タイヤってゴム以外に何が入ってるの?
梅雨に入り、東京でも傘が手放せない日が続いています。筆者も先日折りたたみ傘を新調したのですが、近年ではゲリラ豪雨にも備えてか、機能性の高い傘やレインコートなどを多く見かけるようになりましたね。
こうした撥水・防水機能を持つアイテムにはナイロンがよく使われていますが、実はタイヤにも用いられていて、重要な役割があるんです。
ゴムの塊に見えるタイヤにナイロン?いったいどこに…?と思いますよね。
今回もタイヤに詳しいおじさん、ブリヂストン技術スポークスパーソンの川本に解説をしてもらいましょう。
外からは見えないナイロン
「タイヤの溝がある一番上のゴムの部分は見慣れていると思いますが、ナイロンは中に入っているので外からは見えません。なのでタイヤの切り身を用意しておきました。
タイヤの中にはゴムだけでなく、有機繊維やスチールなどのさまざまコード(糸)が張り巡らされています。タイヤの種類によって異なりますが、このタイヤでは赤い矢印の部分がナイロンでできています。
ちなみにこれは静粛性が売りのタイヤ「REGNO」の切り身。ナイロンが茶色く見えるのは表面に接着剤などをコーディングしているためです。
タイヤの中に敷き詰められている糸の役割は、タイヤに空気を入れた時にピンと張ってタイヤの形を保つことです。例えばサッカーボールに空気を入れるとパンパンに固くなるように、タイヤも空気を入れることで頑丈になるのですが、ゴムだけでなくナイロンなどの有機繊維やスチールのコードを入れることでより丈夫になります。
ナイロンは私たちが着ている服の材料としても使われていますが、強度が全然違います。
デニールという繊維の太さを表す単位がありますが、タイツなどに100デニール程度のナイロンの糸が使われているのに対して、タイヤでは1000-2000デニールの糸が使われています。まぁ、すごい太くて強いっちゅーことですな。
服を破る超人はたまにいますが、タイヤは常人の力ではまず破れることはないでしょう!
ちなみに、直径約4mある世界最大級のタイヤに使われているコードは、エレベーターや吊り橋のケーブルにも使われるほどの強度で、さらに桁違いです。
タイヤは丈夫で丸い形を保つのと同時に、変形してばねのように衝撃を吸収する機能も求められます。簡単に言えば強くてしなやかであることが必要で、ゴムとコード(糸)と空気を上手く使ってタイヤに必要な特性を生み出しているんですね。」
「タイヤはゴムでできている」と言われがちですが、こんなふうに見えないところで支えている材料たちもいるのです。
このブログではそんなモブキャラたちをこれからも紹介していきますので、お楽しみに!