不可能を可能に、「飛んで止まる」ゴルフボール開発秘話
トップアスリートたちの活躍の裏には、彼らが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、日夜地道に研究開発を続ける技術開発者たちの尽力があります。
今回は、ゴルフプロの渡邉彩香選手を支えるブリヂストンの技術をご紹介します。
渡邉彩香選手の活躍をサポート。
最新のゴルフボールの秘密とは?
プロゴルファーとして9年目のシーズンとなる2020年、さらなる飛躍を目指すのが、チームブリヂストンの渡邉彩香選手です。その原動力のひとつとして彼女のプレーを支えているのが、新開発のゴルフボールです。
ゴルフでは、すべてのショットで同じボールを使います。そのため、ひとつのボールに対して、豪快なドライバーショットでは「飛ぶ」、緻密なコントロールが必要なアプローチショットでは「止まる」という、相反する2つの性能が求められ続けてきました。
この矛盾に挑み、最高のボールを追い求めて研究を重ねてきたのが、ブリヂストンです。そして、内側から外側に向かって「コア」「中間層」「カバー」の3層構造を採用し、相反する性能を共に向上させたボールの開発に成功したのです。
卓越した技術とアイデアで"飛んで止まる"を両立。
ゴルフボールを遠くに飛ばすために初速を出す役割を担っているのがコアの部分です。ここに採用したのが、特許技術の「ハイドロコア」。製造過程で水を添加し、コアの中心をより軟らかく、表面を硬くすることで、ドライバーなど大きなクラブで打った時の低スピン、高初速を両立。飛距離を伸ばすことに成功しました。
一方、ボールを止める性能については、新たに「リアクティブ・ウレタンカバー」を開発。ウレタン材料と衝撃吸収材をナノレベルで融合する技術によって、アプローチの初速だけを抑えることに成功しました。
「リアクティブ・ウレタンカバー」だけでは、ボールとしての反発弾性が下がってしまう、つまり、飛距離が伸びなくなってしまいますが、そこをハイドロコアの技術で補うことで、飛んで止まるという相反する2つの性能を同時に達成できたのです。
選手のフィーリングも盛り込んだ、理想のゴルフボールが誕生。
理想のゴルフボールにさらに近づけていくために行なっているのが、打撃時のインパクトや弾道などの数値的な解析です。加えて、選手それぞれのフィーリングも重要な要素のひとつとして、意見を集約しています。ドライバーショットの打感や、小さいショットの際にボールがクラブフェースにくっついている時間、ボールを運んでいる感触など、選手が理想とする要求特性を明確にしながら、できる限りそれに合わせていくのです。
4日間で1打を争う厳しい世界で戦っているプロゴルフの選手たち。ブリヂストンでは、理想のゴルフボールの開発を通して1打でもスコアに貢献すべく、さらなる改良に取り組んでいます。
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