2025.04.09

ロボットハンド・アームの種類別価格や、導入コストの仕組み

ロボットハンドの導入にあたっては、ロボット本体や周辺機器、さらにはSIerへの依頼など、さまざまな要素を含めた価格を把握する必要があります。本記事では、ロボットハンドとアームの種類別価格、選定基準や導入の流れについて詳しく解説します。また、利用可能な補助金の情報や導入コストの仕組み、さらに主要メーカーについても紹介します。

ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズでは強さと柔らかさを兼ね備えたゴム人工筋肉「ラバーアクチュエーター」によって、ヒト

の手のように多様なものを器用に掴むソフトロボットハンド「TETOTE」を開発しました。

「柔らかなモノをそっとつかむ」「複数のモノを持つ」「多種多様なモノをつかむ」を可能にしたことで、「つかめない」が原因で進まなかったピースピッキングの自動化を実現します。

ピースピッキングでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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1.ロボットハンドの種類別の価格帯 

ロボットハンドとは、ロボットアームの先端に取り付け、物を掴む、持ち上げる、移動させるなどの作業を行う重要な部品です。以下では、代表的なロボットハンドの種類とその特徴、価格帯を紹介します。

ロボットハンドの種類

特徴

価格

 把持型ロボットハンド(空気圧型ロボットハンド)

食品や薬品業界での利用に適している

40万円前後

把持型ロボットハンド(電動型ロボットハンド)

精密な動作が要求される電子部品の組み立てなどに向いている

27万〜32万円程度

吸着型ロボットハンド(真空型ロボットハンド)

ガラスやプラスチックなど壊れやすい素材に適用可能

33万〜37万円程度

吸着型ロボットハンド(磁力型ロボットハンド)

重い金属製品を安全かつ迅速に処理する場面で使用される

35万〜40万円程度

特化型ロボットハンド

自動車産業や重工業での特殊な作業に多く使用される

30万〜35万円程度

ラバーアクチュエーター型ロボットハンド

物流や製造業におけるピースピッキングから、食品や医療業界での使用にも向いている

お試しプラン:30万/月〜180万円/年

本格導入プラン:

 レンタル継続:120万円/年

 買い取り:270万円

(1)把持型ロボットハンド

把持型ロボットハンドは指や爪で物体を掴む機能を持ち、空気圧や電動方式で動作します。特に空気圧型ロボットハンドは、高い把持力と柔軟な操作が可能で、食品や薬品のような壊れやすい物も安全に取り扱えます。電動型ロボットハンドはより精密な動作が特徴で、繊細な操作が求められる場面で活躍します。

 

空気圧型ロボットハンドの平均価格は40万円前後、電動型ロボットハンドは27万〜32万円と幅があります。

 

(2)吸着型ロボットハンド

吸着型ロボットハンドは、真空による吸引か磁力を使って物体を持ち上げるタイプで分類されます。真空型ロボットハンドは非接触でワークを保持するため、表面にダメージを与えることなく扱えます。一方で、磁力型ロボットハンドは金属製の物体を強力に保持するため、重い部品や危険な物の取り扱いに向いています。

 

真空型ロボットハンドは33万〜37万円程度、磁気型ロボットハンドは35万〜40万円程度が平均的な価格です。

 

(3)特化型ロボットハンド

特化型ロボットハンドとは、特定の作業や用途に合わせてカスタマイズされたハンドで、組み立てや溶接、塗装など専門的な作業に最適化されています。通常のロボットハンドよりも精密な設計が求められ、対応する作業効率を大幅に向上させることができます。

 

特化型ロボットハンドの価格は一般的に30万〜35万円程度です。

 

(4)ラバーアクチュエーター型ロボットハンド 

ラバーアクチュエーター型ロボットハンドとは、ゴム人工筋肉により、ヒトの手のような柔軟性と器用さを兼ね備えたロボットハンドです。ワークの形状や重さ、硬さにかかわらず、あらゆるものを自在に掴める特徴があります。

 

ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズの開発したラバーアクチュエーター型ロボットハンド「TETOTE」には、30万/月〜180万円/年で利用できるお試しプランがあります。また、本格導入する場合、レンタル継続であれば120万円/年です。一方、買取希望の場合は270万円ですが、お試しプラン分の料金分が減額されるため、比較的リーズナブルな価格での購入も可能です。

 

