低燃費性能と耐久性能を両立するしなやかで強い“ダブルネットワークゴム”

低燃費性能と耐久性能を両立するしなやかで強い“ダブルネットワークゴム”

次世代タイヤの省資源化と低燃費性能の向上に貢献

地球温暖化や資源枯渇は、環境面のみならず、自動車などの産業界における事業をサステナブルにしていくためのグローバルな課題となっており、自動車においても一段と省資源化や低燃費性能の向上が求められています。タイヤ業界においても省資源化および低燃費性能向上の取り組みが行われており、タイヤに使用される材料を減らしながら低燃費性能を向上させ、背反性能である耐久性を維持・向上させるための技術の進化が求められています。

「ダブルネットワークゴム」は、その技術を飛躍的に進化させるため、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の「超薄膜化・強靭化「しなやかなタフポリマー」の実現」(伊藤耕三プログラム・マネージャー)にブリヂストンが参画し、12の研究機関と連携して得られたオープンイノベーションの成果です。

ダブルネットワークゴムの仕組み

ダブルネットワーク構造は、柔らかくてしなやかな特性と、硬くてエネルギーを吸収する特性の両方を持たせることで、しなやかなで強靭なタフポリマーをつくることができる構造です。これまでにゲル材料などを強靭化できる効果が検証されていましたが、高度な加工技術と配合技術を要するため、ゴム材料に適用されたことはありませんでした。

ダブルネットワークゴムの仕組み

そこで本研究においては、特殊に分子設計したネットワーク成分と適切にプロセスコントロールされた配合技術を開発することで、汎用のゴムにダブルネットワークゴム構造を持たせることを可能にしました。

強度が向上するメカニズム

強度が向上するメカニズム

タイヤは使用を続けると、ごく限られた小さな領域でゴムに亀裂が生じ、それが積み重なって故障や摩耗につながります。新しく開発したダブルネットワーク構造のゴムでは、固く結合したネットワーク成分が亀裂の進展を食い止める役割を果たします。

低燃費性能と強度を両立可能なダブルネットワークゴム

低燃費性能と強度を両立可能なダブルネットワークゴム

独自に設計したネットワーク成分と高度な加工技術、配合技術により、ネットワーク部分以外は従来通りの低燃費性能を維持しながら、破壊が起こるような大きな入力では強固なネットワーク成分が作用することで汎用のゴムである天然ゴム対比約5倍の強度を持つゴムをつくることができます。

ダブルネットワークゴムによってつくられたコンセプトカー「ItoP」用のタイヤ

ダブルネットワークゴムによってつくられたコンセプトカー「ItoP」用のタイヤ

ブリヂストンは、このダブルネットワークゴムを用いて、軽量であり耐久性と低燃費性能に優れたコンセプトタイヤをつくりました。このコンセプトタイヤは、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の成果の一環として、参画した様々な企業・団体が5つの軽量かつ丈夫な材料でつくったミライのクルマ、コンセプトカー「ItoP」に装着され、車両全体軽量化に貢献しています。

ブリヂストンは、今後もオープンイノベーションを推進しながら様々な技術を融合させることで、将来にかけてモビリティ社会の実現に貢献していきます。

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