ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初の素材“SUSYM(サシム)”

ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初の素材 “SUSYM®(サシム)”

ゴムと樹脂の特性を合わせ持つしなやかで丈夫なハイブリッド素材

「SUSYM」は、従来のゴムと樹脂の特長とそれらを掛け合わせることで生まれた新しい特長をもつ画期的な素材です。ブリヂストンでは、タイヤだけでなく様々な分野で「SUSYM」を活用していきたいと考えています。

タイヤはクルマのなかで唯一路面に接してクルマを支えている部品です。昨今、自動車産業は100年に1度の大変革期を迎えていると言われています。しかし、クルマが変わってもタイヤの最も重要な役割は「クルマをしっかりと支える」ことに変わりはありません。そして、しっかりとクルマを支えるための「伸縮性が高く、柔軟かつ強い衝撃を吸収し壊れない」というタイヤの特性を高次元でバランスさせるためにゴムは必要不可欠な素材です。
タイヤに使われるゴムは、植物由来の天然ゴムと、石油から人工的につくられる合成ゴムの2種類があります。天然ゴムは合成ゴムと比較して引張りや引裂きに対する強度に優れていますが、農作物であることから質・量ともに長期的な安定供給が難しいという課題があります。一方の合成ゴムには低燃費性や耐寒性に優れるという長所がありますが、強度では天然ゴムに及ばないため、技術が進歩した現代でも合成ゴムで天然ゴムを代替することはできません。

「天然ゴムを凌駕する次世代ゴムを開発することができたら」、「持続可能な社会へ貢献する画期的な素材ができたら」、このような想いから、ブリヂストンは長年にわたり天然ゴムを超える素材を化学的に創り出すことに挑戦してきました。そして、合成ゴムと樹脂という極めて一般的な原料を用いて、天然ゴムを超える革新的な素材「SUSYM」を開発しました。

SUSYMに込められたブリヂストンの独自技術

従来技術
新技術

多くの物質は、「原子」という小さな粒子が結びついた「分子」で構成されています。ゴムと樹脂はそれぞれ鎖のように分子がつながってできていて、従来ゴムの分子と樹脂の分子を分子レベルで結びつけること(イラストの赤と青のボールが混ざった鎖を作ること)は極めて困難とされてきました。しかし、ブリヂストンでは独自の触媒(化学反応を促進する物質)を用いることで、ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けることに成功しました。こうして生まれたのが、ゴムのしなやかさと樹脂の強靭さをあわせもつ新素材「SUSYM」です。

SUSYMの特長

  • ①強度が高い

    ① 強度が高い

    ゴムの伸びと樹脂の強さを併せ持つため、釘などを押し付けて局所的に力が加わっても壊れにくい

  • ②熱を加えると傷が塞がる

    ② 熱を加えると傷が塞がる

    傷があっても熱を加えると樹脂成分が溶けて傷が塞がる

  • ③低温に強い

    ③ 低温に強い

    通常のゴムが硬化して脆くなるような低温でも、しなやかなままで壊れにくい

SUSYMの展望

「SUSYM」の特長をブリヂストンの代表的な商品である「タイヤ」で表現してみました。この「SUSYMコンセプトタイヤ」は、「SUSYM」の特長とブリヂストンの考える近未来タイヤ像を表現する一例です。
普通のタイヤには、銀のホイール部分には壊れにくい硬くて頑丈な素材が、赤いトレッド部分には地面をしっかりと掴むために柔軟性のある素材が必要です。しかしながら、ゴムと樹脂の割合を変えることで柔らかくしなやかなゴムの特性を強めたり、硬くて丈夫な樹脂の特性を強めたりと、特性を自由にコントロールできる「SUSYM」を用いることで、単一の素材でタイヤを作ることが可能になります。

従来技術

この「SUSYMコンセプトタイヤ」は、硬くて頑丈な銀色の部分から柔らかくてしなやかな赤色の部分まで徐々に硬さとしなやかさを変化させた「SUSYM」でできています。日本の伝統工芸である竹細工をモチーフに、特性の異なるゴムと樹脂が「SUSYM」となりシームレスにつながっていることを表現しています。このように、「SUSYM」を使うことで、これまでにないデザインを生み出すこともできます。

「SUSYM」は硬さやしなやかさといった性質をコントロールできるだけでなく、棒状、シート状、粉末状など様々な形状に加工することもできます。ブリヂストンは、タイヤ以外にも様々な分野で新しい価値を創造していきたいと考えています。

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