ニュースリリース

ブリヂストンとLanzaTech 使用済タイヤのリサイクル技術開発へ向けたパートナーシップを締結

使用済タイヤを再生資源として再利用する資源循環システムの構築により、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐ

2022年04月14日

 株式会社ブリヂストンの米州グループ会社であるブリヂストン アメリカス インク(以下BSAM)は、LanzaTech NZ, Inc.※1(ランザテック エヌジー インク、以下LanzaTech)と使用済タイヤの革新的なリサイクル技術の開発に向けた独占的パートナーシップを締結しました。ブリヂストングループは二酸化炭素をエネルギーや化学品に転換する独自の技術を有するLanzaTechとのパートナーシップによる共創を通じて、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを加速し、「Bridgestone E8 Commitment」※2で掲げる「Ecology 持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、よりよい地球環境を将来世代に引き継ぐこと」、「Energy カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」にコミットしていきます。

 WBCSD(World Business Council for Sustainable Development/持続可能な開発のための世界経済人会議)の傘下にあり、世界のタイヤメーカー大手10社によって組織されているTIP※3(Tire Industry Project/タイヤ産業プロジェクト)によると、世界では毎年およそ10億本のタイヤが、再利用されることなく、その役割を終えると推定されています。この課題に対し、ブリヂストングループとLanzaTechは共創パートナーとして、使用済タイヤを再生資源として新たな原材料へリサイクルし、再利用する資源循環システムの構築に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 ブリヂストングループとLanzaTechは、使用済タイヤをリサイクルして原材料に「戻す」新たなビジネスモデルの構築を共同で進め、再生資源の普及を促進していきます。具体的には、LanzaTechの持つ炭素回収およびガス発酵技術を用いて、使用済タイヤからエタノール等の化学品を製造し、包装用の樹脂(PET※4)やポリエステル糸、洗濯洗剤など日用品に使用される界面活性剤などの原材料として再利用することに取り組みます。更には、使用済タイヤから、タイヤの材料の一つである合成ゴムの素原料となるブタジエンを製造するため、独自の微生物を用いた発酵技術の開発に向けて共同で探索を進めます。この活動により、使用済タイヤを新品タイヤの原材料に「戻す」資源循環の実現を目指します。

 米国イリノイ州に本社を置くLanzaTechは廃棄物から炭素を回収、それを再生資源として、燃料、繊維、包装材などに再利用しています。LanzaTechはその技術を通じて数多くの再生資源を生み出し、日常生活のあらゆるものが石化原料由来である必要がない未来を目指しています。LanzaTechは、従来の炭素の利用方法を見直し、変革することを通じて、炭素がただ放出されるのではなく再利用され、それにより空や海がきれいに保たれ、環境汚染が過去のものとなる新たな炭素循環型経済の実現をゴールとしています。

 ブリヂストングループは、この地球を未来の子供たちからの預かり物と考え、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐため、さまざまなパートナーとの共創を通じて、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現とビジネスモデルの連動を推進しています。タイヤを「創って売る」タイヤ事業、お客様がタイヤを「使う」段階で価値を提供するソリューション事業に加え、タイヤを原材料に「戻す」リサイクルの事業化に取り組み、サーキュラーエコノミーについては、2030年に再生資源・再生可能資源に由来する原材料比率を40%に向上させ、2050年に100%サステナブルマテリアル化※5に挑戦していきます。
 その一環として、2021年には仏ミシュラン社とマテリアル・サーキュラリティに貢献する再生カーボンブラックの利用拡大について共同発表をしており※6、また本年2月には、ENEOS株式会社(以下ENEOS)と「使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル」技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを開始しています。※7 尚、ブリヂストンとENEOSが実施する共同プロジェクトは、日本政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して経済産業省が設置したNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択されています。※8

 今後も、社会、パートナー、お客様と共に、持続可能な社会を支えることに取り組んでいきます。

<ご参考>

パオロ・フェラーリ(BSAM CEO 兼 プレジデント)のコメント
共創パートナーとしてLanzaTechと使用済タイヤのよりサステナナブルな利用に向けた取り組みができることを嬉しく思います。今日の我々の行動が、将来世代のための地球環境を守ることに繋がります。使用済タイヤを新たな再生資源として原材料に戻し、資源循環を実現するためのサステナブルなイノベーションに強い意志を持って取り組みます。

ニザール・トリギィ(BSAM CTO 兼 グループプレジデント(ソリューションビジネス担当))のコメント
LanzaTechとのパートナーシップは、「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Ecology 持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、よりよい地球環境を将来世代に引き継ぐこと」、「Energy カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」への明確なコミットメントです。

Dr. ジェニファー・ホルムグレン(LanzaTech CEO)のコメント
LanzaTechとブリヂストンは今日の重要な課題に対するソリューションの構築に協力して取り組みます。我々LanzaTechは再生や分別が難しいとされてきた一般廃棄物からエタノールを製造し、更にはそれを日用品として再利用することができるということを立証してきました。ブリヂストンとのパートナーシップを通じて、使用済タイヤを使って新品タイヤを作る資源循環システムの実現に取り組んでいきます。このパートナーシップは、我々が共に目指す「環境汚染が過去のものとなった未来」へとつながると考えています。

<ブリヂストンとLanzaTech 使用済タイヤのリサイクル技術開発へ向けたパートナーシップ イメージ図>

  1. ※1 LanzaTechについて(英語のみ):
    https://lanzatech.com/
  2. ※2 ブリヂストングループは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンの実現に向けて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」を制定しました。これを未来からの信任を得ながら経営を進める軸とし、ブリヂストンらしい「E」で始まる8つの価値(Energy、Ecology、Efficiency、Extension、Economy、Emotion、Ease、Empowerment)を、ブリヂストンらしい目的と手段で、従業員・社会・パートナー・お客様と共に創出し、持続可能な社会を支えることにコミットしていきます。
    https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2022030101.html
  3. ※3 WBCSD、TIP等の社外団体への加盟・活動について
    https://www.bridgestone.co.jp/csr/partnerships/index.html
  4. ※4 PETについて
    「ポリエチレンテレフタレート("POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE"、その頭文字をとって「PET(ペット)」)」と呼ばれる樹脂。ペットボトルを中心に食品用の容器や、合成繊維としてフリースなどに使用されており、耐熱性や耐寒性、強度に優れ、透明度が高いといった特性を持つ。
  5. ※5 2050年を見据えた環境長期目標について
    当社グループでは、「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。
    https://www.bridgestone.co.jp/csr/environment/index.html
  6. ※6 「ブリヂストンとミシュラン 再生カーボンブラックの利用拡大を通じ、タイヤ・ゴム業界におけるサステナビリティの進化へむけて連携」
    https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2021111901.html
  7. ※7 「ブリヂストンとENEOS、使用済タイヤからタイヤ素原料を製造するケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを開始」
    https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2022021801.html
  8. ※8 ブリヂストンとENEOSが実施する「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択
    https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101517.html
  9. グリーンイノベーション基金:日本政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するもの

本件に関するお問い合わせ先

<報道関係> パブリックリレーション部門 G-パブリックリレーション部 TEL:03-6836-3333
<お客様>  お客様相談室 TEL:0120-39-2936

以上