2025.04.09
【メタディスクリプション】
ピースピッキングの効率化を実現するピッキングシステムの種類と特徴、導入メリットを詳しく解説。物流倉庫や製造現場における作業効率向上や省人化にも貢献するピッキングシステムの選び方のポイントも紹介します。
ピッキングシステムとは、煩雑なピッキング作業の効率化を支援し、作業者の負担や人的ミスを軽減するシステムです。物流倉庫や製造現場でのピースピッキングを支援するピッキングシステムの種類や特徴、導入メリット、選び方のポイントについて詳しく解説しています。
ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズでは、ロボットによるピッキングシステムにおいて、ピースピッキングの役割を担えるロボットハンド「TETOTE」を開発しました。ヒトの手のような器用さと柔軟性を持ち、多様な形状や重さの物品を扱えるため、ピースピッキングの自動化に貢献します。
ピースピッキングでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ピースピッキングとピッキングシステムについて解説します。
ピースピッキングとは、工場や物流倉庫にて指定された最小単位(ピース)の部品や製品を集める(ピッキング)手法で、バラピッキングとも呼ばれています。
ピースピッキングでは多種多様な品物を個々の単位で取り扱うため、ケースやパレット単位のピッキングと比較すると、多大な時間と労力がかかります。また、品物の形状や重さも様々であるため、これまで自動化は難しいとされてきました。しかし、近年ではロボットによる自動化も進んできています。
ピースピッキングについては以下で詳しく解説しています。
ピースピッキングとは?ヒトとロボットによる違いや必要設備を解説
ピッキングシステムとは、煩雑なピッキング作業の効率化を支援し、作業者の負担や人的ミスを軽減するシステムです。
物流業界におけるEC需要の拡大や製造業における少量多品種生産のニーズ拡大に伴い、従来人間が担ってきたピースピッキング作業は煩雑化しています。ピッキングシステムを導入することで、作業効率の低下や作業者の負担過多によるヒューマンエラーを防ぎ、ピッキングの効率化と精度の向上を図ることができます。
ほとんどのピッキングシステムは作業者によるピッキング作業を支援することを前提に設計されていますが、近年はロボットによるピッキング作業の完全自動化を実現するシステムもあります。
ピースピッキング作業の効率化に貢献する、ピッキングシステムの種類や特徴について解説します。
デジタルピッキングシステムはDPS(Digital Picking System)とも呼ばれています。
DPSの流れは以下の通りです。
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DPSには以下のようなメリットがあります。
・ピッキングする品物の位置が簡単に視認できるようになるため、作業効率の向上が期待できる
・作業者の熟練度合いに依存しないため、初心者でも簡単にピッキングをこなせる
・手元のピッキングリストが不要となるため、リストの見間違いによるミスの軽減やスピーディーなピッキング作業を実現
デジタルアソートシステムはDAS(Digital Assort System )とも呼ばれています。
DASの仕組みはDPSとほぼ同じですが作業方式が異なり、DPSが指定された棚から商品を取り出す「摘み取り方式」であることに対し、DASでは指定された場所に商品を投入する「種まき方式」の仕分け作業(アソート)となっています。
DASの流れは以下の通りです。
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作業者はデジタル表示器の色で仕分け先を判別するため、ハンズフリーで作業できるうえに、仕分けミスの軽減も期待できます。
ハンディターミナルとは、物流センターや倉庫、小売業などで商品の在庫や配送管理に用いられる携帯端末で、バーコードやQRコードで情報の読み取りや入力ができるものです。
製品や部品ごとの保管場所を登録した倉庫管理システムと連携させておけば、ハンディターミナルでピッキングリストのバーコードを読み取るだけで、作業者はピッキングする品物とその位置を把握できるようになります。
ハンディターミナルピッキングシステムのメリットは以下の通りです。
・作業者の経験や記憶に依存せず、精度の高いピッキング作業を迅速に行える
・ピッキング時に品物側のバーコードを読み込むことで、同時に検品を行うことも可能
・プリンターと接続すれば出荷ラベルを発行することもできるため、ピッキングから出荷までの流れを大幅に効率化できる
スマートフォン・タブレットピッキングシステムとは、ハンディターミナルの代わりにスマートフォンやタブレットを用いてピッキング作業を効率化させるシステムです。
