英語に慣れたのは大好きなディズニーのおかげ

― 環境を変えて約2年。海外での生活には慣れましたか？

だいぶ慣れてきたかな。最初は会話も断片的にしか分からなかったんですけど、英語にもだいぶ慣れました。今ではキャディさんとの会話もほとんど分かるようになりました。

― 英語の勉強などをされたのですか？

勉強は苦手なので基本的にはあまりしてないんですけど、教材を揃えることが好きなので、本屋さんに行くと単語の本とかを買ってしまうんですよね。あまり見ないのに（笑）。SNSでちょっと見たりするくらいですね。
あっ、でも聞き取りは結構できる方だと思います。ディズニーが好きなので、洋画を英語で聞くようにしていたから、それのおかげかな。

― 2022年のスコットランド女子オープンで16試合目にして初優勝。そのときの気持ちは？

こんなに早く優勝ができるなんて思っていなかったので嬉しかったですね！

気持ちに余裕ができたことでゴルフに集中しやすくなりました

― 2023年のシーズンを振り返っていかがでしたか？

優勝はできなかったんですけど、トップ10入りを増やすことやメジャーで4日間戦い抜くことを目標にしていたので、それをクリアできたのは良かったかなと思います。

― 2023年最終戦では最終ホールをバーディーで締めくくって4位タイでした。

シーズン後半は少し悩んでしまって、成績も上がらない時期がありましたが、終盤に向けて徐々に良くなって、シーズン最後の日本での試合でいい形で終われたことは良かったです。世界に通用するゴルフをする選手のプレーを見ていると、「自分もしっかりついていかないと！」と思えたので、最後にバーディーも取れたのかな。

― メジャー挑戦の1年目と2年目で心境の違いなどはありましたか？

英語が少し分かるようになってきたことで、気持ちに余裕ができて、ゴルフに集中しやすくなったかなと思います。それと、移動が大変だということも分かっているので、シーズンの過ごし方もいい意味で慣れたと思います。

― 多いときには1ヶ月で4大会をこなす中で、精神的にも体力的にもバランスを取るために工夫していることはありますか？

1年目は移動日でもそのまま練習したりとか、ラウンドをしちゃったりしてたんです。でも2年目はメリハリをつけるためにも練習はせずに、移動日は移動だけにしました。

― 2024年のシーズンで優勝を狙うために、これから必要になってくるものは何ですか？

やっぱりメンタル面ですね。ずっといい状態を保てていたかというと、そうでもなくて......。上位争いに絡んでいるのに最終日にスコアを伸ばすことができない時もあったので、メンタルを強くして、自信を持ちながら試合に臨めたらと思っています。

"始まる前から終わりの心配なんて意味不明"

― 「周りに振り回されることなく、自分に集中することが一番大事」という金山和雄プロからの言葉が心に響いたということを以前に仰っていましたが、それ以外に古江選手を奮い立たせたり勇気をもらえたりした言葉はありますか？

やっぱり浜崎あゆみさんの歌詞かな。特定の曲を聴くとかではなくって、普通に曲を流していたら、そのときの自分の心境によって「ポン！」と飛び込んでくる歌詞があったりするんです。その言葉を励みにして、その日を、その週を頑張るとかはありますね。楽しい時も、壁にぶつかった時も基本的には浜崎あゆみさんの曲を聴けばOKです！

― 最近で印象に残っている歌詞はありますか？

『Bold & Delicious』という曲で「始まる前から終わりの心配なんて意味不明」という歌詞があるんですけど、少し自信が持てなかったときに聴いて響きましたね。

― 浜崎あゆみさんとディズニーが大好きな古江選手ですが、昨年はディズニーランドには行かれましたか？

はい、もちろん行きました！　東京ディズニーランドが40周年だったので「これは行かなきゃ！」って（笑）。「古江流」の楽しみ方は、最近はフードです。あと、アトラクションも好きなので、待ち時間を攻略しながら楽しむのがポイントです！

― 「笑顔でいることがゴルフ頑張る秘訣」とのことですが、古江選手が笑顔になれたエピソードを教えてください。

やっぱり浜崎あゆみさんとディズニーですね！
浜崎あゆみさんのコンサートに行って、歌ったり喋ったりするのを見たり聞いたりすることは本当に幸せです。昨年、大会のために日本に帰ってきた時に、たまたまコンサートのチケットが取れたことがあったんです。翌週には試合があるっていう状況でも行きました！

