「SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」とコンセプトタイヤ
モーターショーの花形といえばコンセプトモデル。今週開幕した東京モーターショーの会場にも自動車の未来を予感させる数多くのコンセプトモデルが展示されています。そんなコンセプトモデルたちの足元にもぜひ注目してみてください。そこにお馴染みの「B」マークを見つけることができるはずです。ブリヂストンは量産車用のタイヤだけでなく、モーターショーのコンセプトモデルタイヤのデザインも手がけており、今回の東京モーターショーでも多くのコンセプトモデルタイヤのデザインを担当しています。
写真右:当社 イノベーション本部 デザイン企画部 デザイン企画デザイン第1ユニット 藤田 俊吾
「コンセプトモデルのデザインを進めていくうえで、タイヤのデザインはとても重要な要素です。早い段階からブリヂストンのデザイナーとともにデザインを進め、時にはそのタイヤのデザインが車体全体のデザインに良い刺激を与えることもあります。タイヤデザイナーはすでに我々のコンセプトモデルを作るメンバーの一員になっていますし、時に他社の人であることを忘れてしまうこともあるくらい良い関係を築けています」と、語るのはSUBARUのコンセプトモデル「SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」を担当したデザイナーである河内敦さんです。
世界中から注目を集める存在になっている「SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」は、SUBARUの考える安心と愉しさを全身で表現したコンセプトモデル。サーキットだけでなく、ストリートでもオフロードでも、雨の路面でも雪の路面でも、あらゆるシーンで走る楽しさと喜びを感じさせる、いわば総合格闘技の選手のような存在としてデザインが進められたモデル。ブリヂストンはこのSUBARU渾身のコンセプトモデルのタイヤデザインを担当し、足元からそのコンセプトの具現化にチャレンジしました。
イノベーション本部デザイン企画部でこのタイヤデザインを担当した藤田俊吾は、「ありもしない形、イメージだけの形ではなく、機能商品であるタイヤらしく、性能が語れるデザインを作ってほしいという依頼がありました。SUBARUのクルマ作りを象徴するコンセプトモデルですから、我々のスポーツタイヤの設計思想に基づき、機能をより際立たせるデザインの実現にチャレンジしました。具体的に言うと、スポーツタイヤのデザインは、グリップを確保するために必要となるブロック剛性と優れた排水性を両立させるということが大前提です。そういった私たちが持っている最新の知見、ノウハウ、技術を基盤とし、そこにSUBARUのデザインフィロソフィー「DYNAMIC×SOLID」をタイヤからも表現する。このようなアプローチによってブリヂストンらしい、そしてSUBARUのコンセプトモデルにふさわしいデザインを生み出しました」と今回のデザインについて振り返ります。
「タイヤのデザインはグラフィックだけではないんですよ。我々はブリヂストンから多くのアイディアをもらい、そのデザインの意味、形状の理由やそれぞれの機能を聞いたうえで何が本当にふさわしいものなのかを判断させてもらっています。SUBARUのデザインも機能を重視するという考えが根底にありますから、お互いにコミュニケーションを重ねていくとさらにデザインは深化をしていくのです」と河内さんは言います。
双方の密接なコミュニケーションによりコンセプトモデルのデザインはさらに磨かれ、時にタイヤのデザインがコンセプトモデルのデザインにも影響を与えることもあるといいます。今回のコンセプトモデルタイヤでは細い溝から太い溝、そして力強く曲がっていくデザインを採用していますが、このデザイン表現がそのままホイールにも使われ、これまでにない新たな表現としてコンセプトモデルの足元を演出しています。
「SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」をはじめ、数多くのコンセプトモデルが顔を揃える東京モーターショー。会場ではぜひもう一歩クルマに近づきタイヤのデザインにも注目をしてみてください。ブリヂストンのデザイナーたちが描くタイヤの未来、そしてデザインへのこだわりをきっと感じとってもらえるはずです。