スマートフォンやタブレットは多くの人にとってハンディターミナルよりも扱い慣れた機器なので、作業者への教育や導入コストといったハードルを下げられるメリットがあります。
音声ピッキングシステムでは、ヘッドセットを着用した作業者が、コンピュータの音声認識システムとの受け答えを通じて、ピッキング作業を進めていきます。
音声ピッキングシステムのメリットは以下の通りです。
・音声でのやり取りがメインとなるため、ハンディターミナルなどの端末を携帯する必要がない
・作業者の両手が空くことで、より丁寧で効率的なピッキング作業が可能
・端末やデジタル表示器などを度々確認する手間もないため、よりスピーディーに作業をこなせる
・冷凍倉庫のようにハンディターミナルが使用できない環境でも使用可能
ただし、音声認識システムの精度により、異なるアクセントや方言を正しく認識できなかったり、母国語が異なる作業者だと指示をうまく理解できなかったりするため、他のシステムよりも正確性で劣る場合もあります。
プロジェクターにより棚やラック、床や壁面に、文字や画像、QRコードを投影することで、作業者にピッキング指示を出すシステムです。
デジタル表示器の設置が困難な棚や工場の組み立てラインなどでも導入しやすいメリットがあります。
ロボットによるピッキングシステムは以下の2種類に大別されます。
GTP(Goods to Person) |
人とロボットが協働してピースピッキングを行う |
GTR(Goods to Robot) |
ロボット同士が協力してピースピッキングを行う |
それぞれの特徴について解説します。
GTP(Goods to Person)は、ピッキングを行う作業者のもとに、ロボットが製品や部品を運んでくれるシステムです。製品や部品ごとに仕分けられた箱や棚ごと搬送ロボットが品物を運搬してくれるため、作業者は定位置に留まりながら、必要な製品を必要な数だけ取り出します。
作業者の移動の手間を最小限に抑えることで作業効率を向上するのがGTPの特徴です。また、保管スペースに作業者用の通路を確保する必要がないため、保管スペースを効率的に活用することができます。
GTPに用いられる搬送ロボットについては、以下で詳しく紹介しています。
GTR(Goods to Robot)では、搬送ロボットは部品や製品が雑多に収納されたパレットを、ピースピッキングロボットのもとへ運びます。ピースピッキングロボットは3Dカメラで必要なワークの奥行きや色、形状を捉え、ロボットハンドで正確に把持し、ピッキング作業を行います。
GTRではロボット同士が協力して作業を行うため、作業者の負担を大幅に減らすことができます。また、自動化により作業精度も上がるため、生産効率の大幅な向上が期待できる点もメリットです。さらに、省人化による人件費の削減や人手不足の解消にも貢献するでしょう。
GTRで導入されるピースピッキングロボットには、ワークの形状や硬さなどにかかわらず、あらゆるものを把持できる高い柔軟性が求められます。
ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズの開発したロボットハンド「TETOTE」は、ヒトの手のような器用さと柔軟性を持ち、多様な形状や重さの物品を扱えるため、ピースピッキングの自動化に貢献します。
ピースピッキングロボットについては以下で詳しく解説しています。
ピースピッキングロボットとは?メリットやロボットの構成を解説
ピースピッキング作業にピッキングシステムを導入するメリットについて紹介します。
ピッキングシステムの導入により、作業効率の向上が見込めます。
作業者は従来の紙のピッキングリストを持ち歩く必要がなく、両手が空くため一度に持てる品物の量を増やせるようになります。また、都度立ち止まって手元のリストを確認する手間も削減でき、次の行動へと迅速に移れるようになります。
ほかにも、デジタル表示器や音声、投影された画像などが指示を与えてくれるため、商品探しで手間取ることもないでしょう。
ピースピッキングでは個数の数え間違いなどが起こりやすいため、ピッキングシステムによる精度の向上は大きなメリット です。
自分の記憶や手書きのリストに頼ってピッキングを行うと、ピッキング精度にばらつきがでやすくなります。ピッキングシステムの導入により、作業者はシステムの簡単な指示に従うだけでミスを大幅に減らすことができます。
また、作業者のスキルに依存しないため初心者でも精度の高いピッキングが可能で、作業品質を一定に保つ効果も期待できるでしょう。
ピッキングシステムの導入はピッキング作業の省人化にも貢献します。
例えば、ピッキングシステムにより作業者一人当たりの作業効率が大幅に向上するため、人件費を削減できる可能性があります。また、人手不足の解消にもつながり、作業者の業務負担を軽減できます。
ほかにも、作業者の熟練度合いに依存しないため、教育にかけるコストも抑えられるでしょう。
デジタル端末によりピッキング作業を行うため、従来の紙の伝票やピッキングリストといったものが不要になります。そのため、印刷コストや紙の保管スペースなどの削減につながります。