詳細なプランと価格については以下のページでご確認いただけます。

「TETOTE」ご利用プラン

3.ロボットハンド・アーム本体のほかに必要なものと費用 

ロボットハンドやアーム本体を導入する場合、関連装置や周辺機器も併せて必要となります。また、実際の導入や設計、組立にはSIer(システムインテグレータ)への依頼も欠かせません。これらにかかる費用も確認しましょう。

(1)ロボット関連装置の価格帯

ロボット関連装置は、主にロボット本体の設置や特定の動作を可能にするための装置です。

例えば、ロボットを安定して設置するための架台や、目的に応じた作業を行うためのロボットハンド、さらには画像認識用のセンサー類などが含まれます。また、ロボットの移動を可能にする走行装置や、天井から吊るして使用するパラレルリンクロボット用の天吊走行装置なども、この分類に入ります。

 

これらの関連装置の導入には、概ね100万円以上の費用が必要となります。

 

(2)ロボット周辺機器の価格帯

ロボット周辺機器とは、法令で定められた安全設備や、自動化を実現するために必要な設備を指します。

具体的には、ワークの自動運搬を行うベルトコンベアや、複数機械の効率的な制御を行うPLC(プログラマブルロジックコントローラ)、製品保管用のワークストッカーなどが挙げられます。特に重要なのが安全関連の設備で、安全柵やエリアセンサー、安全プラグなどが含まれます。

 

これらの周辺機器の導入にも、少なくとも100万円程度の費用が見込まれます。

 

(3)ロボットSIerへの依頼費用

ロボットSIerは、ロボットシステムの導入から稼働までを一貫してサポートする専門家です。

SIerの業務には、コンサルティングから設計、周辺機器の手配、システムの組み立て、さらには安全講習まで幅広い内容が含まれます。そのため、依頼費用の相場は500万円以上になります。

 

ロボットシステムの一般的な導入費用は約1,000万円程度とされているため、SIerへ依頼しなければ約半分の費用で済むとも考えられますが、専門知識を持たない企業が自力でロボットシステムを導入することは非常に困難です。

 

特に、初めてロボットハンドを導入するのであれば、SIerやメーカーなど専門家への依頼は必須といえるでしょう。

 

 

4.ロボットハンドの導入コストの内訳と補助金

ロボットハンドの導入コストの内訳と、補助金について紹介します。

 

(1)ロボットハンドの導入コストの内訳

ロボットハンドの導入は、一般的に1,000万円程度は見積もっておく必要があります。

(2)ロボットハンド導入で利用できる可能性の高い補助金 

中小企業省力化投資補助金とは、人手不足の中小企業に対し、ロボットやIoT技術の導入を支援する制度です。補助対象としてカタログに登録された製品を導入することで、従業員数に応じた補助金を受けることができます。

 

補助上限額は以下の通りです。

 

補助上限額

従業員数5名以下

200万円

従業員数6〜20名

500万円

従業員数21名以上

1,000万円

補助率

1/2以下

 

詳しくは、中小企業省力化投資補助金(https://shoryokuka.smrj.go.jp/)のページでご確認ください。

 

5.ロボットハンド導入に関する相談先 

ロボットハンドの導入を検討する際、適切な相談先を選ぶことが重要です。主に以下の2つの選択肢があります。

(1)メーカーに相談する

ロボットハンドの導入実績がある場合や、特定のロボットハンドの導入を既に決めている場合は、直接メーカーに相談するのが効果的です。メーカーへの相談には以下のメリットがあります。

 

・製品に関する詳細な技術情報を得られる

・導入からメンテナンスまで一貫したサポートを受けられる可能性がある

・最新の製品情報や技術動向を直接入手できる

 

特に、ロボットハンドの設置から初期設定、さらにはアフターサポートまでを一括して請け負うメーカーであれば、スムーズな導入プロセスが期待できるでしょう。

 

(2)ロボットSIerに相談する

ロボットハンドの導入が初めての企業や、複雑なシステム統合が必要な場合には、ロボットSIerへの相談がおすすめです。企業の具体的なニーズや課題を理解した上で、最適なソリューションを提案してくれます。ロボットSIerを活用するメリットは以下の通りです。

 

・幅広い製品知識に基づいた中立的なアドバイスが得られる

・予算や導入目的に合わせた最適なロボットハンドを提案してくれる

・導入後の運用やメンテナンスまで含めた総合的なプランニングが可能

 

 

導入の目的や実績に応じてメーカーとロボットSIerのどちらに相談するか選択しましょう。場合によっては、両方の知見を活用することで、より効果的な導入を実現できる可能性もあります。

 

