【ブリヂストンの師匠と弟子】電動アシスト自転車を世界の人に
ブリヂストンで、先輩社員から後輩社員に伝わる一子相伝(?)の技術や考え方、お客様や仕事への思い。そこには、「師匠と弟子」の関係に似た、熱くドラマチック、でもなんだか身近な物語があります。このコーナーでは不定期にそういった「師匠と弟子」の様な人々の考え方などを紹介して行きます。ブリヂストンの内側が少し垣間見られるかも!?
埼玉県上尾市に本社と開発機能を持ち、自転車の製造・販売を手掛けるブリヂストンサイクル(株)。今回は電動アシスト自転車の制御ユニットを手掛けるお二人が登場。自転車業界の最前線を走り続ける二人にはお互いへの尊敬と信頼がありました。
[プロフィール]
[師匠]
ブリヂストンサイクル(株)
基礎開発部 制御開発課
森口 憲和さん(写真右)
[弟子]
ブリヂストンサイクル(株)
基礎開発部 制御開発課
田上 勝さん(写真左)
商品は改良の連続。だからこそ根本原理を深く理解したい。
森口 田上君が入社してもうずいぶん経つんだな。ウチの部署はなかなか新入社員が入ってこなかった。だから田上君がうちの部署に配属されたときは、「賢そうな新人が来てくれたな」と思って嬉しかったよ。
田上 「賢そう」なんて初めて聞きましたよ。今まで一回も言ってくれたことなかったじゃないですか(笑)。ありがとうございます。それでも初めは分からないことばかりで、たくさん迷惑かけてしまいましたが……。ただ、森口さんって何でも相談しやすい雰囲気なんですよね。だから、仕事上がりにはいつも僕から飲みに誘って、仕事のこと根掘り葉掘り質問する日々が続きましたよね。
森口 確かに飲みの誘いは99%田上君からだったな。だけど、一回だけ俺から誘ったことがあったの覚えてる?
田上 え? そんなことありましたっけ?(汗)
森口 俺はしっかり覚えているんだけど(笑)、「これから電動アシスト自転車の時代になる。俺たち、電気系の技術者が必要になってくるんだ」って熱く語ったんだけどな。俺は、絶対もっと大きな市場になっていくと思ってた。だから、二人で貪欲に学んで新しいものを一緒に作っていこうっていう気持ちを伝えたかったんだ。
社内での理解を得ながらシェアを拡大させていきたい。
田上 そう……でしたよね。入社以来ずっと森口さんの電動アシスト自転車への情熱はひしひしと感じてます。そんな矢先ですよね、森口さんが中国に赴任することになったのは。
森口 そうだな。あれは2008年だったかな。
田上 森口さんが中国に異動してから自分で決めなければいけないことが多くなって……。振り返ってみるとあの期間に僕は大きく成長できたと思います。森口さんは「自分で考えることが大事だ」といつも教えてくれてました。森口さんがいなくなったことで、より自分で考えて仕事を進めることの重要性が分かったように思います。
森口 それは良い経験だったな。確かに、中国でしばらく技術指導をして日本に戻って来たら、田上君がだいぶ成長してたから驚いたよ。一緒に飲みに行っても愚痴が少なくなったしな(笑)。人間的にも成長を感じたよ。
田上 ほんとに森口さんのおかげです。こうした学びの集大成として完成したのが、「Dual Drive」(デュアルドライブ)。
森口 この商品の最大の特長は前輪モータと後輪ベルトの両輪駆動。自分で言うのもなんだけど、すごくいいと思うんだよね。これで業界に一石を投じることができたんじゃないか、って自分自身感じてるよ。
田上 ほんとにそう思います。実際に街中の自転車屋さんに訪問してヒアリングをしたり、苦労も多かったですけど、そうした経験の一つひとつが大きな財産になったと思います。
森口 これからもこの調子でウチのシェアを拡げていきたいね。
田上 そうですね。そのためには常に改良あるのみ。機構の根本原理をより深く理解し、次の商品づくりに生かしていきたいと思います!
2種類の傾斜の坂道を走らせて性能試験を行う。アシスト機能があれば座ったままでもラクラク坂道を登ることができる。
主力商品の「bikkeGRI(ビッケグリ)」。前輪は大きくし段差を乗り越えやすくし、後輪を小さくすることで子どもの乗せおろしがしやすくなっている。
電動アシスト自転車の未来について、話に花が咲く二人。より良い商品づくりには何でも言い合える関係性が欠かせない