まるでレコーディングスタジオ?!タイヤ開発の最前線、無響室へ

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今回はドライブが楽しくなるサウンド作りを行なっているスタジオにご案内します。といってもここで作られているサウンドはロックやジャズではなく、タイヤのサウンドです。東京・小平にあるブリヂストンのタイヤ開発施設内にある無響室は、壁、天井、床と部屋全体を特殊な吸音材で覆い、音を吸収して反響を防ぐという特別な空間。ここでタイヤの音づくりが行われているのです。

ブリヂストンの無響室

走行中、タイヤはハガキ一枚ほどしか路面に接していませんが、実はタイヤが路面に接する際には様々な音が発生しています。しかもその音は、速度や路面状況などで常に変化しているのです。走行時の静粛性・快適性を向上させるため、さらに、不快な音によるストレス低減のため、タイヤ開発における音づくりは大事な要素になっており、この無響室は欠かすことができない研究施設なのです。

ブリヂストンには二つの無響室があります。そのひとつはタイヤを転がして音を計測するもの。こちらの部屋では、路面とタイヤが接した際に発生するパタンノイズや材質・形状・構造の違いよって変化する音を走行状態に近い環境で再現し、100本以上のマイクを用いて計測し、目で見ることができない音の変化をデータによって可視化しています。

関連動画:無響室での試験の様子:4分13秒から

もうひとつの部屋には路面を想定した平らな台に静止したタイヤを押し付け、その溝に空気を当てながら音を計測するという機械が置かれています。タイヤの溝は水を掻き出すというとても大事な役割がありますが、乾いた路面ではこの溝の中でノイズの原因となる気柱管共鳴という現象が発生します。こちらではそのような溝のなかで生まれる音を計測し、車速や車重、乗車人数による接地面積の変動を再現しながら様々なデータ収集を行なっています。

この無響室での研究開発によってタイヤの音色はより心地良いものへと進化をしてきました。ブリヂストンのフラッグシップタイヤとして1981年に登場したレグノは世代交代ごとにその静粛性能を向上させる様々な先進技術を取り入れてきました。その多くの技術はまさにこの場所から誕生したものなのです。

⇒続きはこちから:<後編>さらなる音づくりのこだわりがうみ出した残響室とは?
⇒前の記事はこちらから:<前篇>いま、タイヤ開発に欠かせないのは心地よい"音づくり"