革新的な新素材ポリマー「High Strength Rubber」で世界を変える!

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「世界を変えるかもしれない」ブリヂストンが開発した革新的な新素材、High Strength Rubber。今回は、世界で初めて、ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けたというこの新素材の秘密に迫ります。

何の変哲もないただの透明なシートに見えますが、実はこれ、世の中を変える可能性を秘めた革新的な新素材なんです。

自動車などに使われているタイヤの半分(※)は、ゴムから出来ています。その中でも重要なのが天然ゴム。強度、耐久性など、合成ゴムに比べて優れた特徴を持っている天然ゴムは、タイヤを製造する上で欠かせない、非常に重要な素材です。

※重量比

タイヤの原材料の中でも大きなウエイトを占める天然ゴムは、パラゴムノキの樹液から生産されますが、パラゴムノキの栽培地の約9割は東南アジア地域に集中しており、気候変動や病害など、天然ゴムの安定供給には様々なリスクがあります。ブリヂストンでは、パラゴムノキのDNA解読、病害診断技術の開発などを通じて、天然ゴムを安定して収穫するための研究をしています。同時に、天然ゴムを代替、超越する素材を人工的に合成する技術開発にも取り組んできました。

このような背景のもとで生まれたのが、合成ゴムとエチレンなどの樹脂を分子レベルで結び付けたハイブリッド素材である、「High Strength Rubber(以下HSR)」です。
なんと、この素材は、例えば耐亀裂性が天然ゴムの5倍以上(特定の試験条件(*注)で120万回以上引っ張っても破断しない)という、驚異的な強度を有しています。しなやかなゴムの特性と樹脂の強靭さを兼ね備えたこれまでの常識を覆す画期的な次世代新素材なのです。

(*注)ゴムのサンプル片に穴をあけ、一定回数引っ張りサンプルが破断する回数を調べる試験

従来、ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けるのは極めて困難とされてきましたが、ブリヂストンが独自に開発した「ガドリニウム触媒」を用いることで、世界で初めてこれを実現しました。

ブリヂストンが独自に開発した「ガドリニウム触媒」
(イメージ図)ゴムと樹脂を触媒技術を用いて分子レベルで結び付ける

HSRをタイヤの材料として活用することで、より少ない材料使用量でタイヤに求められる性能を達成できるかもしれません(材料使用料を減らせれば環境への負荷を減らすことができます)。HSRが実用化されれば、軽量で高耐久、長寿命で低燃費という従来の常識を覆す全く新しいタイヤの開発に繋がる可能性があります。また、タイヤ以外の新たな製品への適用についても期待されています。

ブリヂストンでは、既にHSRを用いたタイヤの試作や実際の車両を用いた性能試験に着手しています。それほど遠くない未来に、HSRを用いた全く新しい商品を皆さまにお届けしたいと考えています。