建築免震用積層ゴム2商品を発売
2011年3月7日
No.35
株式会社ブリヂストン(社長 荒川詔四)は、建築免震用積層ゴム「新高減衰ゴム系積層ゴムH-RB(X0.6R)」と「鉄粉・ゴム混合材プラグ挿入型積層ゴムe-RB」を新たに発売いたしました。
免震構法は、建物と地盤の間に積層ゴムやダンパーなどの免震装置を設置し、地震の早くて強い揺れを、ゆっくり大きな動きにかえることで地震のエネルギーを吸収して建物に力を伝えにくくする構法です。1995年の兵庫県南部地震でその効果が確認されて以来普及が進み、2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震においてもその有用性が立証されています。
免震装置の中で最も主流なものがゴムを用いた積層ゴムであり、当社は1983年に日本初の免震建物に建築免震用積層ゴムを提供して以来、国内のみならず海外を含め3万基以上を出荷し、国内トップの実績(当社調べ)を誇っています。
今回発売した新商品の特徴は、次の通りです。 (詳細別添資料参照)
なお、今回発売した2商品は、ブリヂストンの先進免制震技術である「BASEPT」(Bridgestone Advanced Seismic Protection Technologies)の構成要素である材料開発技術(配合技術)と免震ゴム構造解析技術により開発しました。
<建築免震用積層ゴムの基礎説明>
2.建築免震用積層ゴムの種類
3.建築免震用積層ゴムの特徴
免震構法は、建物と地盤の間に積層ゴムやダンパーなどの免震装置を設置し、地震の早くて強い揺れを、ゆっくり大きな動きにかえることで地震のエネルギーを吸収して建物に力を伝えにくくする構法です。1995年の兵庫県南部地震でその効果が確認されて以来普及が進み、2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震においてもその有用性が立証されています。
免震装置の中で最も主流なものがゴムを用いた積層ゴムであり、当社は1983年に日本初の免震建物に建築免震用積層ゴムを提供して以来、国内のみならず海外を含め3万基以上を出荷し、国内トップの実績(当社調べ)を誇っています。
今回発売した新商品の特徴は、次の通りです。 (詳細別添資料参照)
- 「新高減衰ゴム系積層ゴムH-RB(X0.6R)」の特徴
高減衰ゴム系積層ゴムが持つ減衰機能(次頁参照)は、その減衰性を高めると、荷重履歴依存性(繰り返し変形時にばねや減衰が変化したり、大きな変形を受けた後にばねが低下して元に戻りにくい性質)や、温度依存性(温度によってゴムのばねや減衰が変化する性質)が大きくなる傾向があります。
今回発売した「新高減衰ゴム系積層ゴムH-RB(X0.6R)」は、新たに開発した高減衰ゴム材料X0.6Rにより、荷重履歴依存性を飛躍的に低減させ、また温度依存性を極力小さく抑えながら、これまでの高い減衰性をさらに向上させることに成功しました。荷重履歴依存性の低減により、免震建物の設計におけるシミュレーション精度の向上が期待できます。
- 「鉄粉・ゴム混合材プラグ挿入型積層ゴムe-RB」の特徴
今回発売した「鉄粉・ゴム混合材プラグ挿入型積層ゴムe-RB」は、従来の鉛プラグ挿入型積層ゴムが持つ高い減衰性や、プラグ径を変えることによって減衰量の調整ができる特徴を維持しながら、製造・廃棄時の環境負荷を低減する免震用積層ゴムです。鉛プラグの替わりとなる「鉄粉・ゴム混合材プラグ(FeRプラグ)」はブリヂストン独自の発想に基づく新規開発材料です。
なお、今回発売した2商品は、ブリヂストンの先進免制震技術である「BASEPT」(Bridgestone Advanced Seismic Protection Technologies)の構成要素である材料開発技術(配合技術)と免震ゴム構造解析技術により開発しました。
<建築免震用積層ゴムの基礎説明>
(1)高減衰ゴム系積層ゴム 減衰性の高いゴムと鋼板を交互に積層した構造 |
(2)鉛プラグ挿入型積層ゴム 天然ゴム系積層ゴムの中心部に鉛プラグを有する構造 |
(3)天然ゴム系積層ゴム 天然ゴムと鋼板を交互に積層した構造 |
(4)弾性すべり支承 積層ゴム端面に低摩擦材を取り付けてすべり板の上に設置した構造 |
