2023.03.22

"自動倉庫 × ピースピッキング知能ロボット" 組み合わせによるイノベーション

 人々の生活を支える物流。しかし、物流業界では、「人手不足」、「人件費高騰」など深刻な課題が既に顕在化しており、これからの物流を支える自動化ソリューションが強く求められています。

 そのような中、各社新たな自動化ソリューションの開発・導入の取り組みを加速。多様な作業の連携によって成り立っている物流倉庫では、一部既に自動化されている部分もありますが、全体的に自動化されている倉庫は僅少。何かしらの作業をヒトに依存している状況は、今もなお物流業界の"当たり前"です。

 作業を全自動にして無人倉庫を実現すべきか、という点については議論の余地がありますが、まずは物流自動化を実現する"選択肢を創出すること"が重要だと、ソフトロボティクス ベンチャーズが考えています。

多様な作業が求められるDC型(在庫型)倉庫

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 中でも、荷物を入荷・保管し、オーダーに応じて出荷を行う物流センター、いわゆる「DC型(在庫型)物流センター」に対する自動化ソリューションの動きは近年活発化しています。その背景にはやはりEコマースの普及。アマゾンなどのいわゆるEコマース事業者のみならず、近年はより多くの顧客とタッチポイントを持つためにメーカー自身がEコマース商流を持つケースが増えてきました。それらの物流オペレーションの多くは、DC型の物流業者に委託されているケースが多く、近年急成長しているEコマースの裏には、DC型の物流倉庫の存在があります。
 ネットでオーダーしたらその翌日には商品が届く。そのような便利さは、オーダーされたらすぐに出荷できるよう在庫保管されているDC型物流倉庫によって支えられていることがほとんどです。

 また、DC型倉庫の中では以下のような様々な作業がされており、それぞれに対する自動化ソリューションが求められています。

 ①入荷検品:入荷した商品の種類・数の確認
 ②棚入れ:保管エリアへの格納
 ③在庫保管:倉庫での保管・整理
 ④棚出し:保管エリアからの取り出し
 ⑤出荷検品、梱包:出荷する商品の種類・数の確認と梱包

DC型物流でブレークスルーをもたらす「自動倉庫」

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 数十万点、数万点のSKUを抱える物流業者にとって、③「在庫・保管」の作業は非常に大きな手間になります。ただ在庫を保管するだけでなく、オーダーが来た時に迅速に対応できるよう、SKU単位で整理しておく必要があるからです。仮にSKUごとに保管場所が整理されていたとしても、各SKUそれぞれの場所までヒトが取りに行く時間もかかります。加えて、それぞれのSKUに対して先入れ先出しルールでのハンドリングをヒトが行うとなると、その労力は膨大なものとなります。

 そのような中、物流業界全体で「自動倉庫システム」の導入が進んでいます。自動倉庫システムとは、「原料の載ったパレット、部品の入ったコンテナ、製品の段ボールケースなど様々な荷物を、クレーンやシャトル台車が棚に自動で運び、保管し、仕分けする、コンピュータ管理された倉庫」のことを指します。
平たく言えば、立体駐車場(機械式)の物流バージョン。駐車券を機械に読ませると、倉庫から自動で自分の車が目の前に出てくる。あの時に「この中はどのような仕組みになっているのだろうか」とワクワクしたことはないでしょうか。
より多くのSKUをスピーディーに扱う物流の自動倉庫は、WMSなどの上位システムと連携することでSKU単位だけでなく、入荷タイミング、生産ロットなどの細かい単位など、より高度なレベルでの保管・整理を自動で行うことが可能となります。

これからの鍵になるのは自動倉庫の前後工程 "ピースピッキング"

