砂漠で天然ゴムを作る?! アリゾナのバイオラバー・プロセス・リサーチセンター

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世界各国にあるブリヂストンの研究開発拠点のなかで、他とは少し異なる研究をしている施設があります。それが米国アリゾナ州にある「バイオラバー・プロセス・リサーチセンター」です。

2014年に本格稼働したこの施設は、近隣にある113.7ヘクタール(甲子園球場約30個分)もの広大な試験農場で育てられている「グアユール」という植物からタイヤの原料となる天然ゴムを生み出すという研究を行なっています。

ゴムは大きく天然ゴムと合成ゴムの2種類に分けることができます。このうち天然ゴムのほとんどが東南アジアなどの熱帯雨林で育つパラゴムノキから採取されています。

一方で今後世界の人口は増加、自動車も増え多くのタイヤが必要になり、タイヤ以外にもゴム製品の需要が高まると予想されることからパラゴムノキへの負担はさらに大きくなると言われています。

そこでブリヂストンが注目したのがこの「グアユール」です。パラゴムノキとは異なりアリゾナのような乾燥地帯でも育つことから、従来までの天然ゴム産出地域の一極集中を緩和させ、北米など需要地に近い地域での生産を実現できるのではないかと言われています。

グアユールについて詳細はこちら

グアユールはアメリカ南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木で、その幹部などに天然ゴムを含んでいます。

米国アリゾナ州にある、ブリヂストンのバイオラバー・プロセス・リサーチセンターでは、その加工技術研究と試験農場における品種改良を続けており、2015年にはグアユール由来の天然ゴムを用いた第1号タイヤが完成。2020年代の実用化に向け、研究を加速させているところです。

この施設のマネージャー、ボブ・ホワイトは「タイヤの28%は天然ゴムなのです。これはタイヤ全体の構成比でもかなり大きなものになっています。私たちはこの天然ゴムのほとんどを熱帯雨林地域のごく小さなエリアに依存しているため、グアユールへの期待はかなり大きなものです。実はグアユールは古くからある植物で、コロンブスがアメリカにやってきた時代、先住民たちがすでにグアユールからゴムボールを作って遊んでいたといいます。私たちは現代の技術によって様々な土壌や環境に適合できるように品種改良を行い、より効率よく育て上げ、質の良い天然ゴムをグアユールから作るという研究をここの施設で行っています。」と話します。

夏場は40度を超える砂漠地帯にある研究所が、未来のタイヤ素材を大きく変えていくかもしれません。グアユールの未来にぜひご注目ください。