さらなる音づくりのこだわりがうみ出した残響室とは?
東京・小平にあるブリヂストンの開発施設の中には、前回ご紹介したレコーディングスタジオのような無響室のほか、正反対の音響環境を持つ残響室という特別な部屋もあります。今回はこのコンクリートで四方を囲まれた残響室の内部もご案内していきましょう。
残響室は、一見するとコンクリート打ちっ放しのデザイナーズルームのような空間ですが、よく見るとすべての壁が斜めになっており、天井や壁の近くにはアクリル板による反射板が数多く取り付けられています。これらの構造は、音をより反射しやすくし、かつ複雑に部屋内に反響させるための工夫です。試験対象となる車両や吸音材などの試験体に、あらゆる方向からランダムに音を当てることにより、試験体の吸音・遮音性能を確認・向上するテストが可能になります。
無響室や残響室は、オーディオ機器や自動車の開発ではとてもメジャーな開発施設ですが、実はタイヤなどの分野でもその静粛性を向上させるためにとても重要な役割を果たしています。タイヤや車両用部材の開発に応用することで、より静かで快適な製品をみなさんにお届けできるのです。
そして最後にもうひとつ。タイヤの音づくりの最前線とも言える無響室・残響室があるこの建物には、ブリヂストンが開発する免震ゴムを採用し、建物自体の揺れや振動に対しても万全な対策をしています。また残響室の床下には同じくブリヂストンが開発する電車の空気ばね用のゴムも採用し余計な振動がデータに現れないようしっかり配慮。こんなところまで”ちゃんと”こだわっています。
この記事のシリーズの以前の記事:
・<前編>いま、タイヤ開発に欠かせないのは心地よい"音づくり"
・<中編>まるでレコーディングスタジオ?!タイヤ開発の最前線、無響室へ