音楽を奏でる道へ。カリフォルニア州ランカスター 「ザ・ミュージカル・ロード」

The Musical Road

タイヤ開発において音や振動の低減は大事なポイント。しかしその要因となる要素を逆手にとってドライバーを楽しませてくれるものに変えてしまった道が世界各国に存在します。 今回は世界的に知られる音楽を奏でる道を訪れてみました。

運転中、突然ロッシーニのウィリアムテル序曲が聞こえてきたら・・・思わず楽しくなってしまいますよね? アメリカ合衆国・カリフォルニア州ロサンゼルスにそんな特別な体験ができる道=ザ・ミュージカル・ロードがあります。 この道があるのはランカスターという街で、人気観光地のひとつであるエンジェルス国立森林公園の少し北、日本人にお馴染みのパサデナから約1時間でいける場所。 街の中心部から少しだけ北にいったアベニューGにあるその道は、自動車メーカーのテレビコマーシャル撮影のために2008年に作られました。

ミュージカル・ロードの溝

クルマは走行中、路面とタイヤが接触する際に音や振動を発生させています。その音や振動は快適なドライブを邪魔するものとして、タイヤ開発をする際は様々な技術を使いそれらを低減させていますが、 その音や振動が発生する原因を、ドライブを楽しませるための要素として使ってしまったのがこの道です。あえて音や振動がでるように舗装路面に深さ5mmほどの溝を刻み、その幅や距離で音程をコントロールし、楽曲にしてしまったのです。 正直なところ見た目はかなり地味で、決してインスタ映えするようなスポットではありませんが、ザ・ミュージカル・ロードはこの地をドライブする人々にとって必ず立ち寄りたいスポットとして人気を集めています。

ミュージカル・ロード

しかしながらその音は当然のこと車外にも聞こえるわけで、人気を集めれば集めるほど近隣の住民にとってはとても迷惑な道になってしまいます。 実際のところ、当初はもう少し住宅地に近いアベニューKにあったそうですが、話題になると同時にすぐに周辺住民から苦情がきたため、道路周辺に住居の少ない現在のアベニューGへと移設されたといいます。

実は音楽を奏でる道は、ここアメリカのランカスターのほかにも、オランダのシンギング・ハイウェイやデンマークのアスファルト・フォーン、韓国のシンギング・ロード、そして日本のメロディ・ロードと名称を変えながら世界各国に存在しています。 日本では北海道から沖縄まで16県にわたり30箇所以上存在しているといわれ、道とタイヤが作り出す楽曲も様々。そんな音楽を楽しめる道を探しながら世界各国のドライブを楽しんでみるのも面白そうですね。

あなたと、つぎの景色へ

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