 自動倉庫のベネフィットが日本でも広く認知され、自動倉庫を導入するケースも近年増えてきています。しかし、そのような物流倉庫での次なる課題は何なのでしょうか。

 次なる自動化の焦点は、自動倉庫の前後工程となる「棚入れ」「棚出し」。自動倉庫システムを導入している物流倉庫でも、この部分は未だにヒトに頼っているケースがほとんどです。
 棚入れの際には、入荷した商品をSKU単位で保管箱(オリコンなど)にバラす作業が必要になります。また、棚出しの際には、自動倉庫の中から出てきた保管箱から必要な商品を必要個数ピッキングし、次の梱包工程につながるラインにプレイスする必要があります。保管箱単位の棚入れ、棚出し自体は自動倉庫が行いますが、その前後にいわゆる「ピースピッキング」が行われています。

 "ピッキング作業"の中でも、特に「パレット単位」や「ケース単位」のハンドリング作業は一部既に自動化され始めているのが現状です。しかしながら、商品個数単位のピッキング作業、いわゆる「ピースピッキング」「バラピッキング」においては、ヒトの手の器用さが求められることから未だに多くのヒトが介在しており、この工程の自動化は「物流最後の課題」とも言われています。

自動倉庫 × ピースピッキング知能ロボット

 ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズでは、ゴム人工筋肉 ソフトロボットハンドとAI画像認識技術を組み合わせた、ピースピッキング知能ロボットによりピースピッキングの自動化を目指しています。

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関連記事:「柔軟な手 × 目と知能」で共創していく新たな価値

 ピースピッキング知能ロボットと自動倉庫が連携した場合、どのようなオペレーションが可能になるのでしょうか。端的に言えば、DC型物流倉庫の大まかなオペレーション(以下)の②~④の工程を完全に自動化できるということになります。

 ①入荷検品:入荷した商品の種類・数の確認
 ②棚入れ:保管エリアへの格納
 ③在庫保管:倉庫での保管・整理
 ④棚出し:保管エリアからの取り出し
 ⑤出荷検品、梱包:出荷する商品の種類・数の確認と梱包

 しかしここで重要なのは、各工程の自動化ソリューションをただ導入すればいいということではなく、それぞれの連携によって効果を最大化できるかを見極めること。自動倉庫と相性が良く、効果を最大化できるのは果たしてどのようなピースピッキングロボットなのでしょうか。

 それは、「多様なSKUを効率的に扱うことのできるピースピッキングロボット」だと、ソフトロボティクス ベンチャーズは考えています。

 自動倉庫を導入している / 導入することに興味をお持ちだということは、「多様なSKUを扱う保管・整理作業を自動化したい」といったニーズをお持ちの物流現場である可能性が高いと考えられます。その場合、その前後工程のピースピッキングロボットが扱えるSKUに限りがある場合、結局のところヒトに頼らざるを得ず、自動化の効果は最大化されません。
扱うことのできるSKUの多様さ、つまりピースピッキングロボットの"汎用性"に対してはいくつか機能的なファクターがあります。一つはロボットハンド。ロボットハンドの選択が、ロボットそのものの汎用性を大きく左右することがあります。(関連記事:たかが手、されど手。物流最後の課題の救世主はロボットハンド!?)
二つ目に、画像認識技術。ロボットの"目と頭脳"で多くのSKUを正しく認識できるかどうか、も汎用性に大きく影響するポイントです。

 また、多くのSKUを扱えるピースピッキングロボットの場合、汎用的であるがゆえにツールチェンジ(エンドエフェクターを対象ワークに合わせて交換)する必要がなく、ダウンタイム削減による効率化も期待できます。

新たな景色の実現に向けた"挑戦"の始まり

 これまで自動倉庫とピースピッキングロボットの組合せによるベネフィットを述べてきましたが、未だその組み合わせが実現している現場は僅少です。

 前例のない挑戦には様々な困難が付きまといますが、物流業界の皆さまが一丸となって、この新たな挑戦への歩みを進めることができれば、物流業界を取り巻く多くの課題も乗り越えられると信じています。

一緒に新たな景色を共創していきましょう。

本件に関するお問い合わせ先
株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ
email: softrobotics.bs.tsg.bsj@bridgestone.com
Website: www.bridgestone.co.jp/products/softrobotics
Tel:070-3187-2009

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