ピッキングシステムを選ぶうえでのポイントは4つあります。それぞれ特徴を比較したうえで自社にあったものを選びましょう。
ピースピッキングを行う方法には「摘み取り方式(オーダーピッキング)」と「種まき方式(トータルピッキング)」の2種類があります。
摘み取り方式は、スーパーでの買い物のように、部品や製品が種類別に収納された棚の前を作業者がカートや台車を押しながら往復し、オーダーごとに必要なものをピッキングします。
一方、種まき方式は、郵便配達のように、手元にある製品や部品を、出荷先や運搬先の決められた場所に持っていき配り歩く方式です。
自社のピッキングがどちらの方式に該当するか見極めた上で、適切なピッキングシステムを選ぶようにしましょう。
ピッキングシステムで使用するデジタル表示器には、無線式と有線式があります。各方式のメリット・デメリットは以下の通りです。
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メリット |
デメリット |
無線式 |
・配線作業が不要 ・設置の自由度が高い |
・充電の手間や電池交換が必要 |
有線式 |
・充電不要 |
・導入時やロケーション変更時に配線作業が必要 |
無線式・有線式それぞれの利点・欠点をよく検討したうえで最適なものを選びましょう。
ピッキングシステムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。各特徴は以下の通りです。
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クラウド型 |
オンプレミス型 |
特徴 |
サービス提供事業者が構築したシステムをインターネット経由で利用 |
システム構築に必要なサーバーを自社で保有 |
自社サーバー |
不要 |
必要 |
初期費用 |
リーズナブル |
高額 |
運用開始までの時間 |
とても早い |
時間がかかる |
利用コスト |
継続的なサービス利用料が発生 |
機器の電気代や保守管理費が発生 |
カスタマイズ |
サービス提供範囲内でのみ可能 |
無制限に可能 |
既存システムとの連携 |
連携できない場合もある |
連携しやすい |
保守管理 |
サービス提供事業者が対応 |
自社で対応 |
セキュリティ |
サービス提供事業者による |
非常に高い |
なるべく低コストでスピーディーに導入したい場合はクラウド型を、自社での管理や高い拡張性、高度なセキュリティを求める場合はオンプレミス型を選ぶと良いでしょう。
求める省人化の度合いに応じて、適切なピッキングシステムを選ぶのもおすすめです。
ピッキングシステム |
省人化の度合い |
特徴 |
DPS |
中程度 |
・効率化やミス削減に特化 ・作業者がメインでピッキングを行う |
DAS |
||
ハンディターミナルピッキングシステム |
低〜中程度 |
作業者の負担は軽減するが、省人化は限定的 |
スマートフォン・タブレットピッキングシステム |
||
音声ピッキングシステム |
中程度 |
ハンズフリーで作業効率が向上するが、作業者が主役 |
プロジェクションマッピングを活用したピッキングシステム |
中程度 |
正確性は向上するが、省人化は中程度 |
GTP |
高程度 |
作業者の移動を最小限に抑え、効率を大幅に向上 |
GTR |
非常に高度 |
ピッキング作業をロボットに全面的に任せることで、ほぼ自動化が実現 |
ほとんどのピッキングシステムでは、ピッキング作業の効率化やミスの削減により、一人当たりの業務キャパシティを広げることで省人化を図ります。一方、GTPやGTRでは、人に代わりロボットを投入することで、文字通りの省人化を実現できます。
煩雑なピースピッキングをほぼ自動化したいのであれば、GTRタイプのピッキングシステム導入を検討しましょう。
ピッキングシステムは、物流倉庫や製造現場での煩雑なピースピッキング作業の効率化を支援するシステムです。導入により、作業効率やピッキング精度の向上、人件費の削減、ペーパーレス化の推進といったメリットが期待できます。
ピッキングシステムには、さまざまな種類がありますが、近年の自動化の流れの中でロボットによるピッキングシステムが注目されています。
ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズでは、ロボットによるピッキングシステムにおいて、ピースピッキングの役割を担えるロボットハンド「TETOTE」を開発しました。ヒトの手のような器用さと柔軟性を持ち、多様な形状や重さの物品を扱えるため、ピースピッキングの自動化に貢献します。
ロボットによる、効率的で柔軟性の高いピッキングシステムの導入についてお悩みでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。