ニュースリリース

NRGene社との共同研究により「グアユール」の複雑なゲノム配列の高精度な解読に成功

天然ゴム資源の多様化によるタイヤ原材料のサステナブル化に貢献

2021年01月20日

 株式会社ブリヂストンは、ゲノムのビッグデータ・ソリューション企業であるNRGene社との共同研究により、「グアユール」の複雑なゲノム配列を高精度に解読することに成功しました。当社は、2017年から天然ゴム資源の多様化によるタイヤ原材料のサステナブル化※1を目的として、グアユールの品種改良に向けたゲノム解析の研究をNRGene社と共同で行っており※2、今回の研究開発の成果がゴム生産性の高い品種のグアユール開発に大きく貢献するものと考えています。

グアユールのゲノム解析: DNA配列解析~品種改良までのイメージ

 グアユールは米国南西部からメキシコ北部が原産の、降雨量の少ない乾燥地帯で栽培することが可能なキク科の低木(灌木)で、熱帯で栽培するパラゴムノキ由来のゴムに匹敵する成分を組織中に含む植物です。当社は、タイヤ材料として実用化すべく、グアユール由来のゴムの生産性向上や物性改良に向けた研究開発を推進しています。

 今回、NRGene社との共同研究により遺伝子情報が可視化されたことで、植物体中のゴム含有量など、重要な形質の遺伝的背景の理解を深めることが可能となり、生産性の高いグアユールの育種を加速させることが期待されます。今後、プロセスの最適化による物性改良やアプリケーション(用途)開発の成果と組み合わせることで、2020年代にグアユールゴムのタイヤ材料としての実用化を目指します。

 当社は、グアユールゴムの実用化に向けてオープンイノベーションを推進しています※3。今回、当社の持つグアユールに関する知見とNRGene社のゲノム解析に関する技術を融合させることで、より短期間で実用化に向けての重要な成果が得られたと考えています。当社は、今後もオープンイノベーションを推進し、当社のコア技術と様々な企業・団体が持つ個々の領域の知見を融合させ、天然ゴム資源の多様化に向けた取組みを促進していきます。

 2050年には全世界の人口が96億人にも達し、自動車の保有台数も24億台を超え、タイヤ生産に必要な材料量も増えていくと予想されています。また、SDGsが示しているように、経済成長と環境負荷のデカップリングが求められています。現在タイヤ原材料となる天然ゴムは、「パラゴムノキ」から生産されており、産地が東南アジアに集中していることから、病害リスクや栽培面積の拡大に伴う熱帯雨林の減少が課題になっています。この課題を解決すべく、天然ゴム資源の多様化に向けた取組みとして、グアユールの研究開発を行っています。これにより、天然ゴム資源の安定供給に貢献する技術を通じて、将来にかけて環境負荷低減と持続可能な事業を両立していきたいと考えています。

 当社は、「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社であり続ける」ことをビジョンとして掲げています。そして、事業の成長と環境影響や資源消費の拡大を切り離す「デカップリング」への挑戦をさらに進めていくため、新たな環境中期目標「マイルストン2030」を設定しました。イノベーションでソリューションを提供し、安心・安全な移動を支えると共に、再生可能資源をより広く活用しながらサーキュラーエコノミー・CO2削減に貢献するなど、環境へのインパクトをさらに改善していきます。今後も当社独自のゴムに関する知見とデジタルを融合させることで技術イノベーションを進化させ、様々なパートナーと連携しながら価値を共創していきます。

  1. ※1 ブリヂストングループでは「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。
  2. ※2 グアユールの品種改良に向けてNRGene社のゲノム解析技術を活用
    https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2018022001.html
  3. ※3 グアユールの商用化に向けブリヂストン米国子会社とVersalis社が提携
    https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2018021301.html

本件に関するお問い合わせ先

<報道関係> 広報第2課 TEL:03-6836-3333
<お客様> お客様相談室 TEL:0120-39-2936

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