空気を不要にするブリヂストンの次世代タイヤ「AirFree®」
安心安全/サステナブルな技術で「地域社会のモビリティを支える」
ブリヂストンは、中期事業計画(2024-2026)で空気充填が要らない”次世代タイヤ”「AirFree」(エアフリー)を探索事業と位置付け、共創をベースに新たな社会価値・顧客価値の創造へ繋がるビジネスを推進しています。
タイヤには空気が必要
通常、タイヤには高圧の空気が充填されています。空気を入れたボールがよく弾むように、空気を充填することによって、タイヤは車の重さを支える、路面の衝撃を吸収するといった、バネのような働きができるようになります。そのため、パンクなどによりタイヤの空気圧が適切ではなくなると、車の走行に支障をきたすこともあります。
次世代タイヤ「AirFree」とは
「AirFree」は、空気充填が要らないブリヂストンの次世代タイヤです。
空気の代わりに側面の青色スポークで荷重を支えており、薄暮時の視認性を最大化することによる”安心安全”や、パンクなどの空気圧に起因する故障も発生しないことによる”移動を止めない”といった特徴があります。また、リトレッドやリサイクルなどを行うことで”サステナビリティ”にも貢献します。
安心安全:視認性向上を図る”Empowering Blue“を採用
日中から夕暮れ時まであらゆる明るさにおいて高い視認性を確保できる青色スポークを採用しており、安心安全に貢献します。当社では、この青色を「地域社会の安心安全な移動をエンパワーする(力を与える/支える)青」として、“Empowering Blue”と呼んでいます。
サステナビリティ:再生可能資源の採用とリトレッド対応
路面に接するゴムの部分をリトレッドできるだけでなく、独自開発した再生可能なスポーク部分の樹脂をリサイクルすることで、
資源の効率的な活用とサーキュラーエコノミーの実現に貢献します。
AirFreeの進化と歴史
「AirFree」は、2008年より「エアフリーコンセプト🄬」として技術開発を進めてきました。サステナビリティを中核に、ブリヂストンのコアコンピタンスである「ゴムを極める」樹脂素材技術や「接地を極める」技術を基盤に技術開発を進めることで進化。社会要求の変化/モビリティの進化を支え、提供する価値を増幅させてきました。
<第1世代(2008年~2012年)>
第1世代では、製品機能として空気無しで「安心安全に荷重を支えること」、「リサイクル可能であること」に挑戦しました。
その結果、通常タイヤで空気が担う、荷重を支える機能を硬く強固な素材・構造を組み合わせて開発されました。
<第2世代(2013年~2022年)>
第2世代では、モビリティが多様化するにつれて、「安心安全に荷重を支えること」「リサイクル可能であること」だけでなく、「乗り心地」といったタイヤ性能向上にも挑戦しました。
この挑戦では、デジタル技術の適用範囲の拡大やゴム空気入りタイヤ技術の知見を活用することで、硬く強固な素材とひずみを分散させる構造に進化し、様々な人とモノの移動へのニーズに対応しました。
<第3世代(2023年~)>
第3世代では、より高度なシミュレーション技術や、多様な使用環境を想定した構造設計により強くてしなやかな素材とひずみを制御し適切にひずませる構造へと進化させました。また、従来の製品機能に加えて「社会価値の提供」に挑戦しています。安心安全/サステナブルな技術で「地域社会のモビリティを支える」をミッションとし、社会実装に向けた公道実証を開始しました。
コンセプトから社会実装を見据えた「AirFree」へ
様々な挑戦を経て、2024年3月より東京都小平市近郊の公道での実証実験を開始しました。実際の使用環境により近い公道の様々な環境で特性や機能を検証し、今後の社会実装に向けた準備を進めています。また、この実証実験を機に名称もコンセプトから「AirFree」へと進化させています。将来的には、様々なパートナーとの共創で価値を広げ、高齢化・地方の過疎化・労働不足による移動の制限といった社会課題を解決することを目指します。また、AirFreeのパンクしない特徴を最大限に活かし、タイヤの重要性がより高くなる自動運転との組み合わせで、より高い安心安全の実現も目指しています。
ミッションの拡大-地域社会から宇宙へ-
またこの「AirFree」の技術は、月面探査車用のタイヤにも活用されています。世界の道を知り、地球のあらゆるモビリティの進化を支えてきたブリヂストンが宇宙の道を知り、スペースモビリティの進化を支えることで、人類の発展に貢献することを目指します。地球から宇宙・月面へ拡大し、将来的には月面という「極限」の環境で磨く技術を、地球上で使うタイヤにも還元し、価値創造へ繋げていきます。
ご参考:ブリヂストンの月面探査車用タイヤ