データサイエンティスト×ブリヂストン DX人材が創出する新たな価値 Vol.3デジタルAI・IoT企画開発部 デジタルAI開発課 石塚 治也

SHARE

ブリヂストンでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって、これまで現場で長年培われてきた強い「リアル」に「デジタル」を組み合わせることで、「より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」をテーマとして、「断トツ商品」・「断トツソリューション」の開発、展開に繋げることを目指しています。その鍵を握るのが、社内で活躍するデータサイエンティストたち。その挑戦と描く未来像について話を聞きました!

データサイエンスの魅力に触れた学生時代

――現在のキャリアに至るまでにどのような経験を積んできましたか?

2018年に新卒でブリヂストンに入社しました。学生時代にたまたま履修した「統計学」が、データサイエンスに興味を持ったきっかけです。同じデータでもどう数字を切り取るかによって結論が変わる点がとてもおもしろく感じました。ちょうどその頃、「データサイエンティスト」という職業が注目されていたこともあり、大学院に進学してより専門的に学ぶことにしました。
ブリヂストンとの出会いも大学院の時で、当時所属していた研究室とブリヂストンが共同研究をスタートしたんです。当時は「タイヤをつくって売る企業」という印象を持っていたので、データサイエンスに積極的に取り組んでいることを知り、非常に驚きましたね。共同研究のメンバーにこそ入らなかったものの社員の方とはよく話す機会があり、働きながら大学で勉強を続ける制度があること、実際に博士号を取得された社員が多数いることを教えていただきました。経済的な理由から博士課程への進学を諦めていたのですが、博士号の取得を応援してくれる企業姿勢に強く惹かれました。

――現在はどんなお仕事をしているのですか?

入社以来、DXを活用して各事業部の課題解決に取り組む部署に在籍し、現在は2つのプロジェクトに携わっています。1つは、鉱山で使われているタイヤの使用状況をデータの面から分析し、より耐久性を高めるタイヤの設計につなげるプロジェクト。もう1つは、タイヤの販売店舗と各店舗のお客様の取引実績を組み合わせて可視化し、営業効率を向上させるシステムの開発です。どちらも現場の担当者のニーズをヒアリングし、それをもとにデータ分析を行っています。

「できないこと」を見つけるのもデータサイエンティストの仕事

――これまでで一番印象に残っているプロジェクトを教えてください。

輸送事業者様に向けた最適なタイヤとタイヤマネジメントサービス(定期的な点検、メンテナンス時期管理)とタイヤ交換などのメンテナンスを月次定額で一括提供しているサービス「トータルパッケージプラン(TPP)」の効率化に関する取り組みです。営業担当がお客様ごとに最適なプランを立てる際にお客様の走行データから最適なプランを自動試算するシステムを実装しました。私にとって実装まで漕ぎつけた初めてのシステムだったので思い入れがありますし、ローンチ後には営業担当の方から「とても使いやすいね」とお褒めの言葉をいただき、自信に繋がりました。

――特に苦労された点を教えてください。

プロジェクトは「どんなシステムがあれば業務効率化につながるか?」という現状分析からスタートしました。現場のニーズをつぶさに拾うことの大切さを感じる一方で、分析に必要なデータの入手が難しいことがわかり、プロジェクトは何度も後戻り。「やりたいこと」と「できること」のギャップに苦しみました。
そんな時、上司が「『できない』という事実を明らかにする。それもデータサイエンティストの大切な仕事だよ」と声をかけてくれて、仕事に対する目線が変わりました。「やりたいこと」と「できること」を論理的に整理できるようになり、さまざまな手法を試したのち、より効果的なシステムを構築することができました。

学生時代からの夢だった博士号取得へ

――現在は、念願だった博士課程に進んでいるそうですね。

2022年4月から大学院に通い、IoTセンサーで取得した値をAIに学習させることでデータをより正確に算出する技術を研究しています。現在は平日の業務が終わった後の約4時間をこの研究に充てていて、部署のメンバーには業務量の調整などに協力してもらっています。博士課程での学びは、いずれIoTやAIなどを使った新しいプロジェクトなどの業務に還元していきたいです。

――ワークライフバランスは取れていますか?

業務も研究も好きなことに関わることができているため、ワークライフバランスというよりもワークライフインテグレーション(仕事とプライベートを線引きせず、完全に一体化させながら人生の充実を図る方法)に近い過ごし方をしています。業務時間はデータの分析の実践、業務後は基礎研究といったように、それぞれ違う目線からデータサイエンスに対する理解が深まっていて、とても充実しています。
また最近ではジムに通って体を動かしたり、研究室の友人と過ごしたりする時間が良いリフレッシュになっています。他のデータサイエンティストから自分の知らないデータ活用の方法やデータサイエンスのビジネス化の話を聞くと、まだまだ頑張ろう!と思えるんです。

DXをビジネス拡大の一手に

――石塚さんがブリヂストンで実現したい夢を教えてください!

グローバルでの協働プロジェクトに携わることです。先日アメリカにあるグループ会社のデータサイエンスチームと打ち合わせした際、そのスキルの高さに非常に驚かされました。データ分析のスキルをさらに磨くとともに、博士課程での学びも活かしてグローバルビジネスのDX化に貢献できる人材になりたいと思います。
長い歴史を持つブリヂストンにおいてDXでブリヂストンの新しい歴史をつくるかもしれない! そんなワクワク感を持ってこれからも学び続けます。