6.ロボットハンドの選定基準と導入の流れ

ロボットハンドの選定基準と導入の流れについて解説します。

(1)ロボットハンドの選定基準 

ロボットハンドの選定基準は以下の通りです。

①基本性能

基本性能は、ロボットハンドがワークを適切に扱えるかどうかを決定する重要な要素です。以下の点を考慮する必要があります。

把持力・吸着力

取り扱うワークの重量や形状に適した力を持つか

対応可能なワークのサイズと形状

多様なワークに対応できるか

開閉速度・搬送速度

作業のスピードに適しているか

耐久性

長期間の使用に耐えられるか

 

②制御性能

制御性能は、ロボットハンドの精度と柔軟性に関わる重要な要素です。

以下の点をチェックしましょう。

位置決め精度

ワークを正確に把持・配置できるか

力制御

繊細なワークを扱う際に力加減を調整できるか

プログラミングの容易さ

作業内容の変更や調整が簡単にできるか

センサー統合

視覚センサーなどと連携して高度な作業ができるか

 

③メンテナンス性

長期的な運用を考慮すると、メンテナンス性も考慮しておきたいポイントとなります。

以下の点を踏まえて検討しましょう。

部品交換の容易さ

消耗部品の交換が簡単にできるか

クリーニングの容易さ

定期的な清掃が容易に行えるか

故障診断機能

問題の早期発見と対応が可能か

メーカーのサポート体制

迅速な技術サポートが受けられるか

 

④設置環境

ロボットハンドが使用される環境も踏まえて選ぶと、長期的に安定した稼働が見込めるため安心できます。

温度・湿度耐性

使用環境の温度や湿度に適しているか

防塵・防水性能

粉塵や水滴のある環境でも使用できるか

耐薬品性

化学物質を扱う環境でも劣化しないか

作業スペースの制約

設置場所のスペースに適合するか

 

(2)ロボットハンド導入の流れ 

ロボットハンドの導入は、企業とメーカーもしくはSIer(システムインテグレーター)が密接に連携して進めていきます。主な流れは以下の通りです。

①事前検討

まず、事前検討として自動化に関する具体的なニーズを明確化します。次に、予算規模を考慮しながら概算見積もりを立て、投資回収の目安を検討します。

 

②企画構想

企画構想の段階では、現状の作業工程における課題を抽出し、その原因を詳細に分析します。整理した課題に対する解決手段を検討し、ロボットシステム全体の構想を練りましょう。また、システム構築に向けた具体的な実施計画を作成します。

 

③仕様定義

仕様定義では実施計画に基づき、達成手段や実現方法を要求仕様として明確に定義します。システム全体の処理の流れを決定し、信頼性・利用性・保守性・復旧性の観点から綿密に精査します。

 

④設計

設計段階では、ロボットシステムの具体的な方式や詳細設計を行い、運用と能力の妥当性を検証します。また、リスクアセスメントを実施し、安全性確保に関する方針を策定します。

 

⑤製造・納入前テスト

製造・納入前テストでは、設計に基づいてロボットシステムの製造やプログラミングが行われます。実際の稼働環境への据付けや調整が行われた後、内部テストを経て総合的な確認が実施されます。

 

⑥保守・点検

ロボットシステムが稼働した後も定期的な保守・点検が行われ、不具合があれば迅速に修正されます。また、ロボットシステムに障害が発生した際には、速やかな復旧支援が行われます。

 

まとめ

本記事では、ロボットハンドの種類別価格、主要メーカー、導入コストの仕組みについて詳細に解説しました。

 

ロボットハンドの価格は種類や性能によって大きく異なり、数十万円から数百万円まで幅広い範囲に及びます。また、導入コストには、ハンド本体の他にも周辺機器、システム統合、保守費用などが含まれるため、1台あたり1,000万円程度の予算を目安としておくと良いでしょう。

また、ロボットハンドの導入を検討する際は、単純な価格比較だけでなく、基本性能やメンテナンス性、設置環境などを考慮することも重要です。適切な選択と導入プロセスを経ることで、生産性の向上や作業環境の改善など、多くのメリットを享受することができるでしょう。

 

ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズでは強さと柔らかさを兼ね備えたゴム人工筋肉「ラバーアクチュエーター」によって、ヒトの手のように多様なものを器用に掴むソフトロボットハンド「TETOTE」を開発しました。

「柔らかなモノをそっとつかむ」「複数のモノを持つ」「多種多様なモノをつかむ」を可能にしたことで、「つかめない」が原因で進まなかったピースピッキングの自動化を実現します。

 

ピースピッキングでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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