― コンサート翌週の試合の結果は？

優勝しました！　浜崎あゆみさんのパワーですね。
あと、嬉しかったことと言えば......少し前にある番組の中で私に会いたいって言ってくださった俳優さんがいて、その番組にサプライズ登場したことがあるんです。私のことを知ってくださっていたことだけでも嬉しかったですし、アメリカツアーを小さい体で頑張っていることや技術面に対して推してくださったことが本当に嬉しかったです！

自分の体が持つ限りは頑張りたい

― 3歳の頃からゴルフを始めて20年。古江選手にとってゴルフの魅力とは？

全部が完璧に行くことがないので、それを求めるとやめられないっていうのもあるかもしれないですね。自分が完璧でも自然が邪魔してしまうこともありますし。楽しさに終わりはないです！　完璧を突き詰めていく中で、何が完璧なのか分からない状況でも何とかやろうとしている、限りない挑戦みたいな感じですね。

― ゴルフでは常に正確なショット、そしてコンスタントに結果を出されていますが、普段から几帳面なのですか？

いえ、普段は自由人です！（笑）でも、ツアーの時はコースやグリーンまわりのチェックを怠らないようにしています。事前準備をしっかりすることが安定感につながっているのかもしれません。

― 入念な事前準備はいつからするようになったのですか？

ナショナルチームに入ってからですね。練習ラウンドの時に、インポジションとアウトポジション（行っていい場所と悪い場所）は、自分でメモに書いていくんだよということを教えてもらったことがきっかけです。それから4年くらいずっとやってきて、自分のルールができてきたのかなっていう感じです。

― この先、「○歳までは絶対にゴルフを続けたい」など、思い描いているものはありますか？

できるなら「永遠」ですね！　プロとして試合に出たりするのは、少しでも長くと思っています。何歳までとかは想像もしていないですけど、40歳を超えても頑張っている選手を見ると「すごいな！」って思いますし、自分の体が持つ限りは頑張りたいです。

― 生まれ変わっても、またプロとしてゴルフをやりたいですか？

いや、やりたくないですね......（笑）。
スポーツが好きなので、ゴルフ以外のスポーツをしてみたいです。今の自分はチームプレーは向いていないのですが、生まれ変わったらチームプレーもできるようになっているという前提で......バレーボールとかバスケットボールをやってみたいですね。
あと、これも今の自分には向いていないのですが、毎日同じ所に出勤して、同じ仕事をして、同じ場所を通って帰る、というような会社員。1日社員体験などがあれば、ぜひやってみたいです。

― これまでツアーなどでずっと世界を飛び回っていますもんね！

そうなんです。中学生くらいからはゴルフの大会に出るために平日に休んだりすることもあって、ちゃんと学校に通えていなくて......。あと、友達と遊ぶ機会も少なかったので、毎日学校に行って、友達とも遊んで......っていう時間も過ごしてみたいですね。

オリンピックへの思いは強くなっています

― いろんな大会に出場されていますが、オリンピックはやはり特別なものですか？

出たことがないので何とも言えないですけど......。これまでゴルフを見ていない方にも興味を持ってもらえるという部分では、やっぱり違うステージなのかな、と思います。

― パリ2024に向けて、現在の心境は？

今まで頑張ってきた自分へのご褒美として出られる大会だと今も思っています。でも、そう思っていたわりには東京2020オリンピックに出ることができなくて、悔しい思いをしたんですよね。だから、オリンピックに対しての思いは前よりも強くなっています。あと、パリのディズニーにも行きたいですし！

― これからどんな扉を開けていきたいですか？

今までの自分を超える、ということが新たな扉を開くことにもなると思うので、今の自分をどんどん超えていけるようにしたいなって思います。

― これから新しいことにチャレンジしようとしている人に対してエールを！

「したい！」と思った時点で挑戦してほしいなと思います。本当に思ったなら挑戦してほしいな。私が海外で挑戦するときには「移動も大変だし、慣れるためにも若いうちに行った方がいいよ」って言ってもらったことがありました。やってみてダメだったら辞めればいい。興味を持ったなら、まずは挑戦することが大事だと私は思います。

― 憧れのタイガー・ウッズに少しは近づけましたか？

う～ん。まだまだ全然ですね。10段階で表すなら、とりあえずアメリカで優勝できたから「2」で！　これからも一歩ずつ近づいていけるといいな。