3.建築免震用積層ゴムの特徴
機能 | 特徴 | |||
---|---|---|---|---|
支持 | ばね | 減衰 | ||
(1)高減衰ゴム系積層ゴム | 有 | 有 | 有 | コストメリット有(必要な機能すべて持つ)+環境負荷小 |
(2)鉛プラグ挿入型積層ゴム | 有 | 有 | 有 | コストメリット有(必要な機能すべて持つ)+減衰量可変 |
(3)天然ゴム系積層ゴム | 有 | 有 | 無 | ばね機能に優れる。 *1 |
(4)弾性すべり支承 | 有 | 無 | 有/無 *2 | 支持機能のみを必要とする場所に使用 *3 |
*1:減衰機能を有する積層ゴムまたはダンパーとの併用が必要となる。
*2:減衰機能を有するものと無いものがある。
*3:ばね機能を有する積層ゴムとの併用が必要となる。ダンパーと併用も必要となる場合もある。
ブリヂストンが世界共通の環境メッセージとして掲げた「One Team, One Planet」。 その意志は、グローバルに展開する一企業として、またその枠をこえてあらゆる人々と、地球のために、ひとつになること。 未来のすべての子どもたちが「安心」して暮らしていくために。 |
ブリヂストンが推進する環境経営活動を表すマーク Ecologyの頭文字「e」を環境活動の土台として位置付け、そこから生まれた活動の成果 (芽) を「澄み切った空」や「生い茂る木々」としてシンボライズしています。 |
<別添資料(商品特徴詳細)>
1.「新高減衰ゴム系積層ゴムH-RB(X0.6R)」の特徴
(1)荷重履歴依存性の低減
〔補足〕荷重履歴依存性低減のメカニズム
(2)サイズラインアップ
2.「鉄粉・ゴム混合材プラグ挿入型積層ゴムe-RB」の特徴
(1)基本構造と減衰発現のメカニズム
(2)基本特性(荷重・変位特性)
(3)サイズラインアップ
※今後ラインアップ拡大予定
1.「新高減衰ゴム系積層ゴムH-RB(X0.6R)」の特徴
(1)荷重履歴依存性の低減
・ 高減衰ゴム系積層ゴムに繰り返し変形を与えると荷重が低下する傾向を示す。
・ この低下の度合いを3サイクル目に対する1サイクル目の比(1st/3rd)で表現すると、従来品E0.6では1.30あったが、新商品X0.6Rでは1.15以下となっており、繰り返しによる特性変化を低減している。
・ また、大きな変形を経験した後に荷重は低下する傾向(黒線と赤線の差異)も示すが、このような大きな変形前後の特性変化も従来品E0.6に比較してX0.6Rは小さくなっている。
・ このように荷重履歴依存性(繰り返し変形や大きな変形など変形プロセスによる特性変化)を低減することで、高減衰ゴム系積層ゴムの解析的な扱いが容易になり、免震設計の精度向上が期待できる。
〔補足〕荷重履歴依存性低減のメカニズム
・ 高減衰ゴム材料はゴム高分子にカーボンや樹脂系材料などの充填材を配合している。
・ 高減衰ゴムの減衰性は、ゴム高分子同士間の摩擦、ゴム高分子と充填材界面の摩擦、充填材同士の凝集体の変形によって発現する。
・ 荷重履歴依存性は凝集体の変形に起因しており、新商品X0.6Rでは、充填材の分散性を向上して充填材同士の凝集体を少なくすることで、荷重履歴依存性を低減している。
(2)サイズラインアップ
2.「鉄粉・ゴム混合材プラグ挿入型積層ゴムe-RB」の特徴
(1)基本構造と減衰発現のメカニズム
・ 天然ゴム系積層ゴムの中心孔に鉄粉とゴム(高粘性材料)を混合した減衰材料を挿入している。
・ 減衰材料に使用している鉄粉は平均粒径が約40μmであり、鉄粉とゴムの体積比はおおよそ3:2としている。
・ 減衰力は鉄粉間の空隙を流動する高粘性材料の流動抵抗力と鉄粉間の摩擦力により発現する。
(2)基本特性(荷重・変位特性)
・ 広い変形領域で減衰が得られ、全般的に鉛プラグ挿入型と類似した荷重・変位特性となっている。
注記:
上図は同一形状の積層ゴム(ゴム径φ800mm,プラグ径φ160mm,ゴム総高さ160mm)の静的な荷重-変位特性を比較している。
※今後ラインアップ拡大予定
本件に関するお問い合わせ先
<報道関係>広報部 | TEL:03-3563-6811 |
<お客様>お客様相談室 | TEL:0120-39-2936 |
以上