初のメダル獲得から4年、表彰台を独占した日本競泳チームの快進撃
番組シリーズ:The Olympic On The Records
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夏季オリンピックの人気競技のひとつ、競泳。陸上、体操、自転車競技などに加え、第1回のアテネ1896オリンピックから継続して行われている競技です。その歴史を遡ると、20世紀初頭の夏季オリンピック水泳競技においてはアメリカの独壇場。他国の追随を許さない無敵の強さを誇っていました。
今でこそ競泳も「お家芸」とされ、世界トップレベルの選手が揃う日本。オリンピックや世界大会の舞台では新記録を叩き出し、技術の面でも世界をリードする存在といえるでしょう。しかし、1920年頃までは日本全国でもプールが2つしかなかったとされ、アントワープ1920オリンピックまで競泳に出場したこともありませんでした。
ところが一転、アムステルダム1928オリンピックの男子200m平泳ぎで鶴田義行選手が優勝し、競泳種目として日本人初めての金メダルを獲得すると、瞬く間に競泳人気に火がつきました。
日本はさらなる高みを目指すべく、当時の王者・アメリカの泳法を研究します。従来、水中での体の回転をできるだけ少なくし安定した泳ぎ方がよいとされていましたが、日本競泳チームはさらに独自の研究を重ねます。1ストロークの長さを伸ばすために、肩をもっと回すこと。キックをより重要視すること――。自由形、平泳ぎ、背泳ぎと、何度も見直し、試し、細かな調整そして改善を繰り返します。
そして迎えたロサンゼルス1932オリンピック。東京の港から日本人選手団が出発する船を見送りに集まった観衆は約20万人。その数字から当時のメダルへの期待や興奮が伝わってきます。
最初の種目、男子100m自由形。結果は、宮崎康二選手が金メダル、河石達吾選手が銀メダルと見事ワン・ツーフィニッシュ。トップの座を逃したアメリカは、銅メダル。日本中が歓喜に湧いたのは言うまでもありません。男子200m自由形リレーでも質の高さを見せつけた日本は金メダル。4人の日本人選手がプールから出たのは、アメリカチームが泳ぎ終わる前だったと言われています。
快進撃を続ける日本の勢いは止まりません。男子100m背泳ぎで金、銀、銅すべてのメダルを独占。そして競泳の最終日には、アムステルダム1928オリンピックで金メダルを獲得した鶴田選手が、男子200m平泳ぎで金メダル、小池礼三選手が銀メダルを獲得。さらに男子1500m自由形でも金・銀のワン・ツーフィニッシュが続き、有終の美を飾ります。
日本がロサンゼルス1932オリンピックで獲得したメダルは、金5個、銀4個、銅2個。争ったアメリカは金2個、銀1個、銅2個。その結果が当時の日本競泳チームの圧倒的な強さを象徴するように、やがて他の国々も日本の水泳技術を学ぶようになっていきました。
4年後、ベルリン1936オリンピックでも金メダルを4個獲得し「水泳強国」の名を手にした日本。
昭和から平成、そして令和へ時代は移り、日本が競泳でオリンピックに初出場したアントワープ1920オリンピックから、ちょうど100年を迎える東京2020オリンピック。今まさに、日本競泳チームの選手たちが日々しのぎを削ってメダル獲得を目指し練習しています。
2019年3月からの休養を経て復帰したリオ2016オリンピック400m個人メドレー金メダリスト・萩野公介選手も金メダルが期待されます。表彰台を見据えて挑む現代の日本競泳チームから、再び目が離せません。
鶴田義行
鹿児島県鹿児島郡(現鹿児島市)出身。17歳で鹿児島の鉄道省に就職後、志願して海軍に入った際に才能を見出され、本格的に水泳を始める。水泳選手として、200m平泳ぎでアムステルダム1928オリンピックとロサンゼルス1932オリンピック2大会で優勝を果たし、日本人初のオリンピック連覇という偉業を成し遂げた。戦後、愛媛県水泳連盟の理事長などを歴任し、水泳の発展に寄与。子供たちを対象にした水泳教室を開く活動を続けた。
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