2022.09.12

ヒトとロボットの協働時代、注目されるソフトロボティクスの可能性 物流編

ソフトロボティクスとは?

ソフトロボティクスは、生物のような繊細でしなやかな動きを実現するロボット工学の一分野です。ソフトとは「Softness」(柔軟性)を意味しており、柔らかい素材を用いることで、対象物を壊さずに掴むことができたり、狭い空間に入り込み災害時の救助活動に応用できたりと、従来のロボットでは不可能だった作業が可能となります。

ロボットと言えば硬い素材でできており、人間では不可能なパワーやスピード、正確さで作業をこなす無機質な機械、というイメージが一般的です。一方、ソフトロボティクスで目指されるロボットは、自然界に存在する動物や昆虫などの動きを参照にしている点が大きな特徴です。

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ソフトロボティクスの期待される主な業務領域

このような「柔らかさ」を持つソフトロボティクスは、従来のロボットでは不可能である以下のような業務への活用が期待されています。

「ハンド」ピッキングをはじめとしたつかむ業務

ソフトロボティクスの領域で注目されているのが「手(ハンド)」です。これは工場の製造ラインで製品や部品などをピッキングしたり、運搬したりする役割を持つロボットの部位を指します。

現状でも「ロボットハンド」が導入されていますが、材質的に硬いモノが多く、柔らかいモノや壊れやすいモノ、変形しやすいモノを掴むことには向いていません。そこで、ヒトの手のように柔らかく、対象物に応じて変形も可能なソフトロボティクスによるハンドの導入が目指されています。これにより、従来のロボットではピッキングできなかったモノもしっかりとまた効率的にピッキングができるようになります。

「みみずロボット」インフラの点検業務

ソフトロボティクスの領域でもう一つ注目されているのが「みみず型ロボット」です。みみずの蠕動(ぜんどう)運動と呼ばれる移動方法を模倣しているのが特徴で、歩行や車輪、蛇行など、他の移動方法よりも小さな空間での移動が可能です。そのため、ヒトが入り込めない狭い空間での作業に向いています。

狭いダクト内の清掃や配管内の点検、災害時における探索など、さまざまな分野での応用が可能です。

物流における可能性「ピースピッキング」

物流におけるソフトロボティクスの活用で着目されているのが、ハンドによるピッキング業務(ピースピッキング)です。ソフトロボティクスによるピースピッキングを導入することで、以下のようなメリットが考えられます。

省人化が期待できる

ソフトロボティクスにより、細かいモノや柔らかいモノなど、従来のハンドよりも幅広い種類のモノをピッキングできるようになります。そのため、ヒトの手でピッキングしなければならない領域が少なくなり、省人化・効率化につながることが期待できます。

処理速度向上が期待できる

ソフトロボティクスによるピースピッキングを導入することで、一般的な吸着ハンドや固いグリッパーよりも処理速度を向上させることが期待できます。吸着ハンドや硬いグリップでは幅広い種類のモノをピッキングできず、対象物によってハンドを交換する必要もあるなど非効率的です。また吸着ハンドの場合、ロボットアームを高速で動かすとモノが飛んで行ったり、置く動作が乱雑であったりするため、掴んだモノが壊れる可能性があります。一方、ソフトロボティクスのハンドならこうしたデメリットが小さいため、処理速度の向上が見込めます。さらには、一気に複数個のモノを掴む事も期待できます。

ブリヂストンでは、ゴムの力を使った「"いい感じ"にモノを掴む」ソフトロボティクスの開発を進めています。その一例が、ゴム素材の研究開発の知見を活かし、ゴムチューブとそれを囲む高強度繊維のスリーブからなる「ラバーアクチュエーター」という素材を活用したソフトロボットハンドです。柔らかいモノや大小さまざまなサイズ・重さのモノを臨機応変に掴むことができます。

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ブリヂストンのソフトロボティクスにご関心の方は、より詳細な活用方法を資料にて紹介しておりますので、こちらもあわせて御覧ください。

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