基本なのです。」

氷の路面でタイヤが転がるイメージ
氷の路面でタイヤが転がるイメージ

「では氷の路面ではどうか?というと、氷が解けて水の膜ができると、タイヤが路面と上手く接することができずに滑ってしまうんですね。なので、スタッドレスタイヤの発泡ゴムに期待する最も大事な機能は、氷の路面の上の水の膜を接地面から取り除く機能なんです。基本的に発泡ゴムは、氷の路面上の水を除去する機能を優先して進化しています。」

BLIZZAK(ブリザック)の商品と氷上路面での「接地」を追求した発泡ゴムの進化

BLIZZAK(ブリザック)の商品と氷上路面での「接地」を追求した発泡ゴムの進化

「こちらは、BLIZZAKの商品と共に進化した発泡ゴムの変遷を纏めたものです。タイヤの下の画像はミクロのスケールでそれぞれの発泡ゴムを見たものですが、進化するに連れて、水膜をより吸収して氷の上から除去するための気泡が大きくなっている事が分かると思います。」

「最初から気泡が大きければ、より氷の上の水膜を除去し易くなるのでは?と思うかもしれませんが、スタッドレスタイヤでも乾燥した路面を走行する事があるため、気泡を大きくし過ぎるとゴムの体積が減り、摩耗し易くなってしまうなどのデメリットがあります。その背反性能と両立するために、分子レベルから素材を開発し、新商品を開発してきた歴史があります。」

発泡ゴムの進化は、ミクロの画像でも捉えきれない分子スケールの世界へ

氷上路面に接地するスタッドレスタイヤ VRX2の局所的な接地イメージ
氷上路面に接地するスタッドレスタイヤ VRX2の局所的な接地イメージ

「例えば、VRX2に搭載されている発泡ゴムは、気泡の表面に水とくっつきやすい親水性の素材をコーティングすることによって、同じ気泡の体積でより多くの水を除去できる工夫がなされています。少ない気泡で効率良く水の膜を除去できれば、摩耗性能などの耐久性との両立がし易くなります。」

VRX2に搭載されているアクティブ発泡ゴム2の特長
VRX2に搭載されているアクティブ発泡ゴム2の特長

「さらに、VRX2に搭載されているアクティブ発泡ゴム2は、低温でもしなやかさを保つためのポリマーや、摩擦力向上剤と共にグリップ力向上に貢献するポリマーも当社独自のタイヤ・ゴムの知見とデジタルシミュレーションを駆使して配合されています。もちろんスタッドレスタイヤは発泡ゴムの進化だけではなく、タイヤの構造面の進化もあって性能を向上させてきていますが、その話も長くなるのでまたの機会にしましょう。」

素材を分子レベルから研究開発し、絶えず進化を続けるブリヂストンのゴムの進化。今後の進化にご期待ください。

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